ギザンさんとの出会い

私と、仏師・加藤巍山氏との出会いは、8年ほど前にさかのぼります。
私がまだ目黒の寺院で住職をしていた頃、その寺院内で「仏師×僧侶×学芸員」というクロストークイベントをご一緒したことから、縁をつないでいただきました。
そのイベントで、司会者から「若手仏師で3本の指に入る」と紹介されたギザンさんのことを、何かあるごとに「さすが3本の指に入る男」「3本の指に入る男は違うな…」とイジっているうちに打ち解け(スミマセン)、いつの間にか、食事などをご一緒する仲になっていました。

高村光雲の流れをくむ、立派な仏師のギザンさんですが、普段はお茶目な方で、私のくだらない話につき合ってくださるのです。いつも甘えてばかりでごめんなさい。
知り合ってから8年経つうちに、ギザンさんは驚きのスピードで階段を駆け上がり、数々の個展を成功させ、海外で作品が落札され、一昨年には、なんと「情熱大陸」に出演を果たしました。

それでも、私のことを覚えていてくださり、今回、東京国際フォーラムに招待してくださったのです。

「天地開闢(てんちかいびゃく)」

国際フォーラムでは「アートフェア東京」という日本最大のアートイベントを行っていました。
絵画や彫刻など、他のアーティストの方の美術品もたくさん並ぶ中、ギザンさんの「天地開闢(てんちかいびゃく)」は、まるでフェアの大トリを飾るかのように、順路の最後に展示されていました。

私は僧侶ですが、仏像にはさほど興味がないので(重ね重ねスミマセン)、素人のような感想になってしまうのですが、ギザンさんの作品には、どこか「格好よさ」を感じます。
「祈り」や「畏れ」、「信仰」といったテーマの作品も、ムキムキの筋肉で作られており、なんとなく「少年マンガ的」な線の格好よさがある気がするのです。

展示の入り口には、天地を創造した神のことが詩で表現され、さらに、映像で恭しく作品の紹介がされていましたが、それも「格好よさ」の演出になっているように思えるのです。勿論それだけではないのでしょうが。

仏師として、彫刻家として

ゆっくり展示を観たあとで、本人にお話を聞くことができました。

佐「『祈り』や『信仰』についての作品が多いのは、なぜですか?」
巍「『祈り』って、文字が生まれる前から、人間が行っていた行為だけど、テクノロジーの発達に伴って『ないがしろ』にされてるような気がして」
佐「なるほど」
巍「この時代の中で、失われつつある『祈り』の心を、彫刻で表現したいんだよね」

佐「実は、前から思ってたんですが、わりと筋肉ムキムキの像が多いのはなんでなんですか。『祈り』の表現を筋肉で表してるんですか?」
巍「いや、そこは、祈りとかじゃなくて、美術品として格好よく彫ろうとしてるから(笑)」
佐「!!」
巍「自分は仏師だけど、彫刻家でもあるから。彫刻としての格好よさも出したいじゃない」

実に単純明快な回答をいただき、私は目が覚める思いがしました。
この「けれん」が、加藤巍山の良さなのです(たぶん)。
「祈り」や「信仰」の対象であるからといって、「飾り気」や「格好つけ」の部分を排除しなければならない訳ではないのです。
彫刻としてはむしろ、後世に遺すために、「格好いい」必要があるのではないでしょうか(素人考え)。

私は、清々しい気持ちで会場を後にしました。
ギザンさんの作品から感じたことを、今後の伝道に活かせる気がしたのです。
「仏法を伝える言葉も、自分らしく格好つけたっていいじゃない」
そう言われた気がして(実際は言われてません)、今やっていることを突き詰めていこう、と決意をあらたにしました。

またギザンさんと会える日が楽しみです。

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