意外と知らない『神社が作られた意味』お参り方法

日本に住んでいて神社に行ったことがないという方はほとんどいないでしょう。お参りといえば神社。神社とはそれほど私たちの生活に馴染みのあるものなのです。しかし神社の成り立ちやつくられた意味を問われると、なかなか答えられなかったりします。結論から申しますと、神社とは基本的に神様を祀りやすくするためにつくられたものであるといえるでしょう。

崇高な神様が降り宿る特別な場所

その昔、日本の国土を開発した大国主命(おおくにぬしのみこと)は小名昆古那神(すくなびこなのかみ)と一緒に国づくりをしていました。しかし、小名昆古那神はその途中で常世の国へと帰っていってしまいます。突然ひとりきりで取り残されてしまった大国主命は途方に暮れ、今後どのように国づくりを行えば良いのかと海辺で頭を抱えます。するとそこに海を照らしながら大物主神(おおものぬしのかみ)が現れ、「私を大和国(現在の奈良県)の三輪山に祀れば国づくりはうまくいくだろう」と告げたと「古事記」や「日本書紀」に記されています。これが日本で一番古いとされる大神神社の始まりです。大神神社は、一説では日本国がつくられるよりも前から存在していたともいわれています。

 ちなみに大神神社に本殿はありません。これは三輪山に神様がいらっしゃるとされているためです。しかし、実際のところ大神神社がいつどのようにつくられたかというのは不明な点も多く、今現在に至るまで明確には判明していません。ただし日本に現存する最古の歴史書や正史に大神神社が記載されていることだけはわかっています。

人間が侵犯しない神様のための土地

さて、「常陸国風土記」にも焦点を当ててみることにしましょう。ここには次のような話が収録されています。
矢括氏の麻多智が葦原を開墾し田を耕したところ、蛇の姿で角を持った夜刀の神が集まり、耕作させないように妨害をしてきました。これに怒った麻多智は矛で夜刀の神を山へと追い払います。その後、里との境界に杖を立てて「ここから先は神の土地としましょう。ただしこちらは人が田を耕す土地とします。私は神を祀る神主となりますので、どうか祟らないでもらいたい」と申し出たというものです。

 神様の領域をあらかじめ区別しておけば、うっかり侵犯してしまうというような間違いを防ぐことができます。つまり、祟りを受ける心配がなくなるということです。

 神社がつくられる前は祭壇に神を迎えて祭りを行っていたとされていますが、あらかじめ通常の場所とは違う神聖な場所として区切っておけば、いつでも神に祈りを捧げることができます。また、違う神を招いてしまうこともありません。

力を誇示するためにも有効だった

古代の人々にとって自分たちの土地に強い神様を祀っているということは、すなわち自分たちの勢力の強さを示すこととイコールでした。強い神様を祀っていることを視覚的に示す上で、神社は非常に重要な意味をもっていたと考えられます。

 以上の話をまとめると、神社がつくられた意味とは人間が侵犯し得ない神様のための場所の確保のほか、神様に奉仕し、またその意思を知るための場所でもあったわけです。加えて祭祀者を明確にし、その力を誇示するための要素も含んでいるといえるのではないでしょうか。

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