煩悩の数だけ鐘をつく除夜の鐘の回数は?

大晦日になるとお寺から聞こえてくる鐘の音。
皆様も一度は聞こえてきたことがあると思います。
その鐘は多くの寺院では大晦日に107回、新年に1回。

除夜の鐘をつく回数は、合わせて108回鳴らされていることをご存知ですか?

108という数字は人間の煩悩の数と言われています。ここでは、除夜の鐘の回数と、煩悩の関係についてご紹介してまいります。

お寺でつかれる除夜の鐘の歴史

年の瀬になり、大掃除やNHKの紅白歌合戦がはじまると、今年1年が慌ただしく過ぎていった感じになるのは不思議なものです。

そして大晦日、お寺から鳴る鐘の音を、聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
この鐘を除夜の鐘と呼ばれています。

鐘の音が聞こえてくると、1年の終わりを感じる方も多いと思います。

除夜とは大晦日の夜。という意味で使われます。

そこでお寺にある梵鐘(ぼんしょう)を108回鳴らします。

除夜の鐘の回数の内訳は、107回目までは前年、大晦日のうちについて、最後の1回は新年になってからつくのが正式なつき方とされています。
(お寺よっては回数が違うことがあります)

百八の鐘(ひゃくはちのかね)とも呼ばれ、中国の宋時代(960-1279)からの習慣とされています。

仏教発祥のインドでは、梵鐘の起源と結びつく物が無いため、梵鐘を仏具として使っていた中国から生まれた習慣という説が有力とされます。

中国の寺院では毎月月末の夜に108回鐘をついていましたが、いずれ大晦日だけになったそうです。

この鐘を鳴らす文化は宋時代の末期頃に鬼払いの文化として始まったとされていて、その後日本には鎌倉時代(1185-1333)に伝わったとされています。

室町時代(1136-1573)には日本国内では広く仏教行事として一般化され、江戸時代(1603-1868)には多くのお寺で除夜の鐘がつかれてきました。

今も日本国内の多くのお寺でつかれている除夜の鐘ですが、韓国でも行われており、ソウルにある普信閣をはじめ、各地で除夜の鐘がつかれています。

このように日本に伝来し、日本人にとっては大晦日には欠かせない年末、新年を感じることのできる行事へとなっていきました。

お寺でつかれる除夜の鐘と108の煩悩

上記でお伝えしたようにお寺で除夜の鐘がつかれる回数は、大晦日に107回、新年に1回。

合わせて108回鳴らされています。

その108回は人間の煩悩の数とされ、人間の内側にある108の煩悩を除くことを願って108回の鳴らされるといわれています。

煩悩とは自分自身を苦しめる心のことです。
人間が過去・現在・未来にわたって経験する多くの心の迷いや苦しみのことで、それが全部で108あるといわれます。

お寺でつかれる除夜の鐘 108の煩悩の意味

煩悩の数え方は宗派によって異なり、いくつかの説があるとされています。ここでは2つの説をご紹介します。

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① 六根(ろっこん)六根とは、人の中にある5つの五感と第六感のことです。【五感】眼根(視覚)耳根(聴覚)鼻根(嗅覚)舌根(味覚)身根(触覚)【第六感】意根(意識)人に迷いや欲を与えるものとされています。

六根で生じた感覚、状態を表すのが良・悪・平です。

良は快感、悪は不快感、平は良でも悪でもない状態を表します。六根に良・悪・平を掛けると18種類になります。

6 × 3 = 18

ここに浄と染をかけます。

浄はきれい、染はきたない状態を表します。

18に浄・染を掛けると36種類になります。

18 × 2 = 36

さらに前世・今世・来世の三世を掛けます。

前世は過去、今世は現在、来世は未来を表します。

36に前世・今世・来世の三世を掛けると108となります。

36 × 3 = 108

このように六根では、時間と感覚で108種類の煩悩が区分されます。

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② 四苦八苦(しくはっく)四苦八苦とは日常的に使われる言葉ですが、非常に苦労するという意味の仏教用語です。

四苦八苦は2つに分けることができます。

【四苦】生(生きること)老(歳を取ること)病(病気をすること)死(死ぬこと)

【八苦】愛別離苦(親愛な者との別れの苦しみ)怨憎会苦(憎む者に会う苦しみ)求不得苦(求めているものが得られない苦しみ)五蘊盛苦(心身を形成する五感から生じる苦しみ)四苦八苦はこのことから成り立っています。

四苦八苦の四苦は36

4 × 9 = 36

四苦八苦の八苦は72

8 × 9 = 72

この数を足すと108となり、煩悩の数を表していると言われ、108の煩悩を取り除こうという願いをこめて除夜の鐘を108回つくとされています。

お寺でつかれる除夜の鐘 まとめ

ここまで除夜の鐘の歴史から煩悩の種類をご紹介してきました。

お寺でつかれる除夜の鐘は人間の内側にある108の煩悩を除くことを願って、回数は煩悩の数の108回鳴らされるだけではなく、新年の訪れを告げ、1年間の労いと、新しい年への祈りが込められています。

近年ではお寺から聞こえてくる除夜の鐘がうるさいというクレームも増えてきているそうです。

除夜の鐘の歴史と意味を理解した上で、心穏やかに新年を迎えてみてはいかがでしょうか。

皆様が良い1年を迎えられる事を心より願っています。

参考文献「仏教質問箱」(市川智康 著/水書坊)

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