基本情報

 日本の三禅宗の中で唯一、江戸時代に始まった黄檗宗。禅と浄土思想が融合したものが「悟り」なのだと説く総合的な宗派です。隠元が伝えた黄檗宗は江戸時代の禅宗に新風を巻き起こし、一大ブームを引き起こしました。

〈開祖〉
隠元(大光普照国師)1592年〜1673年

〈本尊〉
釈迦如来を基本とするが、寺院によって観音菩薩、薬師如来、阿弥陀如来、地蔵菩薩等などを安置しているが、特定はしない。

〈教義〉
座禅と作務を通して仏心に目覚めると説きます。
臨済宗と同じ法系にあり、「不立文字、教外別伝、直指人心、見性成仏」を根本に、「唯心の浄土、己身の弥陀を体得し、禅教一如により 転迷開悟、安心立命を目指す」のが教えです。

黄檗宗の本山

大本山 萬福寺

黄檗宗の宗祖・隠元の一生

 隠元は明朝時代の臨済宗を代表する僧です。中国福建省の黄檗山萬福寺の住職をしていましたが、日本からの度重なる招請に応えて弟子20名を連れて来日。63歳で来日してから亡くなるまでの約20年間を日本で過ごしています。

 1661年、徳川家綱の帰依によって山城国に日本初の中国様式の禅寺となる黄檗山万福寺を建立しました。

 インゲン豆、建築、書画、普茶料理など、明朝の文化を豊富に持ち込んで当時の禅宗寺院にも多大な影響を与えました。また、日本の煎茶道の開祖ともされています。さらに能書家としても知られていて、木庵性瑫や即非如一とともに「黄檗の三筆」と称されています。

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参考文献:(株)廣済堂 豊かな死を受け入れるために,2020