「友引に葬儀は避けるもの」と一般に言われていますが、それは本当に“縁起”だけの問題なのでしょうか?
今回は、首都圏で実際に行われた「友引の通夜・葬儀」に出仕した経験をもとに、友引に葬儀を行わないとされる理由、そして多死社会における火葬事情についてご紹介します。

友引に葬儀を避ける理由は「迷信」ではない?

「友引の日に葬儀を行うと、故人が友を“引いて”しまう」――
そんな言い伝えを聞いたことがある方も多いでしょう。縁起担ぎとして、通夜や葬儀を避けるご家庭は今も少なくありません。

しかし、この“友引”という考え方は、仏教とは直接関係がありません。六曜のひとつであり、もともとは暦注(こよみの注釈)に由来する俗信にすぎません。

実は「火葬場の休業日」が大きな理由

では、なぜ多くの人が今も「友引を避ける」のか。
実際のところ、一番大きな理由は火葬場が休業していることにあります。

特に首都圏では、ほとんどの火葬場が友引を休業日としており、その影響で通夜や葬儀も自動的に前倒し・後ろ倒しされるケースが多く見られます。

ただし、すべての火葬場が休みというわけではありません。火葬場によっては友引の日でも火葬を受け付けている場合もあるため、葬儀社に相談すれば柔軟な対応が可能なこともあります。

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多死社会の中で火葬の「予約待ち」が常態化

少子高齢化とともに、死亡数が増加している日本社会では、火葬場の利用がひっ迫しています。
特に東京都内では、火葬の予約が集中し、ご逝去から火葬まで1週間から10日以上待つことも珍しくありません。

では、その間ご遺体はどうなるのでしょうか?

  • 冷蔵保管のできる安置施設に預ける
  • 寺院に一時的に安置する
  • 自宅でドライアイスを使って保冷する

といった選択肢があり、それぞれに保管費用や手間がかかるのが実情です。

友引の火葬も視野に、柔軟な判断を

こうした状況を考えると、必ずしも「友引は避けるべき」と決めつける必要はないかもしれません。

  • 友引でも対応可能な火葬場を探す
  • 空きが出やすい早朝や夕方の時間帯を選ぶ

といった工夫で、日程を調整できるケースもあります。

もちろん、大切なのは故人とのお別れの時間をしっかり確保すること。あわてて日程を詰め込むのではなく、心を整え、納得のいく形で送り出せるようにしましょう。

まとめ:大切なのは“納得できる送り方”を選ぶこと

葬儀や火葬の日程に正解はありません。
迷信や慣習に縛られすぎず、現在の社会事情やご家族の想いをふまえたうえで、**「どのように送るのが最良か」**を考えることが大切です。

困ったときは、信頼できる寺院や、葬儀社、経験豊富な親族などに相談してみてください。最も納得できるお見送りの形を一緒に考えてくれるはずです。

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