基本情報

 平安末期から鎌倉時代にかけては、大規模な合戦、大地震、飢饉、疫病などの影響で非常に大変な時代でした。加えて、仏教が滅びゆく末法思想に対しても人々は危機感を募らせていいました。国難の続く時代だからこそ、法然が確立した「全て阿弥陀仏に帰依する」という教えが民衆の心を掴んだのかもしれません。

〈開祖〉
法然(円光大師) 1133年〜1212年

〈本尊〉
阿弥陀如来

〈教義〉
全ての衆生を仏にしてみせるという阿弥陀仏の本願における18番目の願い(第十八願)の中には、「南無阿弥陀仏をとなえる者を極楽浄土に生まれさせて成仏させる」という念仏往生願があり、阿弥陀仏の浄土「極楽、安楽国」に、念仏「南無阿弥陀仏」をとなえることで往生できるとする専修念仏を説きます。

〈経典〉
「浄土三部経」『仏説無量寿経』『仏説観無量寿経』『仏説阿弥陀経』

〈法然著〉
『黒谷上人語灯録』『西方指南抄』『選択本願念仏集』『一枚起請文』

〈戒名〉
・六文字 ○誉〇〇信士、居士。○誉〇〇信女、大姉。
・九文字 〇〇院○誉〇〇居士。〇〇院○誉〇〇大姉。
・十文字以上 〇〇院○誉〇〇〇〇居士、清居士。〇〇院○誉〇〇〇〇大姉、清大姉。

浄土宗の本山

◇鎮西派 
〈総本山〉
知恩院(華頂山知恩教院大谷寺)

〈大本山〉
増上寺
三縁山広度院増上寺
金戒光明寺
紫雲山金戒光明寺
百萬遍知恩寺
清浄華院
善導寺
井上山光明院善導寺
光明寺
天照山蓮華院光明寺
善光寺大本願

〈本山〉
蓮華寺
八葉山蓮華寺

〈特別寺院〉
誕生寺
栃社山誕生寺
得浄明院
本覚山得浄明院
三時知恩寺

◇西山派
〈浄土宗西山禅林寺派〉
総本山 永観堂 禅林寺(聖衆来迎山無量寿院禅林寺)

〈西山浄土宗〉
大本山 粟生光明寺(報国山念仏三昧院光明寺)

〈浄土宗西山深草派〉
総本山 誓願寺

浄土宗の葬儀

浄土宗の葬儀では、「死者は西方浄土に旅立つ」と考えるため、死装束を着せるのが決まりです。

浄土宗の開祖 法然の一生

 9歳のときに夜討ちで父を亡くした法然。父の遺言に従い、13歳で比叡山に上がりました。およそ20年にわたって教学と修行に励みます。

 中国の善導大師が著した「観無量寿経疏」の中の一心に阿弥陀仏の名を唱えれば極楽往生できるという教えに真理を見出した法然は、43歳のときに比叡山を降りました。凡夫も、もっぱら念仏することによって浄土へ往生できるという教えは貴族社会の世においてはとても画期的なもので、民衆の間で瞬く間に受け入れられ、親鸞をはじめとする多くの弟子が法然の元へ集まりました。この隆盛に危機感を覚えた比叡山延暦寺の圧力によって、75歳のときに四国へ配流されてしまいます。1年足らずで許されたものの、京へ戻ることが許されたのは79歳のときでした。その後間もなく病に伏し、生涯を閉じた場所が華頂山知恩院なのです。

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参考文献:(株)廣済堂 豊かな死を受け入れるために,2020