増加傾向にある一人暮らし

 現在では核家族化や高齢化が進み、家族の形の変化とともに一人暮らしの人が増えてきました。
内閣府発表の「65歳以上の一人暮らし高齢者動向」によると、2015年には男性は約192万人、女性は約400万人で、今後もさらに増加する傾向にあります。

 そしてその背景の中に、昨今の新型コロナウイルス感染症(COIVD-19)の関連ニュースにもしばしば取り上げられる、重篤患者以外は、病院から自宅に戻されるという状況が、首都圏を中心に、「おひとり様」として高齢者の在宅者数を増やしているという、現状につながるのです。

孤独死と孤立死の違い

 「孤独死」とは、誰にも看取られることなく一人で亡くなってしまうことで、その時にたまたまそばに人がいなかった場合も該当するため、ある意味すべての人が孤独死となる可能性があります。

 また、家族との関係が断たれていて、友人知人がいない、近隣との付き合いが希薄であることなどは、孤独死ではなく「孤立死」になってしまいます。

 このような場合、お葬式を出してくれる人もなく、行政に託されることになります。そしてこの「孤立死」が大きな社会問題として注目されています。

孤独死に遭遇したら

 倒れていて動かないけれども、亡くなっているかはっきりしない。そんな場面に遭遇することがあるかもしれません。このような時はまず救急車を呼びましょう。そこで明らかに亡くなっている時は警察に連絡し、警察が到着するまでは現場のものに手を触れないように注意しましょう。

 最終的に事件性がないことが判明すれば親族に引き取られ、一般的な手続きとともにお葬式を執りおこなうことになります。

 ただ、お亡くなりになった方が高齢者の一人暮らしの場合は親族が見つからないケースが多くあります。また、親族が発見されてもご遺体の引き取りを拒否されることもあります。

 ご遺体を引き取る親族がいなく、全くの身元不明である場合は、「行旅病人及び行旅死亡人取扱法」によって都道府県の地方自治体がご火葬をします。ご遺骨についても誰も引き取り手がいない場合は、一定の保管期間を経て「無縁塚」に埋葬されることになります。

孤独死・孤立死をなくすために

 一番大切なことは、趣味や地域活動を通じて、社会の中で自分からいろいろな居場所を作っておくことです。それは、社会的支援や周囲のサポートによって孤立させないようにすることにもつながります。行政や地方自治体による戸別訪問や安否確認、近所の人や配達員などにも日頃から声をかけておくことたけでも対策につながります。

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