近年増えている葬儀の形式のひとつに「家族葬」があります。

家族葬とは、近親者のみで行う葬儀で、会葬者の接待をする手間がかからずゆっくりと気兼ねなく故人を偲べるなどの理由から、近年家族葬を選ぶ人が急増しています。

また新型コロナウイルスの影響もあり、密を減らし接触者の人数を減らしたいという意向から少人数で行う家族葬を選ぶ方も増えています。

葬儀とは一言で表しても形式は様々あります。
この記事では、葬儀社ではない私たち「ここより」だからお伝えできる、家族葬にかかる費用や葬儀の流れ、費用、メリットデメリットを紹介していきます。



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家族葬とは?

家族葬とは、身内や親族など近親者で執り行う葬儀を言います。

しかし、葬儀の名前に家族と付くので、ご家族のみで行う葬儀と思われがちですが、故人と親しい関係にあったご友人や関係者も呼ぶことができます。
そのため、参列者の接待に追われることがなく、故人をゆっくりと見送り、最後のお別れに時間をかけることができるのが特徴です。

公正取引委員会による暫定的な定義では親族や親しい関係者のみ50人が参列する葬儀を家族葬、50名以上が参列する葬儀を一般葬としています。

公正取引委員会による家族葬の暫定的な定義
親族や親しい友人など親しい関係者のみが出席して執り行う葬儀。
通夜・告別式、火葬等は一般葬と同様に執り行われる。
本調査においては参列者50名未満の葬儀を家族葬と定義した。

公正取引委員会「葬儀の取引に関する実態報告書」
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/mar/170322_2_files/170322honbun.pdf


家族葬を行う割合は近年増加し続けています。
始めは首都圏近郊で始まった家族葬ですが、現在では全国各地で行われるようになりました。

家族葬と他の形式の葬儀の比較

葬儀と一言で現しても様々なスタイルのお葬式があります。
伝統的な仏式のお葬式から、式を大幅に簡略化し数時間で全てを終えるものまで、宗教や宗派での違いだけでなく、お葬式自体もまたライフスタイルに合わせて多様化してきています。

ここでは家族葬を始め、よく行われる葬儀の形式を3つ紹介・比較します。

家族葬

家族葬は、その名の通り家族を中心とした遺族や近親者で行う小規模なお葬式で、その内容も家族が自由に決められるため、納棺と火葬のみで済ませるものもあれば、一般葬と変わらない流れを踏むものまで様々です。
気心のしれた人のみが集まるため、しみじみと個人を見送ることができるのが特徴です

一般葬

最も伝統的かつ一般的な、いわゆる「従来型のお葬式」に当たるのが一般葬です。
流れとしてはお通夜、お葬式、告別式の順で執り行われます。
宗派、地域のしきたりや、習慣を重視したお別れができるのが特徴です。
遺族からの連絡を受けた会葬者以外にも関係者同士で知らせあったり、新聞のお悔み欄等を通じて告知したりと遺族が知らない会葬者が来ることもあり、会葬予定者の予想が難しくなることもあります。

一日葬

一般葬では通常2日がかりで行われる、お通夜、お葬式、告別式を1日で行うもので、遺族や参列者の時間、経済的な負担を軽減できるとされています。
喪主が高齢で体力的な負担が大きい、遺族が仕事で忙しい、親族が遠方に住んでおり容易に参列できないなどの理由がある場合には、時間を短縮して葬送できることがメリットに感じられそうです。

↓葬儀の形式の比較は下記記事にて詳しく解説しています↓

仏事の作法
葬儀(葬式)やご遺体の搬送・お通夜の流れや意味・種類を紹介



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家族葬が増えた理由

その理由は、参列者の高齢化宗教観の変化新型コロナウイルスの蔓延が関係しています。

近年、平均寿命が伸びている事から、故人や喪主の年齢が高齢化し、故人と関係のあった人が参列できないことや、親族同士や近所付き合い、勤めていた職場の関係者との関係も気薄になっていることが挙げられます。

また現代人の宗教観の変化から、「葬儀は小さく執り行って欲しい」という故人の意志や、「故人をこんな形で送りたい」という遺族の想いから増加傾向にあります。

さらに昨今では、新型コロナウイルスの蔓延から葬儀に参列する高齢者の配慮や密を避けるため、参列者を限定でき、少人数で執り行う家族葬を選ぶ遺族が増えています。

地方からの参列が難しかったり不安な場合は、葬儀の様子を中継するオンライン葬儀も注目されています。
筆者である私は実際に葬儀の様子をリモート中継し、参列できなかった親族に「一緒に手を合わせることができてよかった。」と大変喜ばれました。
オンライン葬儀については、後日詳しく解説します。

家族葬の流れ

故人が亡くなった後から家族葬を執り行うまでの流れを紹介します。

大まかな流れは一般葬と同じですが、事前に知っておくことで安心できます。
また故人から葬儀社選びの意向などがあれば、できる限り反映する事が大切でしょう。

① 医師による死亡確認

近年では、住み慣れたご自宅ではなく、病院のベッドで息を引き取ることも多くあります。
医師から死亡の診断を受けたら、遺体は安置場所に移動する必要があります。
そのため早急に葬儀社の選定に入ります。

② 葬儀社の選定

お葬式を任せる葬儀社の選び方はとても重要です。
病院に安置されている遺体は、数時間以内に安置場所(自宅・葬儀社)などに移動しなければなりません。
故人の意向がある場合はその葬儀社へ。
無い場合は慎重に葬儀社を選定します。

③ 菩提寺への連絡

葬儀社の選定と並行して、菩提寺にも連絡をします。
枕経をお願いした後、葬儀の日時、場所、僧侶の人数、戒名・法名の相談をします。
自分達の菩提寺がわからない場合も少なくありません。
いざという時に慌てないよう、事前に菩提寺がどこなのか確認しておきましょう。
確認する方法は親族に聞くのが一番良いでしょう。
特別な場合を除いて基本的には親族と同じお寺になっているはずです。
菩提寺が無い場合は、葬儀社へ相談し、僧侶を紹介してもらいます。

④ 葬儀形式の打ち合わせ

葬儀社の選定が終わったら葬儀の日程や会場、プランを打ち合わせします。
故人の意向を大切にし、予算内で葬儀を執り行えるようしっかりと打ち合わせを行うことが大切です。
後日トラブルを避ける為にも、細かい点まできちんと説明をしてもらいましょう。

⑤ 通夜・葬儀・告別式

家族葬でも他の葬儀や一般葬と同じく1日目に通夜、2日目に葬儀・告別式を行います。
通夜では僧侶による読経、参列者による焼香、喪主の挨拶が行われ、葬儀・告別式も一般葬と同様の流れで進行します。
友人や関係者から弔電があった場合は、告別式の最中に読み上げます。

⑥ 出棺・火葬

出棺・火葬についても一般葬と同様に進行します。
故人との最後の時間を、家族葬ならではの少人数でゆっくりと気兼ねなく偲びましょう。

↓葬儀社の選び方については下記記事で詳しく解説しています↓

仏事の作法
“絶対に失敗しない”葬儀社の選び方 と お葬式の種類



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家族葬の喪主挨拶

家族葬では喪主挨拶が省略される場合があります。

喪主挨拶が必要かどうかは規模や参列者の状況で判断されます。
葬儀社と打ち合わせのタイミングで決めておきましょう。

家族葬で喪主挨拶を行う場合、タイミングは一般葬と同じです。
通夜、告別式や出棺時、通夜振る舞い、精進落としと多数あるので、あらかじめ大まかな挨拶の内容を決めておくと良いでしょう。

家族葬の費用相場

日本消費者協会の葬儀によるアンケート調査によると家族葬の葬儀にかかる平均相場は115万円前後となり、一般葬の平均相場195万円に比べ80万円程度安くなっています。
※金額は平均相場による目安です
参考文献:「第12回 葬儀に関するアンケート調査報告書」2020,一般財団法人日本消費者協会


平均価格が安くなっている理由としては、家族葬は参列者を多く呼ばないため、小さいセレモニーホールの使用祭壇を小さくしていることが1番の理由です。

また、参列者への接待や返礼品の費用を抑えることができるのも理由の1つです。

ただし僧侶に渡すお布施については一般葬と同様になります。 納得のいく料金にするために葬儀社との打ち合わせは入念に行いましょう。

家族葬の香典相場

家族葬では一般葬と同様に香典を受け取るのが一般的です。

ただし、親族のみ参列する家族葬では、香典を受け取るのは申し訳ないという理由など、香典を辞退しても問題はありません。
香典を辞退する場合はあらかじめ参列者に伝えておきましょう。

 
家族葬の香典の目安
【参列者との関係】 【金額の目安】
祖父母 1万円〜
両親 10万円〜
兄弟・姉妹 5万円〜
その他の親族 1万円〜
友人・仕事関係他 3,000円〜5,000円

香典の金額の目安は、親族の場合は1万円以上です。
親族以外の場合は関係の親密さによって5,000円から3,000円を包むのが一般的です。
このとき、4や9という数字は死や苦を連想させるため避けるのが無難でしょう。

↓香典の包み方や金額の目安、マナーは下記記事で詳しく解説しています↓

仏事の作法
お通夜・葬儀の服装マナーや香典の包み方を分かりやすく解説 | 服装・持ち物・香典の包み方・金額を紹介



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家族葬のメリットとデメリット

家族葬のメリット

家族葬は近親者のみで行う葬儀のため、会葬者の接待をする手間がかからず、ゆっくりと気兼ねなく故人を偲ぶ事ができます。
参列者も少ないため、葬儀費用や参列者の返礼品を抑える事ができます。

家族葬のデメリット

近親者の身で行う葬儀のため、葬儀に参列できない友人や、関係者が最後のお別れができないという面があります。
残された人の気持ちも考え、葬儀の種類を考える必要もあります。
また参列者が少ないため、いただく香典が少ないのもデメリットの1つでしょう。

メリット

・故人と最後の時間をゆっくりと過ごせる
・会葬者の接待をする必要がない
・葬儀費用を安く抑える事ができる

デメリット

・友人や関係者など参列できない人がいる
・香典が少ない

葬儀社ではない私たち「ここより」だから伝えられる家族葬

家族葬は近年急激に増加傾向にあります。

葬儀社ではない私たちが伝えられることは、1番に故人の気持ちを配慮した上で葬儀の形式を選んでいただきたいです。
故人の気持ちを汲んだ葬儀こそ、1番の供養になるのではないでしょうか。

また残された遺族の気持ちも考えながら、納得できる葬儀ができるよう、形式を選んでみてはいかがでしょうか。

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