「博文館」館主、大橋佐平・新太郎が設立開館した「大橋図書館」を引き継いで120年。

「博文館」は明治期を代表する出版社で、創業者の大橋佐平が「大橋図書館」設立を出願。息子の新太郎によって、1902(明治35)年に創設。その蔵書を「三康図書館」が引き継いでいます。引き継がれた蔵書・資料は18万冊におよび、戦前の大衆雑誌から児童書、江戸期の写本や巻物など多岐にわたる分野の資料を所蔵しています。

公共図書館の源流が東京タワーのふもと、増上寺に隣接する「明照会館」一階に。

創設当時、東京市には自治体の図書館はなく「大橋図書館」は東京市民の人気を呼び、公共図書館の設立の整備行政を促進させた存在として知られています。戦後、西武鉄道創設者の堤康次郎さんが譲り受け、以後、増上寺と西武鉄道関係者が役員として名を連ねる公益財団法人「三康文化研究所」が図書館事業を手掛けることとなり、1964年に開所式が行われました。

貴重な古典籍、雑誌、児童書など26万冊を所蔵する知られざる空間。

当館は仏教・宗教関係の資料収集を精力的に行っていますが、旧大橋図書館の蔵書は知る人ぞ知る「重要文化財が眠っている可能性もある(司書談)」資料で、これらが静かな閲覧室で利用できます。和装本など古典籍資料がある書庫の見学も可能です。

戦前・戦中の「発禁本」も大量に保管。

2022年8月27日付の東京新聞で、当館に保管されている「発禁本」が大きく取り上げられました。「所蔵する発禁本は約1300冊。大正デモクラシーの流れに沿った進歩的な雑誌『改造』や、労働組合の闘争を描いた徳永直の『太陽のない街』……などの表紙や裏側には〔禁閲覧〕〔除〕と押印がある」と記事の一部にあり。

小さな図書館の大きな遺産。
さあ、誰でも利用できる「三康図書館」へ行こう!

東京タワーのふもとにある小さな図書館は、こうして歴史を生きのびてきました。

ここでは大切に保管されてきた蔵書が気軽に閲覧できます。交通の便も良好。都心のオアシスという表現がぴったりな「三康図書館」はあなたをお待ちしています。

三康図書館公式ホームページ

【開館時間】
月曜日~金曜日10:30~16:30
※入館・複写受付は16:00まで

【休館日】
土・日、祝日、夏期図書整理期間、年末年始

【アクセス】

*この記事は「三康図書館」パンフレット、「東京新聞」(2022年7月6日/8月27日発行)を参考にしました。

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