供物とは

供物(くもつ)は、故人への気持ちや遺族への弔意を表すために贈る、心を込めて選ぶ故人への贈り物です。
葬儀だけでなく法要の際や、仏様や神様に捧げるものも供物と呼びます。

供物の基本は、「香」「花」「灯明」「水」「飲食(おんじき)」を基本のお供え物とする、仏教の五供(ごくう)という考え方。

「香」:お線香や抹香を指し、心身を清めるという意味を含みます。お香を供える習慣は、やがて「香典」として金銭的な供物として変化しました。

「花」:供花を指し、花のように清らかな心で仏様と向き合うという意味や、故人の霊を慰めるという意味を持ちます。また、宗派によっては、仏様から私たちにむかって極楽浄土の美しさを伝えるためのものともいわれます。

「灯明」:ろうそくの灯りを指します。心に安らぎを与えてくれるという意味や、仏様が私たちに暗闇(俗世界)で迷うことのないよう足元を照らす灯りという意味があります。

「水」:きれいな水を指し、仏様に水やお茶や供えるという意味だけでなく、この行為により私たちの心も浄化されるという意味もあります。

「飲食」:普段私たちが食べているものと同じものをお供えすることでご先祖様とのつながりを持つということを意味します。一般的には「仏飯」として炊きたてのごはんをお供えすることが多いですが、お彼岸や命日など特別な日には、故人の好物や心を込めて作ったお料理を供えることもよいでしょう。

供物として贈って良いもの悪いもの

供物は、ご自身が贈りたいものを贈って良いというわけではありません。
供物として贈って良いもの悪いものは以下のとおりです。

仏式

肉類や海産物:殺生をイメージするため供物にはむかないとされています。
日本酒:慶事(おめでたい行事)を連想させるため、贈る際には注意が必要です。

神式

線香やろうそく:神式では相応しくありません。
海産物:食べ物は問題ありません。仏教で供物にむかないとされている海産物は、神の恵みと考えられているため、贈っても問題ありません。
日本酒:お酒も神様とつながりの深いものであるため、贈ってもよいとされています。

キリスト式

キリスト式の場合は、祭壇に供物を飾る習慣がないため、仏教のように供養をするという考え方がありません。そのため、お供え物をする必要がないのです。
キリスト教の場合は生花と御花料(献花料)と呼ばれる金銭を包むか、生花を贈ることが一般的となります。

宗教ごとの代表的な供物

仏教線香、ろうそくなどの「五供」にそったもの、果物、菓子、缶詰、五穀、故人が好きだったもの
神道果物、菓子、魚などの海産物、酒、五穀、故人が好きだったもの
キリスト教なし

その他の供物に不向きなもの

・ニンニクやネギなどのにおいがきついもの、生ものですぐに傷んでしまうため避けたほうが良いとされます。

・鉢植えの花などは「不幸が根付く」とされ、葬儀の贈り物として向きません。

・大きすぎる供物は、葬儀会場の広さの関係で飾ることができない可能性があることや、自宅へ持ち帰る際にご遺族の負担となる可能性があるため注意が必要です。



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供物と供花の違い

供物は、故人や先祖、仏さまを供養するために捧げるお供え物のことです。
日常でご自宅の仏壇にお供えしている花や水も供物です。

供花(きょうか、くげ)は、故人や仏さまへ供えるお花。仏教の「五供(ごくう)」(香・花・灯明・水・飲食)の「花」にあたります。

↓供花について、詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

仏事の作法
葬儀のお花「供花」とは。贈る意味や、近年の傾向について紹介

供花(きょうか)とは、お悔やみの気持ちを込めた弔意として、葬儀場に供える生花(お花)のことで、ご遺族や故人と親しかった友人、深い縁のある人が贈るものです。
または、葬儀に参列できない方がご遺族に贈る花のことを指します。
葬儀の場では祭壇の近くに飾られ、死者の霊を慰めるという意味合いもあります。

供物と香典はどちらを渡すのが良いか

香典は、仏教の「五供(ごくう)」の「香」にあたり、香典と供物は同様の意味があります。
香典を持参しているのなら、供物は基本的に贈らなくてもよいとされますが、社員一同、学友一同という名目で、大人数での供物を用意している場合、個別で香典も贈りましょう。
また、葬儀の案内状などに、「供物、供花はご遠慮致します」などの明記がある場合があります。隅々まで目を通し、間違って贈らないように確認しておきましょう。

↓香典について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

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【イラストで紹介】香典袋の正しい書き方や香典を包む際の基本的なマナーを解説

「香典袋の書き方」について分かりやすくイラストで解説!「御霊前」「御仏前」のどちらを使用したらいいの?
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神式や、キリスト教の式の場合は?
急な訃報に対応できるように事前に確認しておきましょう。

供物の送り方や金額相場

葬儀・法要の際に、故人や仏様への感謝の気持ちを表すために供物を贈ります。
贈る供物は、宗教や地域によっても様々です。
故人の宗教に合わせて最適な供物を贈るためには、宗教ごとの規律や考え方に合った品物選びなど、送る際のマナーを把握しておく事が大切です。

供物の送り方

1.事前に喪家や世話役に確認と了承を得る

送られた供物は式場内に飾られます。
盛籠(もりかご)など大きな供物を贈る場合は、式場の配置に関係してきます。式場の規模や、故人の意向として供物を遠慮される場合もあるため、事前に供物を送りたい旨を喪家側に伝えるようにしましょう。

2.式の開始までに届くよう手配する

供物は、葬儀であれば通夜~告別式を通して、法事であれば式中に飾るものであるため、式の開始に間に合うように送りましょう。
準備のことを考慮し、葬儀の場合は通夜当日の午前中、法事の場合は開始1時間前までには届くように手配します。

供物の金額相場

供物は、線香や菓子などの小さいものであれば個人で用意することもできます。
また、会場で飾ったときの統一感などから、葬儀を執り行う葬儀社に依頼して用意してもらうことが一般的です。
その際の相場は、5,000円〜15,000円程度で、盛籠(もりかご)にして送られます。
しかし、香典を贈った上で10,000円もする供物も送ったのでは、かえってご遺族の負担になるのではないか…。という場合は、数千円程度の供物を用意して、直接持参するとよいでしょう。



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供物を送る際の注意点

香典は必要か

「香典」は故人にお供えする「お香」に代えてお金を包んだ供物です。
供物や供花と同じ意味を持つため、香典をお渡しする場合は、基本的に供物を用意する必要はありません。
ただし、〇〇一同という名目で、大人数での供物を用意している場合、個別で香典も贈りましょう。

喪主やご遺族が供物を辞退した場合

近年、家族や近親者のみで行う「家族葬」が増え、会場の広さや処分に困るなどの理由から、香典や供物・供花を辞退される場合があります。
葬儀の案内を受けた際に、葬儀の案内状に供物を辞退する旨の記載があった場合、喪家や故人のご意思を尊重して供物・供花は控えましょう。

「ご厚志を辞退申し上げます」
香典や供花・供物など一切贈らず、参列のみ行います。

「御供花、御供物の儀はご辞退申し上げます」
供花や供物を贈ることを控え香典をお渡しします。

注意したいのは、一般の参列者に対しては供花や供物、香典などのご厚志を辞退する意思表示をされていても、親族間では例外というケースもあります。わからない場合は担当する葬儀社に尋ねましょう。

供物を直接持参する場合

ご自身で手配した供物を直接持参する際には、葬儀会場に飾る必要があることから、届ける時間を確認しておきましょう。

また、線香や抹香、ろうそくなどの小さなものであれば、金額的にも負担が少ないため、喪家の方に気を遣わせることなく贈ることができてよいでしょう。

供物を直接持参する際、紙袋などに入れて持っていくのはマナー違反。
供物は落ち着いた色のふろしきや、ふくさに包んで持参しましょう。
受付やご遺族の前で、包みから取り出して、お渡しします。
その際に、「どうぞ御霊前(御仏前)にお供えください」と伝えます。

まとめ

供物は、故人に向けて贈るお供え物。
だからといって、故人が好んだ物でも供物にはふさわしくない場合があります。
また、喪家の意思を尊重することも大切。
相場や選び方、マナーを押さえ、適切な供物を贈りましょう。

供物とは ―故人を偲び、心を寄せる贈り物―



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