目次
遺影とは
遺影とは、故人の写真、またはその姿を写した肖像画などのことをいいます。お通夜や葬儀の際、祭壇に置いて故人を偲んだり、また個人の在りし日を思い起こさせるような式の演出に使われることもあります。
祭壇に置く大きめの写真と、焼香台に置く用の小さめの写真があり、葬儀には欠かせないものです。
遺影写真の選び方
昭和時代あたりまでは「正装し、正面から肩上の被写体をとらえた写真」という格式ばった形式が一般的でしたが、最近はそのようなステレオタイプにこだわらず、一人ひとりの個性を大切にした遺影写真を選択される方が多いようです。
写真を選ぶ時のポイントはいくつかあります。
①引き伸ばしが可能な程度に鮮明であること
祭儀で祭壇に置く写真は四切サイズ(25.4cm×30.5cm)が一般的ですので、元の写真があまりに小さかったりぼやけていたりすると、大きく引き伸ばしたときに故人の顔や表情が分かりにくくなってしまいます。
大切な葬儀の場で訪れた親族や弔問客が故人の思い出話を語り合うときにぼやけたような遺影を飾るのはよろしくありません。
②なるべく新しい写真であること
映りがいいからといってあまりに昔に撮影した写真を遺影にするのも考えものです。故人を知る人たちが戸惑ってしまうかもしれません。
ただし故人が長い闘病生活を送っていたり施設に長くいたりして新しい写真がない場合は、現存する写真の中からなるべく新しめの写真を選びましょう。
③故人が偲ばれるような写真であること
遺影には決まった形式はありませんので、故人のお気に入りだった写真、または家族の心が温かくなるような自然な写真を選ぶのがよいでしょう。あまりかしこまった固い表情の遺影より、リラックスした笑顔で柔らかな雰囲気の遺影の方が、式だけでなく自宅に飾るときにも、まるで生前の面持ちそのままの姿が、いつも家族を見守ってくれていると思えるのかもしれません。
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遺影を準備するタイミング
遺影を準備するタイミングは非常に難しく、多くの方が苦労しているところです。
故人が長く病気だったりすると撮影することもままならず、突然の不幸だったりすると葬儀の準備時にあわてて過去の写真をひっくり返すことになります。
若い時分なら仕方ないことですが、老境に差し掛かり、そろそろ終活を始めようかと考えた時がちょうどいいタイミングなのかもしれません。
そんなときに自分や家族の遺影を生前撮影する方が増えています。かつては生前に遺影なんて縁起の悪い、などと考えられていましたが、新しい葬儀の形が増えていくにつれ、自分の為だけでなく家族の為に素敵な写真を用意しようと考えるのは自然なことでしょう。
遺影の制作を依頼する場所
ずっと永く残したい写真なら、生前撮影を専門の業者に依頼することをお勧めします。
地元の写真館にお願いすれば、プロとして手腕を振るい、素人では撮れない高クオリティな写真を撮影してくれます。写真館ならレンタル衣装やヘアメイクにも詳しいので、家族で相談の上訪ねてみるのはどうでしょうか。
写真加工サービスを行っている葬儀会社に依頼して葬儀を行うのなら、既存の写真を遺影として使用できるようにデジタル画像加工で綺麗に仕上げてくれます。
遺影はどこに、いつまで飾る
遺影は、基本的には四十九日までは後飾り祭壇に安置します。
四十九日法要を終えた後は、自宅に飾るのが一般的です。
しかし、葬儀において祭壇に飾るための四切サイズは、かつて日本家屋に大家族が同居しているのが主流だったような時代には、式が終わった後は仏間の長押(なげし)などに飾られることもありましたが、マンションや核家族の住む戸建てなど現代社会の一般的な家ではスペース的に無理があることも多いかもしれません。
その場合は、もし後飾り祭壇の処分を葬儀会社が引き受けてくれるのであれば一緒に渡してもいいし、お寺などでお焚き上げするのも良いでしょう。
もちろんおうちで廃棄処分しても大丈夫です。
焼香台に置くためのL判サイズ(標準写真サイズ)・キャビネットサイズ・2Lサイズの遺影は仏壇の傍に置くことが多いでしょう。
ただし注意点として、仏壇の中に置いてはいけません。仏壇の中はご本尊様がおられますので、仏様に失礼のないように写真は仏壇の外に安置しましょう。
同じように、大きいサイズの遺影を飾る時は仏壇の上に設置してはいけません。仏様の上に置くことは失礼にあたるからです。
遺影は必ず残しておかなければならないというわけではありませんが、お盆や回忌の際に使うことができますし、小さな遺影でも家に置いておくと、生活の中で折に触れ故人を思い出すきっかけにもなります。
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まとめ
昔は忌事の準備をするのは不吉なことだといわれていたので、事前に葬儀にかかわることをするのは忌み嫌われていましたが、現代ではむしろ良い遺影を本人が選び、また作成することも多くなってきています。
死について向き合うことで、生について改めて思案し、家族や友人や、今自分が生きていること、生かされていることに改めて感謝するきっかけにもなるかもしれません。
最期の旅立ちの場に、最高の写真を選んでみませんか?
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立正大学仏教学部卒業。東京仏教学院卒業。浄土真宗本願寺派僧侶。
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