基本情報

 栄西の著作に『喫茶養生記』があります。栄西は日本にお茶を持ち込み、日本のお茶文化の基礎を確立したことで有名です。その栄西を宗祖とする臨済宗は、お釈迦様が座禅を組んで悟りを開いたという歴史的事実を起源としています。

〈開祖〉
栄西(千光国師) 1141年〜1215年

〈本尊〉
寺院によって釈迦如来、大日如来、阿弥陀如来、文殊菩薩、観世音菩薩などを安置しているが、特定はしません。

〈教義〉
 作務と座禅を重んじ、修行によって自らの物性を見出します。人間が生まれながらに、誰もがそなえている尊厳で純粋な人間性をみずから悟ることによって、仏と寸分も違わぬ人間の尊さを把握することができると説きます。

 ちなみに臨済宗の坐禅は「看話禅」と呼ばれます。師匠が公案という問題を出し、弟子はこれを頭だけで理論的に考えるのではなく身体全体で、理論を越えたところに答えを見出していきます。

 ちなみに同じ禅宗でも、公安を通して悟りの真髄に至ろうとする看話禅を用いる点において曹洞宗とは異なります。

〈経典〉
釈迦の悟りは言葉では表現できないとするところから、特定の経典を定めてはいませんが、『般若心経』『金剛般若経』『楞厳呪』『観音経』『座禅和讃』などが読まれています。

〈栄西著〉
『誓願寺盂蘭盆縁起』『喫茶養生記』『無明集』『興禅護国論』

〈戒名〉
禅定門、禅定尼

臨済宗の本山

建仁寺派 大本山 建仁寺

東福寺派 本山 東福寺

建長寺派 本山 建長寺

円覚寺派 本山 円覚寺

南禅寺派 本山 南禅寺

国泰寺派 総本山 国泰寺

大徳寺派 本山 大徳寺

妙心寺派 本山 妙心寺

天龍寺派 本山 天龍寺

永源寺派 本山 永源寺

向嶽寺派 本山 向嶽寺

相国寺派 本山 相国寺

方広寺派 本山 方広寺

佛通寺派 本山 佛通寺

興聖寺派 本山 興聖寺

臨済宗の葬儀

 臨済宗の葬儀は十五派ある大寺を中心にそれぞれが独自の流派をもっていて、それに基づいて行われるため、一宗派として統一された形はありません。

臨済宗の宗祖・栄西の一生

 備中国の神官の子として生まれた栄西は14歳のときに比叡山に上がりました。天台宗を学んだ栄西は二度、宋へ渡り、天台宗で修行、臨済義玄を宗祖とする臨済宗を習得します。帰国後は福岡の博多で日本初の禅寺、聖福寺を建立し『興禅護国論』を著します。
 
 禅の教えこそが国家を守護すると主張するも、比叡山や朝廷から圧力がかかり、京での布教を断念。その後鎌倉に下った栄西は鎌倉幕府の庇護のもと、京都の建仁寺を開山。臨済宗の布教にますます尽力しました。

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参考文献:(株)廣済堂 豊かな死を受け入れるために,2020