前回、「お寺が樹木葬を導入する意義」について、アンカレッジの大坂さんに聞いてきました。

そこで出てきたのが、「今から数十年後、多死社会が落ち着いたあと、どのようにお寺を維持していくか」という「お寺の課題」です。
前回、「50年後の未来のために、お寺様がどうしていくかを一緒に考えていきたいんです」と語った大坂さんは、こう続けました。
「アンカレッジの目的は、お墓を販売することではなく、お寺様と人々を繋ぎ、地域にお寺のある豊かな暮らしを届けることです」
「そのためには、『お寺様にも汗をかいてもらいたい』と思っているのです」

一体、「お寺も汗をかく」とはどういう事なのでしょうか。

「お寺と共に歩み、共に汗をかく存在でありたい」

「アンカレッジの樹木葬では、墓地の整地などの初期費用を、お寺様にご負担いただく形をとっているのですが、これには大事な理由があります」
「そもそも、お墓の運営は、墓地埋葬法や厚生労働省のガイドライン、または自治体の規制などに基づいて、宗教法人である『お寺様』が主体であることが本来のあり方です」
「お寺様が初期投資を行うことで、『名義貸し(お寺の名義だけを第三者に貸し、運営や管理を任せ、お寺が経営主体としての責任を果たせなくなる状況)』ではなく『お寺様が事業の主体であること』を明確にする、重要な要素です」

「一部の事業者では、初期投資を事業者が負担して、事業を開始するケースもあります。
その場合、初期投資の対価として契約上の各種制約がかけられることがあり、将来的にお寺様の運営に制約が出てしまう可能性があるのです」
「例えば、お寺様の意向と事業者の販売方針が一致しない場合、事業が進まなくなってしまったり、最悪の場合、お寺様の財産が適切に管理できなくなる可能性も考えられます」
「企業により運営方法が異なるので、『初期投資なし』が全て悪いわけではありませんが、リスクも事前に理解しておくことが大切だと思います」

確かに近年、お寺ではなく、事業者が納骨堂などの権利を持っているケースで、計画が頓挫し事業者が撤退してしまい、その後お寺が負債を支えきれなくなって、寺院運営が破綻したという話も耳にします。

「一方で、初期投資がお寺様にとって大変な課題であることは、私たちも理解しています」
「だからこそ私たちは、お寺と共に汗をかき、一緒に歩む存在でありたいと思っているのです」

初期投資を回収していないお寺は、なんと「ゼロ」!

「お寺と一緒に歩む」とは具体的にどのような形なのでしょうか。

「アンカレッジでは、初期投資の負担軽減のため、『初期費用回収保証』や『広告費の当社負担』、『販売スタッフの派遣』など契約条件に応じてサポートを行っています」
「今まで約30ヶ寺の実績で、2年以内に初期投資を回収できなかったお寺様は、ゼロなんです」

なんと、初期投資回収率、脅威の100%!素直にスゴイ。

「お寺様は法務に集中していただきながら、事業を進められるよう、動いています」
具体的には、収支計画書の作成や、銀行からの借入の相談、檀家総代の説得など、法務の合間に行うには重たすぎる仕事も、「一緒になって」取り組んでくれるとのこと。
これなら、明確に住職の負担は減ります。

初期投資回収率100%という信じられない数字は、「お寺と共に」というアンカレッジの理念からきているのです。

善照寺 行徳庭苑(千葉県市川市)

アンカレッジの「理念」

「お寺様の主体性を尊重する、というのがアンカレッジのスタイルです。お寺様とアンカレッジの方針が異なった場合、他のパートナーを選んでいただいても構いません」
「お寺様の財産や事業に対して、アンカレッジが権利を持つことはありません。お寺様の財産や権利は、すべてお寺様に残ります」
「アンカレッジの目的は、『お墓を販売すること』ではなく、お寺様が安定した運営を続けるための仕組みを構築することです」
「そのために、一緒に事業に取り組むことで、お寺様との信頼関係を深め、良きパートナーとなることを目指しています」

アンカレッジのこの理念は、創業者であり、現役の住職でもある僧侶が、自坊の運営に危機感を抱き、同じ悩みを抱える仲間のために、住職と兼業しながら「お寺支援事業」を始めた当時から、変わっていません。
「お寺様と人々を繋ぎ、地域に豊かな暮らしを届けたい」という気持ちも、ここからきています。

僧侶の最大の目的は「布教」、そして布教の場である「寺院の存続」です。
アンカレッジは、そのために「一緒に汗をかいてくれる」会社なのです。

西勝寺 あざみ野庭苑(横浜市青葉区)

お寺の未来のために

お寺業界(僧侶業界)では、「(過剰な)儲け=悪」というような考え方もまだまだ根強いため、大きな利益を生むような計画を立てづらいという面も、まだまだ根強くあります。
思っている以上に、寺院運営というのは難しいのです。
そんな課題を解消したい、というお寺と「一緒に」未来を考えるというコンセプトから生まれた「アンカレッジの樹木葬」。

「興味があるお寺様は、広さや形は気にせず、どんなスペースでも、お気軽にご相談ください」
「寺院運営の課題解決に向け、一緒に考えましょう」
そう語った大坂さんの目は、50年後の未来を見据えていました。

西勝寺 あざみ野庭苑(横浜市青葉区)

取材協力
 株式会社アンカレッジ
https://anchorage.co.jp/

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