お寺カフェとは
「お寺カフェ」という言葉をご存知でしょうか?
以前も築地本願寺内のお寺カフェTsumugiをご紹介しましたが、今回ご紹介するのは港区にある光明寺が運営するお寺カフェ「神谷町オープンテラス」です。
日比谷線神谷町駅すぐ側にある浄土真宗本願寺派の光明寺は、港区という立地も有り、高層ビルが絶え間なく建ち颯爽とした会社員の方々が闊歩するエネルギッシュな街の中にあるお寺です。
そんなおしゃれでパワフルな街の中で開かれているお寺カフェとはどんなものなのか、取材してきました!
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神谷町オープンテラスとは
光明寺の「神谷町オープンテラス」の管理を担っているのが、光明寺の僧侶兼店長、木原祐健(ゆうけん)さんです。
木原さんがここの店長になって 18 年、なんと得度するより前に店長になったということですが、お寺カフェの店長という立場からお寺という場所に来る方々と接し、話を聞くうちに、もっと深く仏教を知りたい、お寺に来る人の助けになりたいという思いから得度し、僧侶になったそうです。
物静かで、言葉を選びながら真摯に話す姿からは正直さと誠実さが溢れていました。
カフェ運営のお手伝いの方もいらっしゃいますが、基本的に出される甘味は木原さんのお手製。
様々なスイーツを生み出してきて、なんと 2020 年に『神谷町オープンテラスの おもてなしお寺スイーツ 12 カ月』というレシピ&エッセイ集を出版されています。
現在では「お寺カフェ」というものが各地で運営されていますが、ここ神谷町オープンテラスこそがその草分け的存在であると言えるでしょう。
2階の本堂脇にあるテラスが「お寺カフェ」と呼ばれるオープンスペース。
境内や周辺は木々に囲まれており、真正面からは併設寺院墓地が見えて、少し遠くに目をやると、樹木のむこうに見えるのは東京タワー。
まるで都会の真ん中にポツンと存在するオアシスのような空間です。大きな桜の木も見え、春には満開の桜の花が咲くそうです。
席は二人席から大人数席まであり、ゆったりとリラックスして過ごせるソファ席も用意されていたのが嬉しいところです。
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神谷町オープンテラスのおもてなし
そして今回訪れた際に頂いた季節の甘味は「わらびもち」。
シンプルで清楚なお皿に 2 つ並んだわらびもちに黒蜜ときな粉がかかっている、爽やかでかわいらしい和スイーツです。
添えられていたスプーンは光明寺に縁がある梅の花が細工されていて、とっても素敵でした。
お皿の上でかすかに揺れる、薄く霞んだわらびもちにスプーンを差し入れるとさっくりと入り、そのまま持ち上げるとねっとりとしたお餅の弾力が伝わってきます。
スプーンの上で半透明のわらびもちが揺れ、水滴のようにみずみずしいのに零れ落ちることはなくスプーンの上でそのかたちを保っています。
口の中に入れると上品な甘さの黒蜜が口の中に広がり、それを追うようにわらびもちが溶けていきました。
わざとらしい甘さや添加物のない、素材そのものの味を引き出していて、息を呑んでしまうくらいの美味でした。
そこらにあるマニュアル化されたお店では味わえない感動です。
飲み物はほうじ茶とコーヒーの二種類。
コーヒーは地元の珈琲屋さんから仕入れているのだそうです。
今の時期はわらびもちでしたが、季節によってメニューは変わるので、これは出来ることなら定期的に通いたいと思いました。
甘味を美味しく頂いていると、お弁当を持った周辺地域に勤める会社員の方々がやってきて、テラスで各々ランチを食べ始めました。
ここは飲食持ち込み自由なので、お昼時になると静かに座れる場所を求めてやってくる人も多いといいます。
このオープンテラスがお寺に縁のある方だけでなく、地域と周辺の人々の生活と自然に溶け込んでいるのだと感じ温かい気持ちになりました。
神谷町オープンテラスの営業は毎週水曜日の 11 時~14 時。
お茶と甘味を頂くには事前 web予約が必要なので要注意です。
食事が終わった後には、是非、本堂の御本尊様にも手を合わせご挨拶をしましょう。
おもてなしは無料ですが、感謝を込めて本堂前の浄財箱にお賽銭を入れれば、その日の思い出がひときわ光るものになるでしょう。
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おもてなしだけでなく傾聴も
また木原さんは予約制で傾聴も行っており、今までに数え切れない人たちの話を聞いてきました。
お寺カフェは普通のカフェとは違い、ここに来る人はただお茶を飲みに来るのではなく、心の何処かで迷いを抱え、救いを探している人が少なくありません。
食べ物ではなく、木原さんと話をしたいから、仏教を教えてほしいからとこの場所に来る人も多いとのこと。
木原さんとここに来る人達の真っ直ぐで純粋な思いが、この静謐な空気を守っているのかもしれません。
寺の外の喧騒とはとは全く別世界の、静かで、美味しい、特別な場所が神谷町にありました。
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神谷町オープンテラス詳細
光明寺「神谷町オープンテラス」
■寺院名 梅上山 光明寺(浄土真宗本願寺派(お西))
■ウェブサイト https://www.komyo.net/
■メールアドレス kot@komyo.net
■住所 〒105-0001 東京都港区虎ノ門 3-25-1
(東京メトロ日比谷線神谷町駅 1番、3番出口から徒歩1分)
■施設の利用可能時間 平日 9:00~17:00(利用のみであれば予約不要)
■おもてなし時間 4 月中旬〜10 月の水曜日 11:00~14:00(要予約・無料)
■傾聴時間 月曜 11時〜 詳細はブログにてご確認ください。(要予約)
■土・日・祝休。法要等による臨休あり。
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立正大学仏教学部卒業。東京仏教学院卒業。浄土真宗本願寺派僧侶。
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