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最近、子どもの躾にいいと言われ、『地獄』という絵本を読みました。
もう大人の私でも、読み終えたあとに、震えあがってしまいます。
嘘をついたりしただけで、本当に地獄へ落ちてしまうのでしょうか。 -
回答者:浄土宗僧侶 佐山
「地獄」と言わると、血の池の釜で茹でられたり、針の山を裸足で歩かされたり、といったイメージがあると思います。
このイメージは、源信というお坊さんが、985年に著した『往生要集』という書物による影響が大きいと言われています。『往生要集』のテーマは、「極楽往生」についてでしたが、極楽へ往生する方法などが記されているのと同時に、地獄界などの迷いの世界の様子も描かれています。
少し内容を紹介いたします。
まず、亡くなった人方は、49日間をかけて、暗い道を歩き、大河を渡って、7つの裁判所で裁判を受けます。
裁判官の中には、あの有名な閻魔大王もいます。最終日である49日目に、お沙汰が下り、行先が決まります。
残念ながら地獄へ行く事になった方は、犯した罪によって、場所が振り分けられます。殺生をした者が行く「等活地獄」
殺生のうえに盗みを行った者が行く「黒縄地獄」
さらに邪淫を行った者が行く「衆合地獄」
さらに酒による悪さをした者が行く「叫喚地獄」
妄言(ウソ)を繰り返した者が行く「大叫喚地獄」
仏教の教えに反した者が行く「焦熱地獄」
尼僧や童女などを犯した者が行く「大焦熱地獄」
父母や阿羅漢などの聖者を殺した者が行く「無間地獄」
この8つのフロアです。
罪の重さにより、受ける罰の苦しさや期間が決まります。こうしてみると、私たちのほとんどが、地獄に落ちてしまう事になる、と不安になります。
蚊などを叩いてしまっても殺生ですし、遅刻などで、他人の時間を盗んでしまったり、ウソをついてしまった方だって、たくさんいるでしょう。しかしそれも、他人のせいではなく、自分のせいなのです。『往生要集』に記されているのは、「因果応報」という仏教のメッセージです。
地獄に落ちないためには、今までの罪を反省し、これからの行いを改めていく事が必要なのです。また、私たちには「地蔵菩薩」という強い味方がいます。
お寺や道端にいる、あのお地蔵さんです。お地蔵さんは、閻魔様をはじめとする裁判官に、「この者は反省しています。何とかなりませんか」と、弁護士のようにかけあってくれるのです。
そうすることで、たいていの罪は許されることになります。ただ、それに甘えすぎてはいけません。
お地蔵さんは、「心から懺悔の気持ちを持っている人」を救ってくださる菩薩なのです。もし今後、お地蔵さんを見かけたら、思い当たる罪をきちんと反省し、可能なら、なにかお供えしてください。
きっと、ピンチの時に助けてくれると思います。
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立正大学仏教学部卒業。東京仏教学院卒業。浄土真宗本願寺派僧侶。
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