3年ぶりのリアル開催のニコニコ超会議
G・W初日、私は幕張にいました。
3年ぶりにリアル開催される「ニコニコ超会議2022」に参加するためです。
コロナ禍の中、ここ2年はバーチャルでの開催となっていた「ニコ超」ですが、今年ついにリアルで復活したのです。
「ニコニコ超会議」とは、「みんなで作る日本最大級の文化祭」。
登録会員数8000万人を超える「ニコニコ動画」の皆さんが「会議」と称して集まり、ニコニコ動画を地上で再現する、という楽しいイベントです。
数年前から、「日本最大の寺社フェス」である「向源」が参加しており、元々「向源」ファンだった私は、ずっとお手伝いのチャンスをうかがっておりました。
昨年まで諸々で忙しく、なかなか参加できなかったのですが、リアル開催の復活とともに、ついに念願叶ったのです。
「お坊さんと話そう」
そもそも「向源」について知らない方もいると思うので、説明します。
寺社フェス「向源」は、天台宗の友光雅臣師を中心として創設された、宗派や宗教を超えて、様々な日本の伝統文化を体験できるイベントです。
今を生きる人たちに、「自分の源に向かって欲しい」という思いで名づけられた「向源」は、2011年、東日本大震災の年から始まり、今年12年目を迎えます。
私にとっては、増上寺で行われていた5年目から少しずつ関わりはじめ、8年目、9年目には寺院として開催側にまわらせていただくことになった、ゆかりの深いイベントです。
向源のメインコンテンツのひとつに「お坊さんと話そう」があります。
ふだん、なかなかお坊さんとお話する機会の少ない方々に、僧侶が無料で向き合い、お話を聞くという、伝道の最前線のブースです。
私は今回、「お坊さんと話そう」へのボランティア参加と、「袈裟コレクション」という法衣のファッションショーに出演しました。
みんな、宗教に飢えている
ブースに来られた方と話した内容は、守秘義務があり、お伝えできません。
ただ、ひとつ言えるのは、ブースを訪ねてきた方々は、みなお坊さん(牧師さんもいました)に興味をもってきてくれたということです。
「宗教離れ」「檀家離れ」「お寺離れ」などという言葉が聞かれるようになった昨今ですが、それはきっと、立場や組織の大きさに甘えてきた僧侶が見放されていっただけで、人々の持っている宗教心が減った訳ではないのです。
人はいつでも「心の支え」を求めているし、誰かに話を聞いて欲しいのです。
私のところにも、「悩みの相談」だけでなく、「素朴な質問」や「単純に聞いて欲しいこと」を話しに、大勢の人が来てくださいました。
基本的に傾聴しようと思っていたのですが、久しぶりのお手伝いでテンションが上がってしまい、若干説教くさくなってしまった気がしています。
来てくださった方、もし読んでいたら、この場を借りて謝ります。
申し訳ありませんでした。
「徳」に包まれた空間
「お坊さんと話そう」の後ろでは、ずっと「テクノ法要」や「TARIKI ECHO」「キッサコ」などのライブが流れ続けており、喧騒の中でのお話になりました。
だいぶ大きな声で話すことになり、お寺でお話を伺うときのような静かなイメージとはかけ離れていましたが、まわりが騒がしいからこそ、ひょっとするとみんな、胸の内をさらけ出してくれたのかもしれません。
ステージで流れていたのは、単なる音楽ではなく、れっきとしたお経でした。
お経は、写経や読経することはもちろん、聴くだけでも徳を積むことができます。
つまり、あの時あのブースにいた人たちは、すでに徳に包まれていたのです。
2日間の会議終了。そして…。
学生の頃、文化祭などの行事をサボりがちだった私にとって、「みんなで一緒にイベントを作り上げる」という体験はとても新鮮で、楽しいものでした。
3年ぶりに会った向源の友達や、新たな仲間。そして、ブースを訪れてくださった大勢の方々と一緒に会議した経験を、これからの僧侶人生に活かしていこう、と誓い、「ニコニコ超会議2022」は終了しました。
最後に、帰りゆく来訪者たちを、向源ブース全員でお見送りしました。
僧衣のお坊さんに見送られながら家路につく人たち。
びっくりした方もいたと思いますが、好意的に手を振り返してくれた方もいらっしゃいました。
やはり私は、「向源」が大好きです。
来年は、寺院での開催も復活するといいなあ。
〈ニコニコ超会議2022〉
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浄土宗僧侶。ここより編集長。大正大学卒業後、サラリーマン生活を経て、目黒の五百羅漢寺へ転職。2014年より第40世住職を務めていたが現在は退任。ジブリ原作者の父の影響で、サブカルと仏教を融合させた法話を執筆中。