圧巻の羅漢像で知られる五百羅漢寺

2月を迎え、ニュースなどで「旧正月」という言葉を耳にすることも増えました。旧暦では今がまさにお正月。
全国各地のお寺では、立春の前日である節分に豆まきを行うところも多いですよね。

今回の記事では、
「実はまだ初詣行けてない……」
「忙しくてまだ年が明けた気がしない」
というみなさんに、ぜひお参りいただきたいお寺をご紹介します。

ご紹介するのは、圧巻の羅漢像(お釈迦さまのお弟子さん)で知られる五百羅漢寺(ごひゃくらかんじ)です。
今回は、令和6年の年末に行われた「すすはらい」の様子をレポート。
年末のお掃除できれいになった“らかんさん” に会いに行ってみてはいかがでしょうか。

すすはらいが行われた12月26日、本堂では、使わなくなった財布を供養して開運祈願をする「財布供養」の真っ最中でした。
1年に4〜5回訪れる「天赦日(てんしゃび)」の行事です。

こちらは、本堂に納めきれない146体のらかんさんが安置されている羅漢堂です。
通常の拝観と並行しながら、窓ふきとらかんさんのすすはらいを行いました。

奈良の東大寺の大仏さまの「お身拭い」はゴンドラに乗って行われますが、五百羅漢寺ではこのようにすすはらいを行います。
長年すすはらいに参加されている葬儀屋さんや、大正大学の仏教青年会の学生さんたちと共に汗を流しました。



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らかんさんには自分の心が投影される

ずらりと並ぶらかんさんの中には、自分の先祖や自分に似た人がいるとも言われるのだとか。
お名前と共に、それぞれのらかんさんの紹介や、教えを凝縮したキャッチフレーズが付されています。

「広く学び、深く究める」
「善き人の香りは風に逆ってすすむ」
などの言葉に触れるうちに、自分もそうありたいなと思わされたり、気づいていなかった悩みや迷いに気付けたりもします。

五百羅漢寺の執事・学芸員の堀研心さんに、拝観のポイントをお聞きしました。

堀研心さん

「『なぜか今日は笑っている像に気持ちが向いているな』と感じたり、その時その時で、何か惹かれるものがあると思うんですね。
厳しい顔の像に惹かれたときは、厳しいものを求めているのかもしれませんし、あるいは自分の気持ちが厳しいのかもしれません。
そんなふうに、自分の心が投影されていると思って見てくださいと申し上げています」

同じらかんさんを前にしても、二度、三度とお参りするたびに違った部分に惹かれるかもしれません。



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続いて、本堂のすすはらいです。
本堂では、らかんさんがお釈迦さまをぐるりと取り囲んでいます。
これはお釈迦さまが説法をされる光景を表しているのだそう。

らかんさんの間を縫うようにして壇に上り、ほこりを落としていきます。
五百羅漢寺の元住職であるここより編集長も立ち合います。
いつも「白いところがなくなりますように」の一心ですすはらいを行っているとのこと。
自分も一緒にお釈迦さまの説法をお聞きしているような気持ちで、すすはらいさせていただきました!

らかんさんは、1体20〜30kgくらいの重さとのこと。
移動するときは男性二人がかりです。

移動された跡に、一年の塵が積もっています。
ちなみに、東京都の指定文化財となっているため、らかんさんの並ぶ順番は変えてはいけないのだそうです

こちらは普段のお参りでは拝見できない、後ろからのらかんさんのお姿です。
驚かされるのは、参詣者からは見えない背中側も、まるで生身の人のように丁寧に仕上げられていること。
頭や肩の丸みに至るまでお一人お一人違うことを感じてハッとさせられました。

「羅漢像を彫られた松雲(しょううん)さんは彫刻家としても優れていた方です。
仏像は本来正面のある一点から見るものなので、下から見上げるとバランスが悪く見えることがあります。
なので、人間が本当に座っているかのように違和感なく見えるのは実はすごいことなんです」と堀さん。
彫刻家の高村光雲は、五百羅漢寺の彫刻から学ぶようにと教え子に指導していたそうですが、そのお話にも納得の後ろ姿でした。

なんとしても、らかんさんにはきれいなお姿で新年を迎えていただきたい。
そんな気持ちで「塵を落とし忘れやすい箇所はどこですか?」とお聞きしたところ、葬儀屋さんから「耳の裏です」とのお答えが。

すすはらいをしていると、普段はあまり意識しないところにも目が留まります。
こちらは普賢菩薩(ふげんぼさつ)さまの足の裏。
指先までしなやかで柔らかな造形です。
指先にまで慈悲が表されているんだなあと感じました。

こちらは文殊菩薩(もんじゅぼさつ)さまの衣です。
文様を一筋一筋なぞるように味わいながら、塵を払います。

こうしておすすはらいをするうちに、仏具も仏さまのように思えてきました。



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仏具みがきもお手伝い

すすはらいに加えて、仏具みがきのお手伝いもさせていただきました。

使用するのは、お坊さん御用達の「ピカール」です。

あまり汚れていないように見える仏具も、磨けばこんなに汚れが落ちます。

信じられないほど美しく仏具を磨きあげていた大正大学の学生さん。
埋もれていた才能が発掘されたようです!

1時間ほど格闘した結果、こんなにピカピカに!



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こうして、らかんさんのすすはらいがつつがなく終了しました!

お一人お一人のお顔に命が宿って、表情がクリアになったように感じられます!

「終わるといつもすがすがしい気持ちになりますよ。やった人にしか違いがわからないかもしれませんけど、きれいになったなあって思います。半年後、一年後に来ていただくと、変化に気づくと思います」と堀さん。

何度もお参りしている方は、きっとその違いを感じるはず!

おすすはらいで、いっそう美しくなられた仏さま。
「新年もよろしくお願いいたします」という気持ちで、お寺を後にしました!



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天恩山 五百羅漢寺へのアクセス

住所/〒153-0064東京都目黒区下目黒3-20-11
アクセス/JR山手線・東急目黒線・東京メトロ南北線目黒駅より徒歩12分、東急目黒線不動前駅より徒歩8分
電話/03-3792-6751
公式サイト/https://rakan.or.jp/

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