現在、東京国立博物館にて『聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」』が九月五日まで開催されています。

聖徳太子といえば誰もが思いつくのは旧一万円札のあの肖像ですが、冠位十二階、憲法十七条の制定、遣隋使の派遣など数多くの逸話も残されており、そして仏教を日本に広めた人物としても知られています。

今回の特別展は法隆寺の寺宝を通して聖徳太子と仏教との深い繋がりを伝えてくれる貴重な展示です。

聖徳太子1400年遠忌ということで今年東京国立博物館に集結した数々の宝物は法隆寺が誇る素晴らしい宝物ばかりです。

まず会場に入って出迎えてくださるのは《如意輪観音菩薩半跏像》。
聖徳太子は救世観音の化身と崇められており、そして救世観音は如意輪観音と同一視されていることから太子を崇める人々から信仰されています。
本尊は失われており、模刻像ですが現存する像の中では最古のものです。

特別な仏像といえば、摂政姿の太子像の内部に経典・蓬莱山の上に立つ観音像が据えられた《聖徳太子及び侍者像》や、像内に経典・五輪塔・菩薩像などが安置されている《聖徳太子立像(二歳像)》《聖徳太子立像(孝養像)》などもあり、太子が普通の人ではなく仏に等しい尊い存在なのだと人々に信仰されていたことがわかります。

また展示物の中には聖徳太子に深く関わりがあるとの伝承を持った品が展示されています。

例えば太子の遺愛品であるとの伝来がある硯、匙、鉢などの品。

金字で綴られた《梵網経》には《太子御自筆》と記され、表紙に小さく貼られているなめし皮は太子の手の皮だと言われ大切にされていました(実際は平安時代に書写されたものです)。

そして《七種宝物》の中の《御足印》には太子の足跡が残されているとの伝承があり、人々の聖徳太子への尊崇が伺えます。

《南無仏舎利》は太子が二歳の時、釈尊の命日である二月十五日に東に向かって合掌し「南無仏」と唱えたときに手の中から零れ落ちたという伝説の仏舎利です。法隆寺東院舎利殿の本尊であり、通常は見ることが不可能です。

他にも絵画・経文・織物・工芸品・阿弥陀如来から聖徳太子への手紙を封をしていた箱など、200点近くの様々な寺宝は1400年遠忌の今しか見ることはできません。

聖徳太子の信仰の大きさと仏教の歴史に、心が震え感動した素晴らしい体験でした。

特別展と同時に1階のガイダンスルームでは、特別企画「国宝 救世観音・百済観音を8K文化財で鑑賞」が、ミュージアムシアターではVR作品「聖徳太子のこころ」(有料)が開催中。

そしてこの特別展を観覧した方に見逃してほしくないのが、法隆寺宝物館にて展示中の「聖徳太子絵伝」です。

飛鳥時代の重要文化財金銅仏や仏具・染織・工芸品がずらりと並んで展示中。またタブレットを使った「8Kアートビューアー」も楽しめます。

宝物館はフリー入場ですのでどなたでもご自由に御覧いただけます。

特別展「聖徳太子と法隆寺」

●会場/東京国立博物館 平成館
●会期/2021年7月13日(火)〜9月5日(日)まで
●開館時間/9:30~17:00
 ※当日券の販売、入館は閉館の1時間前まで
●休館日/月曜日
●住所/〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
●電話/050-5541-8600(ハローダイヤル)
●公式サイト/https://tsumugu.yomiuri.co.jp/horyuji2021/
※総合文化展については東京国立博物館ホームページにてご確認ください。

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