目次
直葬(火葬式)とは?
近年増加している「直葬」。今回は、直葬の流れや特色について解説いたします。
「直葬」とは、通夜式や葬儀式などの儀式を省略し、少人数で火葬炉の前に集まって故人を見送る葬儀のやり方です。
さまざまな理由から近年増加している直葬ですが、具体的にどのような形で行うのでしょうか。一般的な流れを紹介いたします。
直葬の流れ
ご遺体の安置
納棺
ここまでは一般的な葬儀と同じです。
出棺
一般的な葬儀で行われる、通夜式・葬儀式を省略します。
火葬炉へ
ご遺体を安置し、納棺するまでは、従来の葬儀と同じですが、通夜式と葬儀式を省略するため、納棺後、そのまま出棺し、火葬炉へ向かいます。
短いお別れの時間が用意される場合もありますが、斎場によってはその時間もないこともあります。
僧侶の読経は、ご遺体が炉に入ってから、火葬炉の前で短めに行われます。その間に焼香の時間もあります。
読経が終わってから、骨上げまでの時間は、従来の葬儀と同じです。
火葬炉についてから読経まで、10~15分ほどで終了します。
直葬が増えている理由
直葬が増えているのには、さまざまな理由があります。
「経済的に、通夜・葬儀と2日間行う余裕がない」
「親族や知人の恒例化により、参列者が少ない」
「核家族化が進み、祖父母との縁が遠くなった」
「近隣地域との関係性の薄さ」
など、時代の流れによって、自然と変化してきたことが見受けられます。
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直葬のメリットとデメリット
直葬のメリット
先述した「直葬が増えている理由」の通り、葬儀の規模を小さくしているため、費用が抑えられることがあげられます。
一般的な葬儀にかかる費用は、お坊さんへのお布施を除いても、120万ほどといわれていますが、直葬にすると、極限まで抑えれば20~30万ほどで行うことができます。
また、参列者への挨拶などが省略できますし、受付も不要になりますので、そのぶん、故人との最後の時間をゆっくりと過ごすことができるようになります。
参列者を少なく絞ることで、香典返しを考える手間も省くことができます。
慣れない葬儀では、気持ちが張りつめてしまい、疲労がたまってしまうこともありますが。手間のかかることを減らすことで、心の負担も減らすことができます。
また、準備期間もかなり短くすみますし、儀式自体の時間も短いので、高齢で参列が難しい方も、一緒にお別れをすることができます。
直葬のデメリット
通夜式や葬儀・告別式を行わないため、親族や親しい知人などから「故人に対して失礼」だという意見が出る可能性があります。そういった方々に、きちんと説明し、理解をいただくことが必要です。
同じように、本来参加したかった方から、不満の声があがることも考えられます。その場合、あらためて弔問の機会を設けたり、挨拶状を郵送する必要が出るなど、かえって負担が増えてしまうこともあります。
また、読経いただく僧侶の方にも連絡を入れ、了承を得る必要があります。お寺の方針として、きちんと通夜・葬儀を行うこととしている僧侶も多いので、勝手に話を進めてしまうと、最悪の場合、納骨を断られてしまうこともあります。
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直葬の費用
直葬は一般的な葬儀よりも費用が安い場合が多いです。
お通夜などを省略する直葬は、スタッフや会場の使用料を抑えることができるため、葬儀全体の料金が安くなります。
直葬の費用は地域や、葬儀社ごとにさまざまな料金設定がされていますが、平均的には20万円前後とされています。
中には10万円以下で直葬を執り行う葬儀社もありますが、別途オプション費用が嵩んでしまう場合があるので、事前の打ち合わせをしっかりと行うように心がけましょう。
参列する場合の「服装」「香典」などのマナーについて
直葬に参列する際の服装
火葬炉の前で、着席せず行うことが多いので、喪主や、直接の遺族は喪服を着た方がよいでしょうが、その他の参列者は黒のスーツやワンピースであれば、さほど問題はないと思います。
まわりで通常の葬儀を行っている方などもいらっしゃいますので、常識的な範囲で、派手な服装を避け、装飾品などは外しておいてください。
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直葬の香典について
香典については、喪主の意向を確認するのが無難です。必要ない場合も多いのですが、万が一必要になった場合、すぐに準備することが難しいからです。
親族の場合、1~3万円。知人の場合3~5千円ほ
どの金額が相場といわれています。紙幣を偶数枚にしないように注意して包みましょう。こちらの記事も参照してください。
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直葬の注意点
通夜・葬儀を行う場合では、葬儀式場でご遺体の安置をしてもらえますが、火葬のみだと安置できない場合があります。自宅にスペースをつくるなど、対応が必要です。
自宅で寝かせることができない場合は、葬儀社の方へ相談して、安置場所を決めてください。
また、自治体によっては葬儀費用の一部を負担してもらえる制度がありますが、直葬の場合でも支給が可能かどうか、事前に確認しておいた方がよいでしょう。
葬儀社によっては、「僧侶による読経も必要ない」という会社もあるかもしれませんが、故人を送る儀式であることには変わらないので、必ず僧侶に読経してもらってください。
まとめ
直葬について、流れや注意点などを紹介してきました。
直葬はシンプルであるがゆえに、費用を抑えたり、時間短縮することができ、喪主としての負担は減りますが、親族や知人、菩提寺など、事前に相談しておくべき方面も多く、強行してしまうと、かえってトラブルを生むこともあります。
近しい人が亡くなってしまった時は、気が動転して、冷静な判断が下せないこともあります。
「葬儀」はやり直しがきく儀式ではありません。後悔なく故人を見送るには、どのように行うのがよいか、よく考えて、判断するように心がけましょう。
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立正大学仏教学部卒業。東京仏教学院卒業。浄土真宗本願寺派僧侶。
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