告別式とは

告別式とは、その言葉の示すように、亡くなった人に別れを告げる儀式です。
遺族や友人などが焼香、玉串奉奠(たまぐしほうてん)、献花などを行うことで、故人に別れを告げます。

告別式と葬儀の違い

告別式と葬儀が混同され、総称して「お葬式」と呼ぶことが一般的となっておりますが、本来は告別式と葬儀はそれぞれ別の意味をもった儀式です。

告別式は参列者が焼香などをして故人にお別れを告げる儀式で、喪主が中心となって行うのに対し、葬儀は僧侶が中心となって故人を弔う宗教的な儀式となります。

現在、開式から遺族・親族の焼香までを「葬儀」。一般の参列者の焼香から閉式までを「告別式」とされるのが一般的となっています。

遺族や親族の告別式は、出棺後に火葬場へ移動し、収骨(拾骨)などを行い、精進落としを食べるまで。一般の参列者にとっての告別式は、火葬場へ向けて出棺した段階までとなります。

告別式の歴史

告別式の歴史は思いのほか浅く、明治のころ、思想家で政治家の中江兆民(なかえ ちょうみん)が、告別式の始まりとされる儀礼を生んだとされます。

中江兆民は、無宗教による葬送を希望。「遺骸は解剖に附すること」「葬儀は行わないこと」と遺言を残し、遺族や友人などが、焼香の代わりに棺の前で敬礼、読経の代わりに、演説、弔辞、弔歌、弔詩を行い、死者への哀悼と告別を述べることを中心とした儀式を考案しました。

告別式の流れ

告別式
(遺族・親族・一般参列者)
読経・参列者焼香 葬儀と同時進行する形で、告別式が行われます。

焼香は僧侶が読経している最中に行います。

焼香順は僧侶→喪主→遺族→親族→一般参列者です。
おおむね席次の通りで、司会者からも案内があります。

僧侶が退場後、宗教儀式としての葬儀が終わります。
花入れの義 お花入れの儀では、遺族や親族を中心に、祭壇花や供花などを棺の中に手向けながら故人と最期のお別れをします。

喪主、遺族、参列者の順で切り花を棺の中に納めます。
釘打ちの義
※釘打ちを行わない場合があります
棺に蓋をして、喪主から順番に棺にくぎ打ちをします。
※釘打ちの義を行わず、皆さんでお手添えをしてお蓋閉めのみとなる場合がおあります
喪主挨拶 喪主が参列者に対し挨拶をします。
喪主に代わり遺族代表が挨拶するケースもあります。
閉式の辞 司会者が閉式の辞を述べます。
葬儀・告別式が終了となります。
出棺 遺族や親族で棺に手を添え寝台車に移動させ出棺となります。
告別式
(遺族・親族)
火葬 火葬場に到着後、遺体を荼毘(だび)に付します。
収骨(拾骨) 火葬された遺骨を骨壷に収めることを骨上げまたは収骨と言います。
繰り上げ初七日法要 繰り上げ初七日法要は、葬儀に組み込まれる場合があります。
精進落し 遺族が僧侶や手伝いをしてくれた方、参列してくれた方々に感謝しねぎらうとともに、故人を偲びながら食をともにするために設ける宴席です。

*東京近郊の例となっております。告別式の流れは地域によっても異なります。詳細は葬儀社の担当者にご確認ください。

告別式に参加する際のマナー

葬儀・告別式に出席する際、立場などによって服装の格式は変わります。
服装は最低限のマナーです。
その都度自分にふさわしい装いを選びましょう。

服装のマナー

カジュアルな服装や肌の露出を避け、光沢のある装飾品・殺生をイメージさせるもの(毛皮やクロコなど)は避けましょう。

男性の服装マナー

略式礼服である喪服(ブラックスーツ・ブラックフォーマルなど)で、生地は黒で光沢 素材でないものが一般的です。

女性の服装マナー

略式礼服である喪服(ブラックスーツ・ブラックフォーマルなど)で、パンツやワンピース・アンサンブルのスタイルが一般的です。
露出の高いデザインは避け、トップスの袖丈は長袖から5分袖、スカート丈は膝か らふくらはぎ丈が上品に見えます。

学生・子供の服装マナー

学生の場合は喪服の代わりにいま通っている学校の制服を着用しましょう。
学校によっては、明るい制服やパンツやスカートがチェック柄の場合など黒以外の場合もありますが、学生服が正装とされているので問題ありません。
葬儀の場にふさわしい服装として、ワイシャツをズボンの中に入れる、スカート丈をいつもより長くするなど、校則に従った着こなしをしましょう。

↓服装のマナーについて、より詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

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香典のマナー

お通夜や葬儀、告別式への参列にあたり、ご遺族への心遣いはとても大切。
お香典にもマナーがあり、基本的なマナーを押さえておく事で、いざという時にあわてず、個人を偲ぶことができます。

香典袋の書き方

仏式でみられる、「御霊前」と「御仏前」。亡くなった人を「霊」としてとらえ、四十九日目に成仏して「仏」となるという考え方から、お通夜や葬儀で香典を持参する場合は「御霊前」とし、四十九日忌の法要を過ぎてからは「御仏前」とするのが一般的ですが、浄土真宗では、亡くなった方は阿弥陀さまの力によってすぐに成仏できると説かれているので、四十九日忌法要の前でも「御仏前」とします。

宗派が確認できない場合は、「御香典」とするのがよいでしょう。「香典」は「線香の代わりにお供えするもの」という意味で、失礼にはあたりません。

キリスト教では「お花料」が一般的。カトリックでは「御ミサ料」も使われます。意外と知られていませんが、「御霊前」でも間違いではありません。亡くなった方は「精霊」になるからです。

プロテスタントでは「御霊前」を使用しないので、注意が必要です。
神式では「玉串料」「御榊料(おさかきりょう)」とすることが一般的ですが、「御霊前」も使用されます。「お香」を用いないため、「御香典」とはしません。

香典袋と水引の選び方

水引は、色や結び方により、それぞれ種類が異なります。宗教や金額によっても変わってくる場合がありますので、適切な香典袋を選びましょう。

仏式では、「二度と繰り返すことのないように」という意味を込め、「結びきり」という水引を使用します。すぐに解けてしまう蝶結びの水引は「慶事用」ですので注意してください。

色は黒白、もしくは銀色です。関西の一部では、黄白とする場合もあります。

キリスト教では、水引は不要となります。白無地か、百合の花か十字架が印刷されている封筒を選びましょう。

神式でも同じく黒白か銀が使用される事が多いですが、白一色も使われます。

香典の金額が5,000円程度までなら、袋に印刷されたもの、10,000円以上なら、実際に黒白の水引がついたものとする場合が多いです。銀色は30,000円以上の際に使うのが一般的です。

ふくさの包み方

香典袋は「ふくさ」に包んで持参します。絶対に香典袋を折ったり曲げたりしないようにしましょう。
「ふくさ」は、紫色を持っていると慶弔どちらでも使用することができます。
訃報を受けてから慌てないよう、事前に準備しておきましょう。

お金の包み方

紙幣の「肖像画の面が、中袋の裏を向く」ように入れます。故人が亡くなった悲しみから「顔を伏せる」という意味があります。

2枚以上の紙幣を入れる場合は、向きもそろえましょう。

また、新札を避けて、旧札を入れるようにしてください。きれいな状態の紙幣を入れると、故人の死を予期し、準備していたようであるという事からくるためです。

どうしても新札しかない場合は、折り目をつけるなどして配慮してください。

紙幣を中袋に入れ、外袋の中央に置き、左・右の順番に折って包み、さらに下・上と折って重ね、水引をつけて完成です。ふくさに包み、持ち歩いてください。

↓お香典に関するマナーについて、下記に詳しく記載しています。

仏事の作法
お通夜の香典袋の選び方と書き方、お札の向き、マナーを解説

故人とのお別れの場所である通夜では、まずは故人を弔う気持ちが大切ですが、参列する際の香典の渡し方や、金額、マナーなどで悩む方も多いのではないかと思います。
急なお通夜の参列に備え、お通夜のマナーと香典の相場などを詳しく紹介します。

お通夜と告別式はどちらに出るのが良い?

お通夜は、故人と親しかった人たちが別れを惜しむ場であったので、一般の弔問客は、翌日の告別式にて故人に別れを告げるというのが一般的でした。

ですが、近年では、一般会葬者は通夜にのみ参列する場合が多く、都市部ではその傾向が特に強くなっています。

その理由として、平日の昼間に行われる告別式に参列するために会社を休むという場合、故人との血縁関係のない一般参列者は忌引きで休みを取ることができないなどの理由から、夜に開かれることの多い通夜にのみ参列する風潮ができました。

芸能界の告別式「偲ぶ会」「お別れ会」について

最近、芸能人や著名人が亡くなられた際に「葬儀は近親者のみで執り行い、後日、故人を偲ぶ会が行われます」というケースが多くなりました。

この「故人を偲ぶ会」は、親族や近親者のみで葬儀を実施した後に、別途一般の会葬者などを招いて故人とのお別れをするために催す会のことで、故人を偲ぶ会やお別れの会は、告別式と同じ意味になります。

まとめ

遺族として、また参列者として、いつ立ち会うともしれない告別式。
故人を穏やかな気持で、落ち着いてお見送りできるよう、事前に告別式の持つ意味や式全体の流れ、マナーを知っておくと良いでしょう。

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