
先祖代々のお墓は守れるのか?
お墓に関するメディアの取材や関連事業者による調査によると、少子高齢化やライフスタイルの変化、都市部への人口集中などの影響で、これまで日本人が抱いてきた「先祖代々のお墓を守る」という価値観が揺らぎつつある実情がわかってきました。
株式会社AlbaLinkが行ったアンケート調査(20代以上の男女500人)によると、「墓じまい」をしたいと思っている人が70%を超えてることがわかりました。
墓じまいを検討する理由
お墓を維持、管理してくれる人がいない
核家族化が進み、子どもが実家を離れて生活するケースが増えています。
そのため、お墓のある地方まで頻繁に足を運ぶことが難しくなり、結果的にお墓を継承する人がいなくなるケースが増えています
維持費が負担になる
お墓の管理には、墓地の使用料や清掃費、寺院へのお布施などがかかります。
高齢になって年金生活になると、医療・介護費用がかさむ等の不安から、お墓の費用負担が大きくのしかかることがあります。
お墓が遠方にあるため、お参りが困難
地方出身者が都市部で生活している場合、お墓参りに行くための時間や交通費が大きな負担となります。
特に高齢者の場合、移動自体が難しくなってきます。
無縁墓にしてしまうことが不安
お墓の継承者がいなくなると、墓地管理者によって「無縁墓」として整理される可能性があります。
そのため、あらかじめ墓じまいを行い、永代供養することで安心を得ようとする人が増えています
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墓じまいをしない理由
先祖供養を大切にしている
伝統的な価値観を持つ人々の間では、お墓が「家族の歴史を継承する場」であるという意識が強く、「簡単には手放せない」という意見が多くみられます。
特に高齢層では、「墓を守ることが家族の責任」と考える傾向があり、墓じまいをすることが「ご先祖様に申し訳ない」という心理的抵抗感につながっています。
お墓の管理ができている
自宅の近くにお墓がある人や、親族との間で墓守の引き継ぎができる人、すでに管理を委託している人は、墓じまいを考える必要性が低くなります。
経済的・手続き的な問題
墓じまいには費用がかかるため、「金銭的な負担が大きい」という理由で踏み切れない人がいます。
また、寺院や霊園との交渉、行政手続きなどが必要であり、「手続きの煩雑さがネックになっている」と感じる人もいます。
代替の供養のやり方がいいのかわからない
墓じまい後の供養方法に納得がいかないため、現状維持を選択する人もいます。
親族との意見が合わない
家族の中で意見がまとまらないために、墓じまいを見送っているケースがあります。
親世代がまだ存命の場合、「自分の代では墓じまいをしない」と考える人も多く、将来的に検討するというスタンスの人もいます。
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墓じまい後の供養の選択肢
墓じまいを決断した後、ご遺骨の供養方法として様々な選択肢があります。
納骨堂
都市部に多く、管理の手間が少なく、費用も比較的安価なため、墓じまい後の受け皿として選ばれています。
樹木葬
環境に優しく、自然と一体化するという考え方が支持されており、特に若い世代を中心に人気が高まっています。
散骨
海洋散骨や山への散骨など、自然の中に還るという考え方を重視する人が増えています。
ただし、法的なルールに注意が必要です。
永代供養墓
維持・管理者がいなくても寺院や霊園が供養してくれるため、「無縁墓」になる心配がないことが大きなメリットです。
今後の供養のあり方を考える際には、墓じまいを選ぶ人と選ばない人、それぞれの立場を尊重しつつ、多様な選択肢を検討することが大切になるでしょう。
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立正大学仏教学部卒業。東京仏教学院卒業。浄土真宗本願寺派僧侶。
宗教の基礎知識、心のサポート、終活のサポートなど、こころのよりどころとなる情報を楽しくわかりやすく発信します!