「お墓」といえば、どのような形を思い浮かべるでしょうか。
実は今、昔ながらの墓石の形よりも、「樹木葬」の方が、新規のお墓として選ばれているのです。
2023年に購入されたお墓を種類別に調べると、「樹木葬」が半分近くを占めています。これは一般墓や納骨堂を上回り、最多の割合です。
そんな注目の「樹木葬」について聞くために、「株式会社アンカレッジ」を訪ねてきました。
そもそも「樹木葬」とは
「樹木葬は、ここ20数年の間に広まったお墓の形ですが、この短い間にも、徐々に形を変えてきています」
と、教えてくれたのは、アンカレッジの鈴木さん。
鈴木さんによると、「樹木葬」の始まりは今から20数年前。岩手県の寺院が、もともとあった山を墓地として利用し始めたことだったそうです。
今では「里山型」と呼ばれているこの形は、どうしても広い土地が必要となるため、駅から遠くなってしまうことが多く、不便でした。そこで生まれたのが「公園型」という形です。
民間や自治体が管理している、公園のような広い土地を墓地とした「公園型」は、里山型に比べると管理しやすいことが特徴。サービスとして利便性も考えられているこの形が、しばらく「樹木葬」の主流でした。
そして、アンカレッジが「樹木葬」をさらに大きく広げることになります。
なぜ「樹木葬」が流行しはじめたのか?
「アンカレッジの樹木葬は、従来のお墓と、今までの樹木葬の良い部分を踏襲しながら、墓地利用者が困っていることが解消できる形を目指しています」
従来のお墓は、お寺から墓地の区画を借り、その区画に「先祖代々」の墓石を建て、子や孫が場所を受け継ぎながら管理し、維持するという形をとってきました。
しかし、従来の「先祖代々の墓地」というやり方では、少子高齢化や、核家族化などにより、お墓の後継ぎがいなくなってしまうケースが増え、維持が難しくなってしまうのではないかという懸念が出てきました。
そんな矢先に生まれた方法が、「庭園型」と呼ばれるアンカレッジの樹木葬なのです。
庭園型の樹木葬
四季折々の花と緑に囲まれた樹木葬
アンカレッジの創業者はお坊さん。檀家さんとお話する中で、今後のお寺には「後継ぎのいない檀家のための墓地」が必要だと痛感していました。
しかし、蓋を開けてみれば、「後継ぎはいるものの、子供たちに負担をかけたくない」とする親御さんも多かったのだそうです。
「一般墓に比べて手頃な大きさに設計されているため、管理がしやすいことも受け入れられる要因だと思います」
「樹木葬でありながら、購入者それぞれが個別の区画に墓石を持つことができるので、個別にお花を供え、線香をたて、手を合わせられます」
「アンカレッジの樹木葬は、首都圏にも導入しているお寺がたくさんあり、アクセスが良いです。後継ぎ不要なので、子供世代への負担が少ないこと。そして、花と緑に囲まれた雰囲気のよさも人気のポイントでしょう」
アンカレッジの樹木葬では、ペットの納骨も認められているところもあります。
「今、世の中に求められているお墓って、どんなものだろう」と、檀信徒のニーズに寄り添ってきた結果が、今の樹木葬の需要に繋がっているのです。
個別の墓石に手を合わせることができる
コンパクトな墓碑。ペットも納めることが可能
取材協力
株式会社アンカレッジ
https://anchorage.co.jp/
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立正大学仏教学部卒業。東京仏教学院卒業。浄土真宗本願寺派僧侶。
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