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香典とは、葬儀やお通夜、また法事の際に持っていくお金のことです。
その名の通り、死者の霊前に供えるお香に代わる金銭です。
昔は死者の葬儀や、亡くなってから埋葬するまでにお香を絶やさず焚き続けていなければなりませんでした。
しかし当時のお香は持ちが悪く、特にお線香が出来る江戸時代以前は多量のお香が必要とされたのです。
そこで、近所や親類縁者が各自でお香を持ち寄っていた習わしが「香」典の由来です。
その香典を入れる袋が「香典袋」。
しかし、一言で香典袋といっても、いろんな種類が存在します。
本記事では、そんな香典の種類を紹介します。
香典袋の種類
香典袋は、それぞれの宗派によってその形は様々です。
気をつけなければいけないのは、葬儀を行う家、または故人の宗派のものに合わせなけれ ばいけないことです。
ここでは香典の種類をタイプ別で紹介します。
印刷タイプ
水引きが袋に直接印刷されているタイプの香典袋です。
基本的には、黒と(白を表す)薄いグレーで印刷されていますが、商品によっては黒の部分が濃紺(または濃紫)っぽい色になっていることもあります。
最も安価で、基本的にまとめ売りされており、あまり接点のなかった遠縁や遠い知人のような方の葬儀の時のために家に備えておくと安心です。
黒白の水引タイプ
黒白の紐で作られた水引が掛けられている香典袋。
通夜、葬儀に加え、法事の際に香典を包むのに使います。
また、僧侶やお寺へのお布施を渡す時に使われることもあります。
同じ黒白タイプでも商品によって様々なデザインがあり、印刷タイプと違って一つ一つで売られているのが主流です。
双銀(黒銀)の水引タイプ
銀色の紐で作られた水引が掛けられている香典袋。
黒白タイプと同じく通夜、葬儀に加え、法事の際に香典を包むのに使います。
また、僧侶やお寺へのお布施、戒名料を渡す時に使われることもあります。
どれに使うにせよ、金額の差異で黒白水引か双銀(黒銀)水引かを選択されるようです。
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宗教宗派別 香典袋の選び方
故人、または葬儀を行う宗教によって選ぶのにふさわしい香典袋の種類があります。
事前に故人の宗教・宗派を知っている場合は、その故人に適した香典袋を用意する良いでしょう。
ここでは、宗教・宗派別の香典袋の選び方を紹介します。
仏式の場合
仏式の通夜葬儀・法事では、上にいくつか挙げたような水引のかけられている、もしくは水引の図案が印刷されている香典袋が適しています。
また、関西地方(浄土真宗も)では黒白ではなく、「黄白」の水引がかかった香典袋を使うのが主流で、特に京都では黄白の水引が定番となっています。
関西(特に京都)で水引の色が他地方と違うのは、日本の歴史上に於いて京都及び関西が中心だったころの公家社会の名残だという話があります。
公家が皇室へ贈る献上品には、「紅井水引」という玉虫色の水引を使っていましたが、この紅が非常に濃く染められていて、一見すると黒色に見えてしまうことから、全く異なる色である黄色を使うようになったという説から来ています。
封筒は無地・または蓮の花など仏教モチーフが描かれている香典袋が適しています。最も一般的な香典袋ですので、店頭で売っているものから選べば大丈夫でしょう。
神式の場合
神式葬儀は「神葬祭」といいます。
神葬祭は、亡くなった人がその家の代々の先祖と共に、その家の守り神になるための儀式とも言えます。
このように仏教とは全く概念の違うものなので、香典袋も気をつけるポイントが異なります。
神式の通夜祭(仏教の通夜にあたる)、また葬場祭(仏教の葬儀にあたる)に持参する香典袋は無地のものが適しています。
袋に何らかの絵などが描かれたものは原則として使用しませんので気をつけましょう。
仏教用と同じように水引がかかっている香典袋を使用することも全く問題はありません。絵柄や模様だけ気をつけましょう。
キリスト教式の場合
キリスト教式葬儀では、無地・または十字架や百合の花などキリスト教モチーフが描かれている香典袋が適しています。
仏式葬儀で使われるような、仏教モチーフの絵が描かれた袋を使うのは、異教を表すモチーフが描かれた香典袋を葬儀で渡すことになり、非常に失礼なことですので気をつけなければいけません。
キリスト教式葬儀用では、キリスト教式専用の香典袋を選ぶのが一番安心です。
ただし急な事態が起こり急いで普通のお店などで買い求める必要があるなら、仏式や神式と違って水引のない封筒タイプの香典袋が無難です。
水引がかかっている香典袋でも失礼ではありませんが、その場合は双銀の水引が選ばれることが多いようです。
日本ではキリスト教徒は仏教や神道に比べれば数は少ないものの、敬虔な信者の方はおられますので、相手の信義信条を尊重するのは大切なことです。
無宗教式の場合
故人の宗教が分からない場合、または無宗教式葬儀の場合は、絵などが何も描かれていない極力シンプルな香典袋を選ぶのが良いですが、特定の宗教に関連したモチーフの絵柄などが入っていない限りは失礼にあたるというほどのこともありません。
印刷タイプにせよ水引タイプにせよ、よくある一般的な香典袋を使っても問題はありません。
金額的香典袋の選び方
香典袋は、渡す金額によって望ましい種類の袋・水引を選びましょう。
大まかに分けると以下の通りです。
【参列者との関係】 | 【水引の種類】 | 【金額の目安】 |
祖父母 | 黒白の水引 | 1万円〜 |
両親 | 双銀の水引 | 10万円〜 |
兄弟・姉妹 | 双銀の水引 | 5万円〜 |
その他の親族 | 黒白の水引 | 1万円〜 |
友人・仕事関係者ほか | 印刷の水引 | 3,000円〜5,000円 |
5千円以下の場合
水引が絵として印刷されている略式の香典袋が合っているとされています。
シンプルな封筒タイプのものでも全く問題ありません。
まとめて販売されているので、一つ買ってそのまま残りを置いてあるというご家庭も多いのではないでしょうか。
5千円~3万円の場合
黒白の水引がかかった多当折り(お金を直接入れる中袋を包む外袋の形のこと。
紙を重ねるように折りたたむ方法)の香典袋が妥当でしょう。
最もメジャーな形の香典袋で、価格も安すぎず高すぎず、一般的です。
3万円以上の場合
双銀(黒銀)の水引がかかった多当折りの香典袋に入れることができます。
水引が銀色だと、黒白のものより豪華で華やかな雰囲気があることから、包む金額がやや多い時に選ばれるようです。
10万円以上の場合
香典の金額が高額である場合は、袋のサイズが大判であったり中身が厚くなっても閉じられるように作られている香典袋がありますのでそれを選ぶと良いでしょう。
袋の材質も通常に比べて高級和紙でできていたり、通常の水引だけでなく華やかな飾りがついていたりすることもあります。
表書きの書き方やお金の入れ方
宗派や宗教、地域によっても、香典袋の表書きや、水引の種類が変わってきます。
仏式で多いのが「御霊前」か「御仏前」です。
ただし、浄土真宗では人は亡くなるとすぐに仏になると考えられているので通夜・葬儀であっても御仏前と書きますので、宗派が分からない場合は「御香典」と書くのが無難です。
キリスト教式では「お花代(御花代)」、神式では「御玉串料」「御榊料」とするが最もメジャーです。
香典袋は「袱紗(ふくさ)」に包んで持っていくのが正しいマナーです。慶弔によってふさわしい袱紗の色がありますので気をつけましょう。
お金を香典袋の中に入れるときは紙幣の「肖像画の面が、中袋の裏を向く」ように入れましょう。
紙幣は旧札を入れるのがしきたりです。
詳しくは↓の記事をご覧ください。
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香典袋に入れる金額
香典の中に入れる金額についても気をつけなければいけない点があります。
お通夜・葬儀の両方に出席される場合でも、お渡しするのはどちらか一度だけです。中に入れる紙幣は奇数枚にしましょう。また、弔事に於いては新札を包むのも良くないとされています。
詳しくは↓の記事をご覧ください。
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まとめ
香典袋には、その実深い伝統としきたりが存在します。
いざというとき、突発的な事態で困ってしまったり失敗したりしないためにも、これらのマナーを知っておくと役に立つことでしょう。
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立正大学仏教学部卒業。東京仏教学院卒業。浄土真宗本願寺派僧侶。
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