「キン肉マン」は友情の物語

キン肉マンたち正義超人の力の源は「友情パワー」です。
正義超人たちは、いつも仲間同士助け合い、あるいは、あえて手を貸さずに見守ったりしながら、敵と闘ってきました。

少し思い出すだけでも、「自分が傷つくのも厭わず、味方を助けるために動く」というシーンが、数えきれないほど出てきます。

キン骨マンのライフルからスグルを守ったテリーマン。
スクリュードライバーの実験台になったラーメンマン。
バラバラになったミートのために集まったアイドル超人たち。
死んでしまったスグルのために、自らの命を差し出したウルフマン。
ウォーズマンの体内から脱出する時間を作るため、崩れるリングから先輩たちを守ったジェロニモなどなど。

正義超人たちのこの行動は、仏教の修行でいう「布施」にあたります。
「布施」は、今では「お坊さんへの金銭的な御礼」という意味で使われがちですが、本来は「自分にできることを、まわりのために施すこと」という意味です。
正義超人たちのいう「友情」は、まぎれもなく「布施」の精神と繋がっています。

悪魔にだって友情はある

今回アニメ化された「完璧超人始祖編」では、正義と悪魔が共闘します。
テリーとの握手を拒んだバッファローマンも、完璧超人打倒のために共に闘います。
表向きは「お前たちのためじゃない」と言うバッファですが、客観的にみて共闘しているといえるでしょう。
悪魔超人に戻ったはずのバッファローマンは、なぜ、正義超人たちと共に闘ってくれたのでしょうか。

印象的なシーンが出てきます。
バッファローマンは、「人の命を奪った瞬間というのは、どんな相手であれ、業を新たに背負ったような、独特の黒い感覚が、全身にまとわりつくように降りかかる」と言います(ジャンプコミックス48巻P9)。
そしてさらに、正義超人に対し「今回はおまえらを巻き込むわけにはいかん」
「なぜなら、オレたちの目的は和解ではない。あいつらの皆殺しにある。そんなことが、おまえらにできるか?」
「汚れるのはオレたち悪魔だけでいい」と続けるのです(ジャンプコミックス48巻P23・24)。

「相手と分かり合うため」に闘っている正義超人に対し、悪魔たちは、あくまで「敵を皆殺しにするため」に闘うのだ、と主張してきました。
しかし、その言葉のウラには、正義超人に対する深い思いやりが隠れていたのです。

ウォーズマンのコンピューターによると、
「オモイヤリ+ヤサシサ+アイジョウ=ユウジョウ」の公式が成り立ちます。
バッファローマンの言葉には、明らかに「ユウジョウ」を成り立たせる3つの要素があります。

やはり「悪魔にも友情はある」のです。

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