再び、リングに稲妻走る!

2024年7月7日、なんと「キン肉マン」の新シリーズがアニメ化されました。
40代後半である私が小学生の頃、連載は一度終了したのですが、2011年にネット上でその続きが始まり、瞬く間に人気となったのです。

あの頃の読者や、新規の読者。そして作者である「ゆでたまご」先生。
さらに、アニメ化のために力を尽くしたすべての方々の「友情パワー」により、今回、32年ぶりにアニメとしても復活を果たした「キン肉マン」。

この、超人たちの友情の物語を、これから仏教で読み解いていきたいと思います。
屁のツッパリは、いらんですよ!

「火事場のクソ力」と浄土宗のお念仏

「キン肉マン」は、友情の物語です。
キン肉スグルのもつ「火事場のクソ力」のパワーの源も「友情パワー」によるものです。スグルは、仲間や、時には敵であった超人たちとも友情を結び、それを力に変えてきました。

最新シリーズで、敵であるパイレートマンという超人が、「火事場のクソ力」には3つの段階があると分析しました(ジャンプコミックス67巻 P158)。
ひとつめは、敵を倒そうとする「己のために出す力」。
ふたつめは、倒された仲間を思っての「友のために出す力」。
みっつめは、闘っている相手をも救おうとする「敵のために出す力」です。

これは、浄土宗の念仏の考えに似ています。お念仏にも、3つの意味があるのです。
ひとつめは、阿弥陀仏のことを思って行う「実践のため」。
ふたつめは、自分が死ぬときに極楽浄土へ行けるように行う「成仏のため」
みっつめは、先に浄土に旅立った人へ行う「回向のため」です。

共通するのは、「まず自分のため」、そしてそれを、「まわりの人のため」に展開することです。火事場のクソ力もお念仏も、まずは自分のために修め、その結果として積み重ねられた力を、まわりに「回し向け」て与えています。
実際に、パイレートマンら「オメガの民」たちは、スグルをはじめとする超人たちの「火事場のクソ力」から「友情」、そして「慈悲の心」を学び、自分たちの星を救うためのヒントを得ました。スグルたち正義超人が、当たり前のように言っていた「友情」が、敵を救ったのです。

スグルの兄、アタルは「恨みや憎しみといった感情は、クソ力と最も相性が悪い」と語っています(ジャンプコミックス71巻 P12)。
そして浄土宗の開祖、法然上人の父は、幼き法然に、こう言い遺しています。「人を恨んではいかん。恨みは恨みを呼ぶだけだ」。

「火事場のクソ力」は、浄土宗の成り立ちともリンクしているのです。

関連記事【キン肉マン法話】

法話&コラム
「負けて成長する」キン肉マン法話#3New!!
法話&コラム
「友情と布施」キン肉マン法話#2
法話&コラム
祝・新シリーズアニメ化! キン肉マン法話#1 「火事場のクソ力はお念仏の心」

関連記事【法話&コラム】

法話&コラム
「負けて成長する」キン肉マン法話#3New!!
法話&コラム
パリオリンピックをお坊さんが仏教的に読みとく
仏事の作法
生前に「帰敬式」を受式していただく法名|浄土真宗本願寺派の法名とは
法話&コラム
「友情と布施」キン肉マン法話#2
法話&コラム
祝・新シリーズアニメ化! キン肉マン法話#1 「火事場のクソ力はお念仏の心」
法話&コラム
【折兄さんの食縁日記】第7回 ~Los Angeles出張~