
液晶モニターの遺影が増えてきた
葬儀の世界にもデジタル化の波は押し寄せている。
コロナ禍では葬儀会場に来られない人のためにオンライン中継があった。
花入れの際に流すBGMは、スマホのミュージック・アプリが使われている。
近い将来、香典も電子決済ができるようになるかもしれない。
さて、遺影である。
祭壇にある遺影だが、液晶モニターのケースが増えてきた。
故人の肖像が切り抜かれ、背景がゆっくり変わっていく。
山や海、季節の風景など、自然を写したものが多い。
阿弥陀経を唱えている最中に、背景が青空だったときなど、「おお、シンクロしてるよ」と、振り返って喪家に教えたかったぐらいだ。
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額縁に入った遺影も健在
ただ、祭壇の遺影がモニターだったとしても、出棺や納炉の時、喪家は額縁に入った大きな写真を抱えている。
まだタブレット端末の遺影を抱えている喪家を見たことはない。
個人的にはタブレット端末の遺影でいい気がしている。
あるご喪家のお宅に四十九日法要で伺ったときのこと。
法事を終えた帰り際に、「仮位牌(白木位牌)は自坊に持ち帰って、丁寧にお焚き上げさせていただきますね」とお伝えしたところ、娘さんから「遺影もお焚き上げできないですか」とお願いされた。
「額縁のガラスをはずしていただければ、構いませんよ」と言うと、娘さんは「助かりました」とほっとした表情だった。
一般ごみとして廃棄するのは心苦しかったのだろう。
かつて日本間の鴨居にはモノクロの遺影がずらりと並んでいて趣があった。
でも、瀟洒なマンションには似合わない。
かくして、ご喪家の家を出る私は、3人の遺影と額縁が入ったデパートの手提げ袋を持ち帰ることとなった。
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