今回のタイトルを読んでピンときた人はきっとジョジョフリークですね。
吉良吉影は静かに暮らしたい
「激しい喜びはいらない…そのかわり、深い絶望もない…植物の心のような人生を…そんな平穏な生活こそ、わたしの目標だったのに…」
そう、もはや国民的マンガとも言える「ジョジョの奇妙な冒険」の第4部『ダイヤモンドは砕けない』のラスボス的キャラ、吉良吉影の言葉です。
じつは吉良吉影の正体はとんでもない極悪な犯罪者なんですが、このセリフに限って少しだけ共感を覚えてしまった人は少なくなかったように思います。
植物のように静かに生きていきたい
テレビやネットでは議論という形を借りて厳しい言葉が飛び交い、誰もがストレスを抱えながら嵐が過ぎ去るのを待っています。
当たり前が当たり前でなくなり、これまでの「普通」が崩れてしまった今、
静かに穏やかに暮らしたい、と多くの人が願っているのではないでしょうか。
なんでこんなに息苦しい世の中なのか。生き苦しい世の中なのか。
どうしたら穏やかな人生を過ごせるのか。
マジメな人ほど損をする、なんて言うけれど
もしかしたら人は「より良く生きよう」「良い人でいよう」という思いと現実との隙間で苦しんでいるのかもしれません。
情報があふれているために、なおさらそんな現実が浮き彫りになってしまうような気がします。
誰かに
「そんなにがんばらなくても大丈夫だよ」
「そのままで十分良い生き方だよ」
「いつもがんばってるね」
そんな風に声をかけてほしい。
自分を大切にすると、きっと他の人も大切にできるはず。
あるがまま、今ここの自分、この世界を受け入れて心静かに過ごす生き方には仏教の匂いも感じます。
『ジョジョの奇妙な冒険』の作者、荒木飛呂彦さんによると、第4部『ダイヤモンドは砕けない』のテーマは「人の心の弱さ」だそうです。
人の心は弱いけど、私はそんな人間がだいすきです。
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秋田県最古の日蓮宗寺院 法華寺副住職。立正大学仏教学部宗学科卒業、同大学大学院文学研究科仏教学専攻修士課程修了。地域のみなさんにお寺を開き、人と人、仏教と人との「ご縁結び」の活動を続けている。