結婚式には「仏前」もあるのです
1月某日、私は増上寺にいました。
フリーアナウンサーで、仏像インフルエンサーとしても活動されている「久保沙里菜」さんが、「仏前結婚式」をあげると聞き、取材させていただく事になったのです。
「結婚式」というと、神父さんの前で永遠の愛を誓う「教会式」を思い浮かべる人が多いと思います。または、神社で行う「神前式」が浮かぶ方もいるかもしれません。
しかし実は、お寺で行う「仏前式」もあるのです。
年齢が上がってくると、そもそも結婚式に参加する機会が減ってきます。
その中でも、さらに珍しい(結婚式全体の1%くらい)「仏前結婚式」を見学できるご縁をいただき、有り難い機会に喜び勇んで、増上寺までやってまいりました。
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仏前結婚式では「縁」を大切にする
前日に降った雪もやみ、快晴の中、白無垢に身を包んだ久保沙里菜さんが現れました。
式の前に、芝公園周辺での写真撮影。増上寺の門や、東京タワーなどを背景に、映え写真を撮ります。
芝公園では、何かのオリエンテーションを行っており、参加者から次々に「おめでとう!」の声がかかりました。「こりゃいい事あるぞ」という方もいます。やはり「結婚式」というのは「縁起物」なのです。
新郎新婦が増上寺の控室に入り、いよいよ式が始まります。
ご友人や関係者が外陣のイスに座り、若干ザワつきながら、思い思いに開式を待っていたのですが、開式の合図である鐘が鳴ってからは厳かな雰囲気に包まれました。
新郎新婦が、お花を持って入堂してきました。お釈迦さまの前世が記されている「ジャータカ物語」というお話を元にした「行華(あんげ)」という作法です。
前世からの縁がつながり、今生でも夫婦となったお釈迦さま夫婦。このお話にならい、増上寺では「行華作法」を結婚の証としているということです。
戒師(儀式の導師)から、仏教の「戒」を授かり、新郎新婦は「仏弟子」になります。
夫婦の縁を結ぶと同時に、仏さまとの縁も結ばれるのです。
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お数珠(寿珠)の交換
戒師から聖なる水をいただき、懺悔をして、新郎新婦は無事に仏弟子となりました。
「懺悔することなどない」と思っている人でも、これまでの人生で、知らず知らずのうちに人を傷つけたり、誰かのジャマとなったりしているものです。そのため浄土宗では、儀式の際に必ず懺悔をします。
式中盤、戒師によるお数珠の授与が行われました。プログラムには縁起をかついで「寿珠」と書かれています。
その後、新郎新婦による指輪の交換が行われ、戒師の合図のもと、親族や列席者の前で、永遠の愛を誓いあいました。
以前参加したことのある、教会での式もいいものでしたが、お寺で、僧侶の進行によって行われる式は、また別の味わいがありました。
凛とした空気でありながら、緊張しすぎる訳でもない、バランスのよい雰囲気の中、無事に儀式は終了しました。
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久保沙里菜さんはアナウンサー
アナウンサー久保沙里菜氏
戒師が退堂したあと、新郎新婦による親族の紹介がありました。
新郎が、親族の赤ちゃんの名前をど忘れしてしまうハプニングもあり、和やかに進んでいましたが、新婦である沙里菜さんが、声量と滑舌でアナウンサーの力を見せつけ、外陣が若干ザワつくという事件もありました。
沙里菜さんは、小さい頃に、お祖父さんが増上寺近くの病院に入院していたことから、よく参拝していたとのこと。
「仏像はナマモノ。会うたびに自分の心情によって見え方が変わる」という沙里菜さん。当日の阿弥陀さまは、「いつもよりも優しく、温かかった」と仰っていました。
新郎新婦の退堂の際、増上寺の特別な計らいで、お祝いの散華が降り注ぎました。
吉祥 吉祥 大吉祥。
ここよりもお世話になっている芸人のみほとけさんや、仏像研究家の田中ひろみさんともお会いでき、参列しただけの私にとっても佳き日となりました。
芸人 みほとけ氏
仏像研究家 田中ひろみ氏
これから結婚式を考えている方は、ぜひ「仏前結婚式」も候補に入れてみてください。
今までの自分を作ってくれた縁や、これからの自分が結ぶ縁について考えながら、人生の節目を迎えられると思います。
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立正大学仏教学部卒業。東京仏教学院卒業。浄土真宗本願寺派僧侶。
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