北海道の片隅にある小さなお寺・仁玄寺(にんげんじ)には、
誰かにとっての大切な1冊ばかりを集めた本棚があります。

「あなたの『とっておきの1冊』は、どんな本ですか?」
そんな問いから始まる、本と人生とを巡るインタビュー、お楽しみください。


『なやんでもいいよとブッタは、いった。』KADOKAWA,2014年,小泉𠮷宏

お勧めしてくれたのは、パラレルコミュニティコーディネーターの岩田かなみさんです。(※詳しいプロフィールは文末をご覧ください)

心の仕組みについて、「ちゃんと教えてくれる」本

可愛いブタさんが、心の仕組みについて教えてくれる4コマ漫画「ブッタとシッタカブッタ」シリーズ全8作から、よりすぐりのものをピックアップした総集編『なやんでもいいよとブッタは、いった』をおすすめします。

「自分の都合良いように、勝手に人に期待しちゃって、勝手に裏切られたような気持ちになっているよね」みたいな、結構グサグサ来ることについても、親しみやすく優しく、けれど「ちゃんと教えてくれる」本です。

どんなにさびしくても「自分ができることを」するしかない

このシリーズとの出会いは、大学3回生の時でした。しんどいことが重なった時に、人生の「一時休憩」をさせてもらうために通っていた、大学の保健室みたいな場所の本棚に、最初の3巻があって……手に取ってすぐ、「これや!」と思いました。

私、それまで「自分と向き合う」っていうことを全くしていなかったんです。なんでもかんでも人のせいにしていました。自分が不幸なのは人のせいだと思っていたし、誰かに幸せにしてもらおうと思って生きていました。

「自分の気持ちは、自分が作っていること」とか「自分の気持ちに、自分で責任を持たないといけない」っていう、今思えば当たり前のことを、まだ知らなかったんですよね。
けれど、「ひとりの時 いま何が できる?/(略) 友だちのつごうがいい時なら会えるけど/夜中だったりしたら どうしたらいい?」と語りかけてくれる「いま何ができる?」の詩(pp.102-104)を読んで、「あぁ~そっか。自分で自分の気持ちに責任を持たなあかんし、『自分は今、何が出来る?』って問いかけて、『その時に、自分ができること』をするしかないんやな」っていうのに初めて気づいたんです。

「人生って、そういうことなんや…!」とボロボロ泣きながら読んで、全8巻を買い揃えました。今では、「生きるのしんどいなー」と思った時に読む用の本もいつくか増えましたが、私の「原点」はやっぱり、『ブッタとシッタカブッタ』シリーズですね。



★こんな人におすすめ
「なんでうまく行かへんねやろう」「なんでこんなに、しんどいんだろう」と思っている人

★とっておきの詩
pp.102-104「いま何ができる?」の詩

★この本を紹介してくれたのは…
岩田かなみ さん
パラレルコミュニティコーディネーター
それぞれのコミュニティに所属する多様な価値観や個性を持った方が、ミルフィーユのように重なり、あたたかくて味わい深いロールキャベツをつくれるように、1人1人の思いを聞き、人と人を繋ぎ、イベントなどのチャンスを作り、じっくりコトコト煮込むようにコミュニティをかき混ぜる役割ができたらなぁと模索中。

 

岩田かなみ|note

フリーランスのパラレルコミュニティコーディネーター としてコミュニティを運営中 /旅するコミュニティマネージャーとしてワーケーション実践中/起業したい人と副業し…

関連記事【ここより図書室】

特集
【レシピ本】おうちでできる お寺のごはん 大好評発売中!
編集部から
『葬送のフリーレン』お坊さんが読んでみた【漫画レビュー】
法話&コラム
ほんと、ひと⑤ 『トーマの心臓(萩尾望都)』と、ユミ山本さん
編集部から
『詩集 わが涙滂々―原発にふるさとを追われて』【書評】(小島力 著/西田書店)
法話&コラム
ほんと、ひと④ 『水木しげるのラバウル従軍後記-トペトロとの50年』と、遠藤卓也さん
法話&コラム
ほんと、ひと③ 絵本『ちょっとだけ』と、ゆりあさん