青春ってすごく密

全国高校野球選手権で、東北勢初の優勝を飾った宮城県の仙台育英・須江航監督が優勝インタビューで話された「青春ってすごく密」という言葉。

正式には【コロナ禍で思うような高校生活を送れなかった生徒たちへ「青春ってすごく密なので。でもそういうのは全部ダメだダメだと言われて」「苦しい中で諦めないでやってくれた。それは全国の高校生が本当によくやってくれた」「ぜひ全国の高校生に拍手をしてもらえたらと思います」】と言われました。

大変感動を呼んだ言葉で、既に流行語大賞候補とさえ言われています。

コロナ禍以降「密」の意味変化

この「密」という言葉。コロナ禍となり『「三密」(密集、密接、密閉)を避けましょう』。という趣意の元、ステイホーム、ソーシャルディスタンスという実践指針とともに叫ばれ多くの方が苦しめられた言葉でもあります。

特に学生にとりましては、監督が言われたように『でもそういうのは全部ダメだダメだと言われて』に表されるように、学習機会も行事も部活も登校も、さらにはマスクにより相手の笑顔を見ることすらダメだと言われ続けた学生生活。

その苦しみの元凶であった「密」という言葉を、本来自らが学生時代に獲得すべき深い体験や学びの意味として転換し表現されたことに敬意を表します。

仏教用語における「三密」とは

「三密」は仏教用語でもあります。密教宗派の教えで、身密(しんみつ)・口密(くみつ)・意密(いみつ)という、密教の修行要素の総称です。
具体的には
〇「身密」:修行者が印を結んで(両手の指をさまざまに組み合わせて宗教的理念を象徴的に表現すること)仏の身体と一体になること。
〇「口密」:教典を読み、真言・陀羅尼を誦すること。
〇「意密」:仏の心のはたらき。また、修行者が心に本尊や菩薩心を観想(心を集中して深く観察すること。仏や浄土の様相を想起)すること、

密教では、これらの修行を、菩提(すべての者を救いたい)という意識を持って実践していくことで、自らの安寧と世界の平和が導かれるとされています。

青春の「三密」とは

様々な「密」の意味を踏まえながらも、学生にとって本来すべきであるが、ダメだダメだと言われた「密」のものとは何かを問い、観点に分けて『青春の「三密」』を考えてみました。

[青春の「三密」]

◯社会との「密」
《関係構築の基礎作り》
・真の友人を作るべく試行錯誤する。
・社会との距離感と問題対処法を知る。
・大人との対等な関係を探る
・将来の方向性を考える。

◯学びの「密」
《人生の基盤となる学び》
・様々な知識を身につける。
・様々な経験を行う。
・できることできないことを身をもって知る。

◯人生構築の「密」
《生きる指針の思惟》
・自分にとって本質的に合う生き方を探る。
・生きがいや夢を見つける。
・自らの創作や表現方法を試行する。
・自らに適う善悪や哲学を問う。
・自分の性的志向を認識する。

これからの時代、コロナ禍を経て、すべての学生が青春の「三密」の観点を携え日々を「密」に暮らすことができますように。そしてすべての大人たちは、それをサポートできる存在でありますように。そして大人自身が青春を見据え、これからの人生を夢や希望あふれる世界となりますように。願うとともに、自らも未だ青春時代として「密」に生きていこうと所信いたします。

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