お悔やみの言葉とは

「お悔やみの言葉」とは、家族や親族を亡くしたご遺族の方に対してかける言葉のことです。
通夜葬儀などではまだ大切な人を亡くしたばかりのご家族の心は混乱と衝撃と深い悲しみの中にあります。そのような辛い場面ではなんと声をかけていいのかわかない人も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、そのような場面で使われるお悔やみの言葉の意味と使い方、メール・SNS等を使用したお悔やみの言葉の伝え方、お悔やみの言葉の文例などをご紹介します。



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「お悔やみ申し上げます」「ご愁傷様です」などの使い方

通夜葬儀の場などでご遺族に声をかける時に、失礼のない、より相手の心情に寄り添った言い方ができるような言葉の使い方をご紹介します。

「お悔やみ申し上げます」の意味と使い方

「お悔やみ申し上げます」という言葉は、残されたご遺族の方に声をかける時にとても多く使われる言葉です。通夜葬儀のときだけでなく、メール・手紙などで伝えたい時にも自然に使うことが出来ます。
「お悔やみ」とは、人の死を弔うこと・その弔いの言葉のことです。人の死を悼み、悲しみを共有し、分かち合うことで喪失の痛みを癒そうとしているのです。

実際に声をかける時には「この度は、心よりお悔やみ申し上げます」と伝えるのが最も自然な言い方です。また「心より」の部分を「謹んで」とすることもありますがどちらも同じ意味合いのものです。

弔電(通夜葬儀に参列できないときにお悔やみの言葉を伝えるために送る電報のこと)の中では「ご逝去の報に接し」や「突然の悲報に接し」などの言葉が用いられることが多いようです。
葬儀にどうしても参列出来ない人が「突然の訃報に驚いています。葬儀には出られませんが、故人様のご逝去に際し、謹んで弔いの言葉を捧げさせていただきます。」という気持ちをご遺族に伝えようとする言葉です。

「ご愁傷様です」の意味と使い方

愁傷」とは、「嘆き悲しむこと」と「相手を気の毒に思うこと」の2つの意味があります。
相手の心情を慮り、あなたの深い悲しみを気の毒に思っています、という気持ちを伝える言葉です。

古くから使われていた言葉ですが、それ故か現代では若干古めかしい言い方と捉えられることもあるかもしれませんが、逆に上の世代の人々がよく使っていた言葉として馴染みは深いかもしれません。
ちなみに、この言葉は口頭で使われることが主流で、文章で使われることは比較的少ない慣例があるようです。

「ご冥福をお祈りします」の意味と使い方

「冥福」というのは、死後の世界という意味です。
仏教においてほとんどの宗派の考えでは、死者は四十九日をまでこの世とあの世の間の旅路を進み、閻魔大王の裁定を受けた後、極楽もしくは地獄に送られるという考えがありますので、冥福というのは四十九日の間のこととも考えられますが、無事極楽浄土に行き、あの世に行った後もずっと幸せに暮らしてほしいという思いを込めて「ご冥福をお祈りします」という言葉を使う人もいます。

この成り立ちの通り、死者に捧げる言葉ではありますが、ご遺族の方には「○○様のご冥福をお祈りいたします」などの言い方で伝える場合もあります。
なお、この言葉は基本的には手紙などの文面で使用され、口語ではあまり言われないようです。

「哀悼の意を表します」の意味と使い方

「哀悼」とは、人の死を悲しみ悼むこと、その気持そのものです。
「哀悼の意を表します」とは、「私は故人の死を非常に悲しく、辛く思っています」という自分の気持ちを率直に伝えるものです。

この言葉も直接口に出して伝えるのではなく、弔電などの文面の中で使用するのが一般的です。
会話の最中で使用すると馴染まないので気をつけましょう。
文章で用いる時には言葉の前に「謹んで」とつけると、より丁寧な印象になります。

その他の類語について

その他にも、決まった言葉にとらわれずに、相手の心に寄り添い、故人への思いを偲ばせながら素直に自分の思いを伝えるのがいいでしょう。

「お心お察しいたします」「こんなにも早いお別れが残念でなりません」「突然のことにあまりにショックで、申し上げる言葉もございません」など、あくまで相手に失礼にならないように気をつけて言葉を選ぶのが大事です。



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メールやSNSを使用したお悔やみの言葉の伝え方

訃報を知り、お悔やみの言葉を伝えるのであれば、弔問に伺って直接ご遺族に会って伝えるのがもちろんベストですが、様々な事情によりそれが不可能なのであれば、弔電を送るのが直接訪問の次に格式に則ったやり方です。

しかし、例えば訃報をメールやLINEなどのSNSで知らされたり、また普段からそれらのツールでメッセージのやり取りをするような間柄であった場合は、取る物も取り敢えずという感じでメッセージを送るのは悪いことではありません。
むしろ、大事な人を亡くして悲しんでいる人に一刻も早く声をかけ慰めたいと思うのは全く自然なことです。

また、葬儀に出席するほど親密な間柄でないという場合も、葬儀には行けないけれども、せめてメッセージで弔意を伝えることで相手もきっと心が慰められるのではないかと思います。

また、最近では珍しくない家族葬や密葬などの場合も、メッセージであれば遺族の負担にならないというメリットもあります。もちろんそのような場合には、後日手紙を送るということでも大丈夫です。
ただし、いくらメールやSNSといえどもあまりにくだけた文体はNGです。
相手が今まさにショックを受けていて身も心も余裕がない状態だということをふまえて、丁寧に、優しさと気遣いを忘れないようにしましょう。

大切なのは関係性と相手への思いやりです。
普段は楽しく話している相手でも、このような時は絵文字や顔文字を使うのは避けるべきです。
また、メッセージを送る相手はショックを受けているだけでなく、葬儀の準備や家族へのケアなどに追われて非常に慌ただしい状態である可能性が高いことを考えると、いくら心がこもっていたとしても読むだけで大変なほど長い文章を送ってしまうとむしろ相手への負担になってしまいます。
文章はなるべく簡潔に、自分の言いたいことを詰め込むよりも相手の気持を第一に考えたうえでの文面を心がけましょう。
相手の返信を誘うような言葉もタブーです。

宗教・宗派別 お悔やみの言葉をかける際の注意点

お悔やみの言葉をかける時にも宗教・宗派によってはふさわしくない言葉もあります。

浄土真宗の場合

「ご冥福をお祈りします」という言葉は、故人の死後の世界の幸福を祈念するという意味の言葉で、仏教のほとんどの宗派では問題なく使うことが出来ますが、唯一、浄土真宗でも使用することはありません。
浄土真宗には「臨終即往生」という教義があり、阿弥陀如来を信仰する念仏信者は死後すぐに極楽往生を遂げ仏になるので冥福を祈る必要がないからです。
浄土真宗の通夜葬儀では「冥福」という言葉は使わずに、「お悔やみ申し上げます」など他の言葉で気持ちを伝えるようにしましょう。

神道の場合

神道の葬儀は「神葬祭」と呼ばれます。
仏教の教えとは違い、死者を仏様のいるあの世へ送るのではなく、その家の守り神にするための儀式なのです。
故人は家の守り神である祖霊神になるので「極楽」も「成仏」もありません。
なので、ここでも「ご冥福をお祈りします」という言葉は使いません。「お悔やみ申し上げます」などの宗教色のない言葉が無難でしょう。

神道らしいお悔やみのこばと言えば
「御霊のご平安をお祈りいたします」
「御霊の安らかならんことをお祈り申し上げます」
「心より拝礼させて頂きます」
などの言葉があります。

キリスト教の場合

キリスト教においても仏教的な「成仏」や「供養」という教えはありません。
キリスト教における人間の死とは「神のもとへ召される」ものであり、喪失の悲しみはあっても、死者は地上での罪穢れから解放され、神の祝福を受けて天国へと旅立つものだからです。

英語圏では、誰かが亡くなったときには「REST IN PEACE(R.I.P)」という言葉がかけられます。これは「安らかにお眠りください」という意味で、キリスト教では一般的なお悔やみの言葉です。

日本では「安らかな眠りにつかれますようにお祈り申し上げております」や「天に召されました○○様の平穏をお祈りいたします」など、あくまで故人は神の祝福を受け、天に召されたのだということを思いながら言葉するのが大事なことです。

お悔やみの言葉で使ってはいけない「忌み言葉と注意点」

忌み言葉とは、不幸な事柄を連想させる言葉のことです。
言霊を大切にする日本語においては、どのような言葉を口にするかを気をつけなければならないという風習があります。
口に出してしまうと、それが現実に起こりやすくなると信じられているからです。特に冠婚葬祭など人生の中での大きな節目の儀式では特別気を遣うことが求められます。

葬儀など人の死にかかわる場面で忌避される忌み言葉をご紹介します。

・重ね言葉

「重ね重ね/またまた/たびたび/返す返すも/ますます/次々/重々」などの重ね言葉を葬儀などの場や弔電などで使うのは、出来事の重複、つまり不幸が重なるので縁起が悪いと言われています。

・繰り返しの類語

「繰り返し/再び/追って/再三/幾重にも/重ねる/リピート」などの言葉は、物事が繰り返す、つまり不幸なことがまた起こるという連想に繋がります。

・直接的な言い方

「死ぬ・死亡/死んだ/急死/事故死・病死/生きていた時」など直接的すぎる表現は礼儀に欠けますし遺族の心を傷つけてしまいかねません。
「お亡くなりになった・ご逝去・他界された/ご生前・以前は・かつてお会いした時には」など、丁寧で柔らかい言い方に変えましょう。

・励まし

これは忌み言葉とは違いますが、家族を亡くしたばかりで悲しみの底にいる人に対して、励ましたいあまりに「頑張ってください」「元気を出して」「今度パーッと遊びましょう」など、無神経にポジティブな事を言うのも避けたほうが良いです。
落ち込んでいる人間は人に何を言われてもすぐに立ち直ることなど出来ません。相手の心が落ち着くまで、そっと寄り添う程度にして待ち続けましょう。
またご高齢の方が亡くなったときに「大往生を遂げた」とか「天寿を全うした」などというのはふさわしくありません。それはあくまで本人や家族側が言うことです。

・無遠慮な質問

故人の死因などについて、また病気や事故などの詳しい事情を聞くことはやめましょう。
非常に失礼な行為です。



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お悔やみの言葉の文例

この度は誠に御愁傷様でございます。
○○様の笑顔を思い出すと、本当に寂しい限りです。

○○様の訃報を知り、悲しさと寂しさでいっぱいです。
心からお悔やみ申し上げます。

ご母堂様のご逝去の報に接し、驚きでなんと申し上げればよいのかわかりません。
以前お会いした際には非常にお世話になりましたことは忘れられない思い出です。
ご母堂様のご冥福を謹んでお祈りいたします。

ご尊父様ご逝去の報せを受け、あまりのことにただ呆然としております。
ご家族のご心痛はいかばかりかとはかりかね、おかけする言葉も探しあぐねております。
心より哀悼の意を表します。ご家族様も大変だとは存じますが、くれぐれもお体ご自愛下さいませ。



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まとめ

知人や、親しい人の家族の訃報を受ければ動揺し戸惑ってしまうのは誰でも同じです。
つらい思いをしている人に声をかけるのはとても難しいことですし、なんと言えばいいのかわからなくなってしまうのは仕方がありません。
大切なのは、相手の悲しみに寄り添うこと、相手を思いやり、いつでも力になるということを無理なく失礼のないように伝えることです。
まずはある程度定まっている言葉で伝え、それから自分の気持ちを自然に伝えるのがベターであると言えるでしょう。

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