『折兄さんの食縁日記』第1回 先生と呼ばれた日 新潟・阿賀野
皆様こんにちは、折兄さんです。
第一回ということで、自分が分不相応にも『先生』と呼ばれるキッカケになったことから書き進めていきたいと思います。
さて、私の文章タイトルには縁の文字を入れさせていただいておりますが、精進料理講師としてのデビュー戦もまさに縁あってのものでした。
修行も終えたばかりの私は、今も引き継いでいる朝粥の会以外は何処かから依頼されることもなく、作った料理の写真を日記代わりにSNSへ上げているだけでした。
今ほどSNSの影響力は無かったのですが、たまたまその記事を見た同安居(修業道場における同期)から一本の連絡が入ります。
当時、彼も私も地元の宗派内で若手僧侶が集まる青年会に所属しており、たまたまその年は食をテーマに地元住民と交流イベントを開こうとしていたので、新潟に来ないか…
と、これが講師として携わった最初の依頼になります
初めての県外、人に教えた経験殆ど無く、どうしようかと迷ったものの、『どうあれ折角自分に声がかかったのだからやるだけやってみよう』と荷物を詰め込み車を走らせました。
神奈川県箱根町から新潟までの道のりは大凡、400キロ、現地へ到着した私は早速洗礼を浴びる事に。
というのも比較的温暖な関東と上越で旬がズレている事が全く頭に無かったのですね。
同期の車に乗って食材の調達と下見を終える頃にはすっかり夜になっていました。
人に教えるというのも初めての経験だったもので、上がってしまったり上手く説明出来なかったり、参加した人とコミュニケーションが中々取れなかったりと、当時を思い返すと『よく怒られなかったな…』と今でも顔が熱くなります。
ただ振り返ってみるとあの時、自分の意思で決定したことが、当日ドタバタにもがいて内心落ち込んでいた私に同期がくれた『ありがとう』という一言が無ければ今の私は無いのだろうなと思います。
。
人生どこでどうなり、今を形作ったのは何処だったのか答え合わせが出来るのは振り返った時だけです。
願わくば一つ一つの縁に感謝し、悔いないようにしていきたいですね
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曹洞宗僧侶。和尚さんと料理人そして精進料理の先生として活躍中。旅する中で得た縁のお話を楽しい雰囲気で執筆中。