「ドラゴンボール法話26 
「クリリンとヤムチャの差」

多林寺のクリリンと砂漠のヤムチャ

ヤムチャは、天下一武道会の決勝トーナメントで勝ち星をあげたことがありません。
対してクリリンは、バクテリアンや餃子に勝ち、2度、準決勝まで進出しています。
同じ亀仙人に師事しながら、なぜこの差が生まれてしまったのでしょう。

ヤムチャは以前、砂漠で盗賊をしながら、生計をたてていました。
その頃は、基本を伴わないまま、我流で戦闘していたのでしょう。
そのためか、ジャッキー・チュンには「動きにムダがある」(ジャンプコミックス巻四 p15)と評され、神様が扮したシェンには「足元がおるすになってますよ」と指摘を受けてしまいます。

クリリンは、亀仙人のもとに来る前は、「多林寺」というところで武道を学んでいました。
その頃はまだ弱く、先輩からいじめられたりしていたようですが、亀仙流を学んでからは、徐々に力をつけていきました。

武道も仏教も「まわり道」が必要

以前にドラゴンボール法話#11でお伝えした通り、亀仙流の基本は「心の余裕」にあります。

心にゆとりを持ちながら、徐々に強くなっていったクリリン。さらに言うと、亀仙人に弟子入りするために「エッチな本」を持っていくという要領の良さも持っていました。これはひょっとすると、多林寺時代に培われたものかもしれません。

砂漠にいたヤムチャは、今日を生きるために旅人を襲い、金品を奪いながら暮らしていました。「心の余裕」を身に付ける環境ではなかったのです。
その後、亀仙人のもとで修行をするようになりましたが、悟空やクリリンのように、牛乳配達や石ひろいから修行しなおした訳ではなかったのではないでしょうか。
カリン塔に登ったり、神様の宮殿や界王さまのところにも行きましたが、どこかツメの甘さが目立つ武道家になってしまいました。

釈尊は、厳しい苦行を途中でやめ、菩提樹のふもとで瞑想するうちに悟りを開きました。
「苦行」と「瞑想」の両方がなければ、きっと悟りにたどり着くことはなかったでしょう。
仏教も武道も、まわり道が必要なのです。

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著者紹介

鶯 蒼治郎
謎の浄土宗僧侶。
その正体は闇に包まれているが、以前は目黒で活動していたS山T郎ではないかとも言われている。
《著書》
三笠書房・知的生きかた文庫より『流されない練習』発売中
《関連情報》
根岸・西念寺にて「ドラクエ法話」不定期開催
西念寺ホームページ:http://sainenji.tokyo/