大切な家族の一員であるペットが亡くなった時、人間と同じように、火葬・納骨・葬儀を行う人が現代では珍しくなくなっています。
愛するペットとのお別れの時にもきちんと向き合い、送り出してあげるためにも「ペット葬」の基本的な情報をご紹介していきます。



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近年増え続けているペット葬とは

「ペット葬」とは、買っていた犬・猫・小動物などのペットが亡くなったときに執り行う葬送の儀のことです。
納棺、火葬、納骨、人によっては僧侶を呼んで読経やご焼香を含む葬儀が行われることもあります。
人間の葬儀よりは簡略化されてはいるものの、一連の流れはほぼ同じようなものです。

ペット葬が増えている背景

現代でペット葬が増えている背景にはいくつかの理由があります。

ペットの寿命が昔よりも延びた為、家族の一員としての認識と絆が強まった

昭和半ばあたりまでは、犬猫と言えば、餌は残り物、動物病院も少なく、死んだらどこかに埋めるか保健所が引き取って処分する、というのがスタンダードでした。
しかし現代では動物医療は進歩し、庶民の生活レベルが上がったとともにアニマルライツの意識も格段に上がり、ペットを取り巻く環境もずいぶん変化しました。

ペットフードもヘルシーで栄養価の高いものになるのと比例して寿命も延び、人間と一緒に過ごす時間が増えたことで、ただの動物ではなく、人生の一部を一緒に過ごした家族・パートナーだと感じる人が増えたのです。

そんな大切な存在を失うことは、強いショックでもあり、悲しみでもあります。
ペットのためにも自分の心の整理のためにも、きちんとした葬儀を行いたいというのは自然な気持ちなのではないでしょうか。

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昔のようにペットの遺体を土葬できない

昭和以前と違って今はペットの遺体を庭やそこらに軽々しく埋めることはできません。
マンションや庭のない家でしたら土のあるスペースがありませんし、自治体が禁止しているところも多いでしょう。

庭があったとしても、埋めたあとに引っ越してしまったら離れ離れになってしまいます。
ペット葬を行えば、お墓への納骨までペット葬業者が執り行ってくれます。

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ペット葬、供養の歴史

日本における「ペット葬」は古く見ても戦後からとされているようで、東京のとある動物霊園を併設した寺院が始まりだと見られています。
それでも昭和半ばまではペット葬はまだそれほど一般的ではありませんでしたが、人々の経済状況の変化とともに増加をたどり、次第に全国へと広まっていきました。

そもそも仏教が盛んな日本では、動物もまた人間と同じく六道を巡る存在であるとされ、馬頭観音や地蔵菩薩などがあらゆる生き物を救う仏として古くから信仰されてきました。

日本全国の道すがらで馬頭観音が祀られていたり、また家畜の供養碑が多く建立されていることからもそれが伺えます。

ペットの遺骨はどうする?

ペットを火葬したあと、遺骨はどのように保管するのでしょうか?
いくつかのパターンをご紹介します。

個人宅に保管する

ペットを火葬してその姿形が変わったとしても、大切な子と離れがたいと感じる方は多くいます。
そんな方は手元供養として自宅に御遺骨を安置するという形を取ると安心感があるかもしれません。
特に深い絆で結ばれていたペットと突然の別れとなってしまった時にはなかなかすぐに心の整理もつかないものです。

簡単な仏壇のように小さなスペースを用意して置くも良し、また遺骨そのものは収納して、見える場所に写真などを飾るのも良し、弔う人が一番心安らかになれるよう自由にセッティングできるのが手元供養のメリットです。

生前ペットが好きだったおやつや玩具などを供えて。

自分の心が納得するまで語りかけてあげることも、ペットを亡くした飼い主のメンタルケアになるのかもしれません。

ペット霊園の合同墓に保管する

ペット霊園には様々なタイプの墓がありますが、一つの大きなお墓の中に多数の他のペットの骨を合同で収め、供養するお墓のことです。
合葬墓、合祀墓とも言います。

霊園にあるお墓の中ではおそらく最もリーズナブルなものです。
一つの大きなお墓の中に他のペットの骨と一緒に納骨されるので、後から自分のペットの骨だけを取り出すということはできません。
お墓参りに行った時にも、他の見知らぬペットの納骨されているお墓に手を合わせることになります。
また個人で管理の必要がなく、永代で供養を受けることができます。

ペット霊園の個別墓に保管する

ペット霊園にももちろん人間の墓と同じく個別墓があります。
合同ではなく、自分のペットだけのスペースが欲しいという方は個別墓が良いでしょう。

そのペットだけのお墓を新たに購入することになるのでその分の出費はありますが、自分達だけの特別な場所が欲しい方は個別墓を用意し、お墓参りに行った際にはお墓の前でゆっくりと時間を過ごし語りかけてあげられるのが個別墓のいいところです。

ペット霊園の納骨堂に保管する

納骨堂とは、遺骨を安置するための建物もしくは専用の収蔵スペースのことです。
合同墓は遺骨を直接墓の中に入れますが、納骨堂は骨壷に収めたまま用意されたスペースに安置しますので、後から遺骨の引っ越し(改葬)をすることが可能です。
区画のある合同スペースなので、個人の管理も不要です。

個別墓は管理が大変、でも他のペットの骨と混ざり合う合同墓もちょっと…
という方にはちょうどいい選択であるといえます。



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ペット葬に掛かる費用相場

ひとことで「ペット葬」といっても、その種類から体の大きさ等によって費用相場はまちまちです。
次にペット葬にかかる費用の相場をご紹介します。

ペットの火葬にかかる費用

火葬の種類は
「合同火葬(他のペットと合同で火葬をする。返骨やお骨拾いは出来ない)」
「個別火葬(単体で火葬をする。返骨が可能かどうかは業者による)」
「個別立会火葬(人間の火葬に近く、出棺・火葬立会・納骨をすることが可能)」
の3つがあり、プランによって費用は変わります。
(※金額はあくまで目安です)

小動物(小鳥・ハムスターなど)の火葬費用の相場

合同火葬・・・5,000~10,000円程度
個別火葬・・・15,000~30,000円程度
立会火葬・・・20,000~40,000円程度

小型犬や猫、ウサギ(5キロまで)の火葬費用の相場

合同火葬・・・10,000~20,000円程度
個別火葬・・・15,000~30,000円程度
立会火葬・・・20,000~40,000円程度

大型犬(15キロまで)の火葬費用の相場

合同火葬・・・20,000~30,000円程度
個別火葬・・・25,000~35,000円程度
立会火葬・・・30,000~50,000円程度

ペットの埋葬にかかる費用

合同墓へ埋葬する際の費用相場

5,000~30,000円程度

個別墓へ埋葬する際の費用相場

100,000~300,000円程度

納骨堂へ埋葬する際の費用相場

1年あたり10,000~100,000円程度
(ペット納骨堂は年間貸出契約のところが多い)



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ペットが亡くなった時にすること

大切なペットが亡くなったときに動揺してしまうのは仕方のないことです。
しかし、いつまでもそのままでいる訳にはいきません。
きちんとした形で送り出してあげるためにも、亡くなった時にすることをあらかじめ知っておくことをおすすめします。

死後硬直に備える

生物は死んだ直後から死後硬直が始まります。
不自然な体勢のままにしておくと後で体を伸ばすことができなくなってしまいますので、硬直が始まる前に自然な体のかたちに整えておきましょう。

体を冷やす

生物は死んだ直後から腐敗が始まります。
火葬の段取りが決まるまで、お別れの時までなるべく生前の姿を留められるように努めなければいけません。
まずペットの体より少し大きめの箱(木箱や頑丈な段ボール箱)を用意し、中にペットの体とドライアイスや保冷剤を入れ、冷温の状態を保持しましょう。
(氷は溶けてしまうので避けたほうがよいです)

ペット火葬、供養の準備

ペット葬儀の業者、もしくはペット葬を受け付けている寺院や動物霊園に問い合わせます。
ペット葬が一般的となった今では葬儀業者にもノウハウが有りますので、ペットの詳しい状況を伝えた上で相談すればそれにふさわしいプランを選ぶことが出来ます。
電話、もしくは対面で打ち合わせを行った後は業者が準備を進めます。
必要なものだけこちらで用意したら、葬儀の時までペットと時間をともにすることが出来ます。
もし葬儀業者に心当たりがなければ、かかりつけの動物病院に聞いてみれば教えてくれると思われます。

ペット葬の流れ

「ペット葬」と言われても、何をどうすればいいのかわからないというのが正直なところだと思います。
しかし、それほど難しい話ではありません。
実際は「ペット葬」というのは人間の葬儀を簡略化したようなものです。
ここでは葬儀の流れを紹介します。

遺体と一緒に葬儀場に向かう

ペットの遺体は基本的には葬儀まで自宅で安置することになりますので、当日は遺体を箱やキャリーケースなどに収納して、参列者とともに葬儀場へ行きます。
服装の規定はありませんが、ペットとはいえ葬儀の日ですから、黒や暗い色の服がふさわしいでしょう。

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葬儀を行う

プランによって、一般的な葬儀と同じように僧侶を招き、読経やご焼香、お別れの儀を行うことが出来ます。
ペットのことを偲びつつ、今までの感謝の気持や愛情を込めて冥福を祈りながら参列しましょう。

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STEP
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ペット葬とはまとめ

ペットと暮らし生きる人にとっては、ペットはかけがえのない唯一無二の存在です。
亡くなった時には自らの身を切られるような深い悲しみと痛みの中に沈んでしまうことでしょう。
しかし、生きとし生けるものが死から逃れることは出来ません。
それを理解し、終わりではなく新しい別世界へ送り出してあげるような気持ちを持ってみることも大切です。
ペットのためにも、自分のためにも、悔いのないように葬儀を執り行い、たとえ体は離れてもいつも心は一緒だと伝え、愛と感謝をもって送り出してあげましょう。

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