昨日の敵は今日の友

『ドラゴンボール』では、新たな敵を倒すために、前シリーズの敵が味方になることがあります。
「ピッコロ大魔王編」での天津飯をはじめ、「サイヤ人編」でのマジュニア、「ナメック星編」でのベジータなどが挙げられます。「人造人間編」での16号もそうですね。

天津飯は、悟空との試合中に「殺し屋」ではなく「武道家」として目覚めることができましたが、マジュニアやベジータは、新しいシリーズに入っても、悟空とは対立する立場でした。
いつの間にか、悟空やその仲間たちと共闘することになっていたのです。

いったいなぜ、そうなるのでしょうか。

今を積み重ねた先に良縁がある

クリリンが、こんなことを言っています。

「ここにいるみんな…、昔はそれぞれ敵どうしだったろ…。オレだって最初は、悟空なんかキライだった……」

「みんな、すげえ敵があらわれると、しょうがないから手を組みだしたんだ…」

「それでもって、いつの間にか仲間になっちまって……」(ジャンプコミックス28巻 p158)

クリリンの言うように、元々は相反していた者同士が、その場での最善策として、手を組んできたのです。

仏教では「過去も未来も頭の中にしかない」と考えるため、常に「今」を積み重ねながら生きていくことが大切になります。

強大な敵に立ち向かうため、「今できる最善のこと」として、戦士たちは手を組んできました。

ライバルの息子を鍛えたピッコロしかり、ギニュー特戦隊を倒すため共闘した、ベジータとクリリン&悟飯しかり。

その結果、仲間としての絆が生まれ、ピッコロは悟飯と友情を深め、ベジータは地球で家族ができました。

強大な敵を前に、あきらめない心で、今を積み重ねたからこそ、ピッコロもベジータも、故郷から遠く離れた地球に「自分の居場所」ができたのです。

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著者紹介

鶯 蒼治郎
謎の浄土宗僧侶。
その正体は闇に包まれているが、以前は目黒で活動していたS山T郎ではないかとも言われている。
《著書》
三笠書房・知的生きかた文庫より『流されない練習』発売中
《関連情報》
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西念寺ホームページ:http://sainenji.tokyo/