かつて、目黒で「てらてつ!」が行われていた
かつて私が、目黒の寺院で住職をしていた頃、大竹さんと一緒に「てらてつ!」という哲学講座を行っていたことがあります。
様々な理由から、目黒では続けることができなくなってしまいましたが、鎌倉や三田のお寺などで、現在でも行われているワークショップです。
目黒では(他のところでもそうかも)、「日本むかし話」を題材に、哲学と仏教の両面から、大竹先生と、僧侶である私が解説を加えながら、参加された皆さんに「勇気」「恥」「旅」「運」といったテーマについて考えていただき、最後には、その考えを作文にまとめてもらうという形で行っていました。
本来はもっと、小学生や中学生にも参加していただきたい、と考えていた行事だったのですが、主な参加者は60代以上(推定)の方々でした。
行っていたのは2~3年のあいだでしたが、私にとっては貴重な体験となりました。現在でも、私の法話には「てらてつ!」で学んだ成分が、何パーセントか調合されています。
子どもの「自分で考える力」や大人の「視点を変える力」を養う本
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そんな「てらてつ!」の主催、大竹稽先生が、今年7月に『自分で考える力を育てる 10歳からのこども哲学 ツッコミ!日本昔話』を出版されました。
目黒時代も取り上げた「桃太郎」をはじめ、「カチカチ山」「一寸法師」「屁ひり女房」「笠地蔵」「分福茶釜」といった、誰でも知っている(「屁ひり女房」は若干マイナーかな)むかし話から
・なんで「桃太郎」なの?スイカ太郎じゃダメ?
・タヌキへの仕返しはやりすぎじゃない?
・鬼はなんで、自分で「打ち出の小槌」を使わなかったの?
・オナラは、なんで恥ずかしいの?
・お地蔵さんのお礼、多すぎじゃない?
・分福は、もとのタヌキに戻れなかったのに「しあわせ」なの?
といった疑問を、一緒に考えていくという内容になっています。
安易に正解を提示するわけではなく「一緒に考える」のが大竹さんのスタイルです。
それによって、子どもたちの「考える力」が養われ、大人も「視点を変える」ことができるのです。
哲学も仏教も「自分で考えること」が大事
仏教では「自灯明・法灯明」という言葉があります。「迷ったとき、まずは自分で考えてみる。それでもまだ迷うときは、仏法に照らし合わせてみる」という意味です。
お釈迦さまの教えである「法」よりも先に、「自分で考える」ことが重要なのです。
(余談ですが、この点が、現在話題のカルト宗教と仏教の最大の違いだと思っています)
そして「自分で考える」ことは、「大竹流哲学」でも、とても大事なことです。
本書を通じて(または「てらてつ!」を通じて)、大竹さんと一緒に考え、遊びながら、「考える力」を鍛えてみませんか。
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立正大学仏教学部卒業。東京仏教学院卒業。浄土真宗本願寺派僧侶。
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