お通夜とは

「お通夜」とは、家族や友人など、故人とゆかりの深い人々が集まって、故人と最期の夜を過ごす儀式です。もともとは夜通しで、灯明(とうみょう)と線香を絶やさないよう、故人に寄り添っていたことから「通夜」と呼ばれていました。

お通夜の歴史

お通夜の歴史には諸説ありますが、
お釈迦様が亡くなられたあと、悲しみに打ちひしがれる弟子のアナン尊者のもとに、同じくお釈迦様の弟子のアヌルダ尊者が訪れ、お釈迦様の「死」は、「諸行無常」のお釈迦様の教えにかなった現実であると静かに受け止め、夜を徹して涙に暮れるアナン尊者に説いたと伝えられているところに由来をうかがうことができます。

また、お通夜は、昔は死亡確認のための行事であったとされ、殯(もがり)と呼ばれる儀式が存在していました。
故人が亡くなってから本葬されるまでの期間、棺に安置した故人を見守りながら、故人のことを考え、その魂を慰めながら遺体の腐敗・白骨化などの物理的変化を確認することにより、故人の最終的な「死」を確認するのです。
現代行われているお通夜は、この殯が風習として残ったのではないかとも言われます。

お通夜と告別式の違い

「お通夜」は、故人とゆかりの深い人々が集まって、故人と別れを惜しみつつ、最期の夜を過ごす儀式なのに対し、「告別式」は、故人とゆかりのあった人が、最期の別れを告げる儀式になります。

お通夜と告別式はどちらに参加するのが良い?

お通夜は、故人と親しかった人たちが別れを惜しむ場であったので、一般の弔問客は、翌日の告別式にて故人に別れを告げるというのが一般的でした。
ですが、近年では、仕事などの都合で夕方から夜に行われる通夜のほうが参列しやすいということから、お通夜に参加する人が多くなってきました。
お通夜と告別式の本来の意味からすると、故人とゆかりの深い間柄であれば、お通夜と告別式両方に、仕事関係や知人などの一般の弔問客という間柄の場合は、告別式に参列するのが望ましいのですが、都合がつかない場合には、お通夜のみに参列してもかまいません。

お通夜の流れ

かつて夜通し行われていたお通夜は、夜通し線香や蝋燭をともし続けることが防火上の問題でできない場合や、遺族の宿泊できる設備がないなどの理由から、短時間で終了する「半通夜」というスタイルが主流になってきました。

ここでは、「半通夜」の流れについて説明します。

半通夜の流れ

導師(僧侶)入場
受付を済ませてホールで待機し、進行役の葬儀会場スタッフの指示に従い、会場に入って着席します。
親族は、血縁の濃い順に前方から着席していくのが基本となっており、席順がそのまま焼香の順番となります。
会場スタッフのアナウンスとともに、導師(僧侶)が入場します。
「姿勢を正して合掌」等、進行役のアナウンスがある場合があります。

読経
故人の供養、報恩感謝のため、僧侶による読経が行われます。
宗派によってはともに読経するよう促されることがあります。その場合は遺族・親族や弔問客も読経するようにします。
読まれるお経の種類は宗派により異なり、葬儀、告別式で読まれるお経と別のお経である場合もあります。

焼香
進行役のアナウンスに従って、焼香に進みます。
遺族、親族、弔問客の順に祭壇前の焼香台へと進み、焼香を行ないます。
弔問客の人数にもよりますが、僧侶の読経中に焼香を行なうことが一般的です。
焼香の回数や方法(抹香をつまんだ指先を額の辺りまで持ってきて押し頂くか否か)は宗派によって異なりますが、宗派の作法を厳格に求められることは稀です。事前に説明があった場合は、説明にそって行い、分からない場合は、様子を見てご自身の判断で行って問題はありません。

法話
僧侶による法話(お話)があります。
仏法に触れる「法縁」が開かれていると心得て、遺族・親族、弔問客は静かに耳を傾けるようにします。

導師(僧侶)退場
導師(僧侶)が退場します。
入場時と同様に「姿勢を正して合掌」等、進行役のアナウンスがある場合があります。

喪主挨拶
喪主による弔問客へのご挨拶が行なわれます。
弔問のお礼の他、その後の通夜振る舞いのご案内や、翌日以降の告別式などのご案内なども併せて行なわれることがあります。

通夜振る舞い
別室に用意されたお料理をいただきます。これは喪主から振る舞われるお料理を頂きながら故人の思い出を語らってほしいという思いに基づいております。
大人数で囲めるようお寿司や各種オードブルなどが大皿に盛られて供されることが一般的でしたが、新型コロナウィルス感染症の感染拡大防止の観点から、お弁当が多くなっています。
通夜振る舞いの場に招かれる人の範囲は様々です。親族やごく近しい人に限定されるようなケースもあるため、お誘いを受けたら参加するのがよいでしょう。



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お通夜のマナー

お通夜に参列する際の服装は?

お通夜に参列する際の服装についてのマナーは、ご遺族も弔問客も同じです。
服装は最低限のマナーとし、その都度自分にふさわしい装いを選びましょう。

立場 喪服 服装 弔事の種類
・喪主
・遺族(三親等まで)
正喪服 男性 ・和装
・モーニングコート
・お通夜
・お葬式
・法事(三回忌まで)
女性 ・和装
・ブラックフォーマル
・喪主
・親族
・参列者
準喪服 男性 ・ブラックスーツ ・お通夜
・お葬式
・法事
女性 ・ブラックフォーマル
・参列者
・学生
・子供
略喪服 男性 ・ダークスーツ
(黒、紺、グレーなど)
・喪主側が「平服」を指定した場合
・駆けつけの場合
・法事(三回忌以降)
女性 ・ワンピース
・スーツ
・アンサンブル
(いずれも黒、紺、グレーなど)
学生 ・制服
・リクルートスーツ

服装について詳しくはこちらをご覧ください↓
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お通夜の香典は?

お香典(こうでん)とは、故人にお供えする金品の事で、香料とも言います。
もとは「お香の代わり」という意味でお供えしていた事から、この名がつきました。
お香典は、お悔やみの気持ちを表すものとなります。

香典の金額の目安
【参列者との関係】 【金額の目安】
祖父母 1万円〜
両親 10万円〜
兄弟・姉妹 5万円〜
その他の親族 1万円〜
友人・仕事関係者ほか 3,000円〜5,000円


香典について詳しくはこちらをご覧ください↓

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お通夜の香典袋の選び方と書き方、お札の向き、マナーを解説

故人とのお別れの場所である通夜では、まずは故人を弔う気持ちが大切ですが、参列する際の香典の渡し方や、金額、マナーなどで悩む方も多いのではないかと思います。
急なお通夜の参列に備え、お通夜のマナーと香典の相場などを詳しく紹介します。



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まとめ

「お通夜」は、家族や友人のほか、故人とゆかりの深い人々が集まって、葬儀前、故人と夜を過ごす最期の時間となります。
故人との別れを惜しみつつ、生前のご厚情に感謝し、慌ただしい日常の中で振り返ることのできなかった、「はかない命」と向き合う稀少な場でもあるのです。

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