3年ぶりのリアル開催

雨模様の5月のある日、ここより編集部に、向源代表の友光雅臣さんが来てくださいました。
2011年から始まり、12年目を迎える寺社フェス「向源」。名実ともに日本最大の寺社フェスと言われていますが、ここ2年は、コロナ禍によりオンラインでの配信のみにとどまっていました。
今年、ニコニコ超会議のリアル開催に伴い、向源も3年ぶりに復活したのです。

友光さんは、今回のニコ超×向源終了後に、動画で気持ちを表明しています。

そこでは、3年ぶりに対する不安や、コロナ禍などによる時代の変化への不安があったことを、正直に吐き出すと同時に、時代が変わっていくことを受け容れ、世の中は「ひとりひとりの大勢が作っている」のだと再認識した旨をお話されていました。

22ニコ超個人的総括 – YouTube

「自分を大切にしてください」という言葉で、動画は締めくくられました。
12年経って、世の中は変わってしまいましたが、向源のコンセプトは、今も変わっていません。
コロナや戦争など、「何かのため」ではなく、「自分のために」。
昔も今も、「自分の源に向かう」ためのイベント。
それが向源なのです。

ニコニコ超会議2022を終えて

「時代は変わったんだな、と感じましたね」 3年前までは「遊び場」に集まる感覚で向源を率いていた友光さん。
ですが、コロナ禍の2年で、少しずつ変化を感じていました。
「変わらない人もいるし、何かを乗り越えて向こう側にいる人もいる。時代は流れていくけれど、『自分は流されないでね』と伝えたかったんです」

2年間のオンラインでの開催でも、「オンラインならでは」の醍醐味もあり、今回の開催にも生かされたこともありました。

「でも、やっぱり悔しさも残ったんです」

友光さんにとって、やはりイベントやフェスは「リアル」でやるものだったのです。
実際に遊び場を作り、みんなで楽しんでもらい、そこで人と人とが出会い、自分の源に向かってもらいたい。
昨年、築地本願寺から配信を中継しながら、そんなことを思っていた友光さん。
リアル開催が復活したとはいえ、まだ変化の途中であった今年、「変わっていくことを受け容れよう」と思うようになったといいます。

「ステージで法話してくださった方々の話が、みんな着地点を見失っていたような気がしたんです。時代の変化の途中で、確たることが言えなかったんでしょう」

「一人一人が生きていく時代とはいえ現場はチームワークでできていて、時代は変わったような気がしていたけど、変わらないものもあるよな、と」

「だけど、病気や事故にあった何人かの仲間と一緒に迎えられなかったりして、やはりゆっくりとグラデーションで変わっているんです」

「いちばん心に突き刺さったのが、向源として制作した声明公演での出来事でした。日蓮宗の木剣加持の最後で、導師がコロナやロシアとウクライナの問題などに触れながら、浄土真宗を開かれた親鸞さんの『世の中安穏なれ』という言葉を3回発して締めくくりました。日蓮宗のご祈願を浄土真宗の開祖の言葉で締めくくるというやり方は、禁止はされていないけど超宗派であり、圧倒的なリスペクトと意志が込められていて、めちゃくちゃロックでした。」

公式配信映像(5:01:19〜)

「3年ぶりに対する不安はあったものの、最高の現場を作ることができました」
友光さんは、そう語りました。

向源の未来、そして「僧侶・友光」の今後

「3年ぶりのリアル開催は本当に素晴らしいものでした。今後もきっと、『ニコニコ超会議』とのコラボは続けていけると嬉しいです。」

「ただ、神社や仏閣を会場にした向源の主催によるリアル開催は、なかなか難しいと思っています。コロナの新型株や急な変化があった時の中止や延期に耐えられるほど向源に資金力がないので…」

もしも「開催したい」という寺社があって、ボランティアスタッフの皆さんにも賛同していただければ再開できるかもしれない、という友光さん。

向源の原点ともいえる「神社仏閣での開催」ですが、お寺での行事や祭礼の自粛や縮小開催が続いている状況もあり、なかなか再開へのハードルは高いようです。

世の中の安穏が実現し、人が堂々と集まることができるようになった頃、「寺社フェス」向源は帰ってくるのかもしれません。

自分たちの源に向かって歩きながら、ゆっくりと待つことにしましょう。

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