ペンギン村に住みたいと思っていました。
現在40代後半である私の、鳥山先生とのファーストコンタクトは、アニメの「Dr.スランプ アラレちゃん」でした。
大きくなったら、「バーバーそらまめ」で髪を切り、「Coffee Pot」でお茶をして、のん気な住民に囲まれながら、千兵衛さんの発明品を使わせてもらったり、「世界一つおいのだーれだ大会」に参加したりしたいと思っていました。
その後、「週刊少年ジャンプ」で連載を追いかけ始め、『Dr.スランプ』が終わり、『DRAGON BALL』が始まりました。
「アラレロス」になる暇もなく、私は「ドラゴンボール」の虜になりました。
ブルマやヤムチャたちとのボール探しも、天下一武道会も、レッドリボン軍との争いも、悟空とともに、毎週わくわくしながら楽しみました。
クリリンが殺されてしまった週は、しばらく次のマンガに進むことができませんでした。
ピッコロ大魔王の腹を突き破ったときは、読んでいた手を振り上げながら、叫びました。
背が高くなって登場したときも、武舞台の上で結婚したときも、子供を連れて現れたときも、その都度、まわりの登場人物とともに、驚かされてきました。
私は、悟空とともに成長してきたのです。
サイヤ人編も、ナメック星編も、人造人間編も、魔人ブウ編も、すべての回を読み続けました。私は大学生になっていましたが、悟空の成長を、最終回まで見届けました。
その後私は僧侶となり、いつしか、昔に読んだ「ドラゴンボール」をもとに法話をするようになりました。悟空とともに成長してきた私にとって、それは当たり前の流れだったのです。
鳥山先生は、亡くなられてしまいましたが、私の中に、アラレや千兵衛さん、悟空やベジータたちの記憶は残っています。
仏教では、「世の中はすべて縁でつながっている」と考えます。
縁は、亡くなった人ともつながっています。あの世とも、つながっているのです。
私をはじめ、鳥山先生に影響を受けた方々が、そのことを思い出すとき、その縁はよみがえります。
思い出してみてください。悟空がブウを倒すときの元気玉は、あの世からの元気も届けられていたでしょう。
これが「縁」のつながりです。
私たちは、様々な縁のつながりによって、生かされながら生きています。
その縁の中には、鳥山明先生もいます。
今後、悟空やアラレたちのことを思い出すたび、その縁に感謝してください。
そうすれば、いつか私たちがあの世へ旅立つときに、会えるでしょう。
あの、のん気な登場人物たちと。
鳥山明先生が、「あの世」で安らかに過ごされておられますように。
ここより チーフエディター
浄土宗僧侶 佐山拓郎
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立正大学仏教学部卒業。東京仏教学院卒業。浄土真宗本願寺派僧侶。
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