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戒名ってなんですか?
なぜ、亡くなったときに名前を変えるのでしょうか。
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回答者:浄土宗僧侶 佐山
戒名は、「葬儀のときに亡くなった人に贈る死後の名前である」と思っている方が多いと
思います。しかし、本来は、仏教徒として守るべき戒を授かり、仏弟子となった証として
与えられる名前なのです。
授戒した人に授けられる名前だから「戒名」なのです。戒律を必要としない浄土真宗では
「法名」といいます。仏弟子になるという事は、仏門に入り、お釈迦さまの弟子になるという事です。いわゆる
「出家」です。
出家にあたり、細かくは何百もの厳しい戒律があるのですが、代表的なものとして
「不殺生戒(ふせっしょうかい 生き物を殺さない)」
「不偸盗戒(ふちゅうとうかい 他人のものを盗まない)」
「不邪淫戒(ふじゃいんかい 配偶者以外の人と関係を持たない)」
「不妄語戒(ふもうごかい 嘘をつかない)」
「不飲酒戒(ふおんじゅかい 酒を飲んで他人に迷惑をかけない)」
という5つがあります。これを五戒といいます。
これらの戒を守り、「仏の教えに従います」という誓いをたてて、儀式を行い、自分を導
いてくださった師僧から授かるのが「戒名」です。出家する機会の少ない在家(お寺の生まれではない人)の方の多くは、亡くなって葬儀する
ときに、導師の引導によって初めて戒を受けて、仏弟子となります。
そのため、亡くなった人に贈る死後の名前である、と誤解されてしまうのです。戒名とは、儀式を修め、仏弟子となったことの証です。
本来の流れとしては、死後ではなく生前にいただくものなのです。在家の方にとっての師僧は、菩提寺の住職にあたることが多いでしょう。
よく「戒名を自分でつける」「戒名メーカーでつける」などと聞くことがありますが、戒
名とは「戒を受けている人から授かるもの」ですので、これでは本来の意味から外れてし
まいます。
「菩提寺ではないが、知り合いの僧侶からつけてもらった」というのも少し違います。
授戒の儀式の際、「戒を守り通します」という約束をして、それを受けた導師が「新しく
仏弟子となった方です」と、仏さまにお伝えする流れがあります。菩提寺ではない僧侶で
は、長い後生のあいだ、約束を見届けた責任がとりきれないのではないでしょうか。戒名とは、亡くなった人にとっては「生前にどんなことをしてきたか」、生前に受ける方
にとっては「これからの生き方を定めるもの」となります。
今後の人生について考える意味でも、生前に戒を受け、納得できる戒名をいただくことを
お勧めします。
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立正大学仏教学部卒業。東京仏教学院卒業。浄土真宗本願寺派僧侶。
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