はじめまして。曹洞宗僧侶の藤井隆英と申します。

直接のご挨拶は初めてですが、既に私の6/28日発売の新著である
「幸せになる坐禅 誰でも5分でできる脱ストレス禅セラピー」

そしてプロダクトである
「zafuざふ」
をご紹介していただいております。

日本仏教のいくつかのセクションのうち「禅」。
宗派は曹洞宗の僧侶です。

本来、「禅」とは智慧の状態のことを表した言葉です。

禅を学ぶとはこの智慧を、
○聞慧(もんえ) :教えを真摯に聞き深く考えること。

○思慧(しえ)  :自ずから興る感覚や感情、想いや考えとして問うこと。

○修慧(しゅうえ):本質視点の実践を通して身心に浸透させていくこと。

を通して身につけていくことで、安らかで幸せな存在となっていくことであり、宗派とは共に学ぶ集団という意味です。

では智慧とは何でしょうか...となるわけですが、それは次回以降のお楽しみに。

これから【禅的智慧の泉】というタイトルにて、仏法、特に禅視点の智慧に沿った生き方指針、そして仏教身体研究家として健康に役立つ記述をしていく所存です。

今回のテーマは「平和の祭典」です。

この言葉で思い浮かぶもの、そう、オリンピックです。

平和の祭典

2021年7月23日。

1964年大会以来、57年ぶりの東京オリンピックが始まりました。

このたびの東京オリンピックは異例ずくめ。

まず、1年延期したということ。そしてほとんどが無観客だということ。

そして開会式前日まで人事や契約、運営に関する混乱が起き続けたということ。

決定時の福島原発アンダーコントロール発言問題から始まり、国立競技場デザインや予算、エンブレム盗作、当時の首相のマリオコスプレ是非、いくつかの競技団体権力者の横暴、委員会会長の女性蔑視発言、開会式音楽担当者や総合演出家の以前の言動や芸に対する批判などにより、辞任したり変更したり。

ボランティアやスタッフへの誠意もないような発言もあったり…。

楽しみ、安堵、感慨、否定、批判、緊張など、個々人の置かれている立場や感覚によって、東京オリンピックに対し想うことは変わるかと思います。
オリンピックは「平和の祭典」と呼ばれます。

それは、ワールドカップなど他のスポーツビッグイベントにはない、
「オリンピズム」という、近代オリンピックの根底となる理念であり哲学的原理が存在するからです。

それは人類の平和に寄与する大変素晴らしい理念です。

「オリンピック憲章」の根本原則には次のようなことが書かれています。

〇オリンピズムの目標は、スポーツを人間の調和のとれた発達に役立てることにある。その目的は、人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会を推進することにある。

〇オリンピズムの生き方は努力する喜び、良い模範であることの教育的価値、社会的な責任、さらに普遍的で根本的な倫理規範の尊重を基盤とする。

〇いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。

〇スポーツをすることは人権の1つである。

このような理念があるからこそ「平和の祭典」なのです。

この理念は、仏法の考える平和とも繋がります。

愛・慈悲心・利他

私が信奉している世界的禅僧ティク・ナット・ハン師。

師が一番大切にしている考え方は「エンゲイジドブッディズム」
《わたしと社会の関係に気づき、善き縁とすべく実践していくこと》です。

世界的に有名な僧侶であるダライラマ14世が、ティク・ナット・ハン師著書へ向けた言葉にこんなことが書かれています。

―――――――――――――――――――――――

個人の内的変革によって世界平和を築いてゆくことは至難の業でありますが、これこそ平和を実現する唯一の方法です。

平和はまず自分のこころのなかで育てなければなりません。

愛と慈悲心と利他の精神こそが平和のもといとなります。

ひとたびこの精神が個々人のうちに育てば、私たちはだれでも平和と調和のこころを創りあげることができます。

そしてこの精神は、個人から家族へ、家族から社会へ、そしてついには全世界へとひろがってゆきます。

―――――――――――――――――――――――

ダライラマ十四世はこの世界に於いて、
「愛・慈悲心・利他」という言葉を使って個人の気づきを育てる重要性を説いております。

オリンピズムはスポーツがその「愛・慈悲心・利他」になるための理念。

仏法の本質的目的は個人の平和的変革意識を育てることから始まり、それが対人、世界に広がることで平和の祭典(ユートピア)を築くこと。

それはオリンピズムと繋がる理念ではないでしょうか。

今回の東京オリンピックにおいて、
競技者、そして携わる方々から発せられるオリンピズムの理念を感じることで、観ている私たちにとって平和の祭典の意味が深まっていくよう。

幕は開かれました。

この期間、1人1人がオリンピズムの理念に沿って、安らかで幸せな存在であり世界に向かっていくことを問い、オリンピックと向き合っていくことが、必ずやこの世界が「平和の祭典」の場となる
「礎」を築いていくことでしょう。

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