人の才能が開花するには、
努力の積み重ねも大事ですが、
努力する環境も物を言います。

浄土宗の開祖・法然上人は、比叡山での修業時代に『往生要集』という書物と出会い、
さらに「すべての人を救うため」の経典を求め続けた結果、
黒谷で、唐の善導大師が記した『観経疏(かんぎょうしょ)』にたどりつきました。

僧侶同士で争うような末法の世の中で修行を続けるには、静かな黒谷がいちばんだったのです。

『ドラゴンボール』にも似たようなお話しがあります。

悟空は、地球の10倍もの重力がある界王星で修行し、力をつけました。

サイヤ人の生まれ故郷「惑星ベジータ」も同じ重力だったため、
彼らは地球上でスイスイ移動することができ、
地球人たちは苦戦することになりました。

逆に、サイヤ人たちには「気」を感じる力がありませんでした。

敵の戦闘力を計るスカウターに頼るあまり、
「気」を使って力の緩急をつける地球人の戦い方にとまどっていました。

亀仙流・鶴仙流の元となった、武泰斗さまから始まる武術の流れが、
気のコントロールを生んだのでしょう。

育ってきた環境の違いが、戦い方に表れてくるのです。

界王拳も、気のコントロールが大事な技です。

悟空は、様々な師の下で学んだ結果、界王拳を習得するに至りました。

同じく界王さまから教わった元気玉は、
良い心を持った者同士なら、受け渡すことが可能でした。

受け取る側にも熟練の技がいる状況でしたが、
クリリンがいたことで、ベジータに元気玉を当てることができたのです。

地球人たちが、武泰斗さまからつながる武術を研鑽してきた結果、
気のコントロールにおいてはサイヤ人を上回り、彼らを追い払うことができました。

「10倍の重力」で身体を鍛えてきたサイヤ人と、
身体とともに心を鍛えてきた地球の武術の違いが、
その結果を生んだのではないでしょうか。

その後、ベジータも気のコントロールを覚え、
かつては互角だったキュイや、
格上だったドドリア・ザーボンなどを倒すに至ります。

厳しい環境に身を置き続けたことで、実力が格段に上がったのです。

ナメック星で生まれ、元々おだやかな性格だった神様は、
地球で暮らしていくうちに人の邪悪な部分にふれてしまい、
そこで生まれた悪の心が自分と分離して「ピッコロ大魔王」となってしまいました。

置かれた環境から生まれてしまったピッコロは、
孤独で辛い立場だったでしょうが、のちに慈悲の心が芽生え、悟飯の命を救いました。

その悟飯も、ピッコロから荒れ地に放っておかれたことで、甘えん坊の性格が直ったのです。

自分が形成されていく中で、「環境」は避けて通れない重要な要素です。

悟空はナメック星に向かう時、
宇宙船に重力装置をつけてもらい、身体を鍛えました。

置かれた環境で努力を続けながら、
さらに良い環境を求めていくことが、
悟空たちの強さの秘訣なのでしょう。

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著者紹介

鶯 蒼治郎
謎の浄土宗僧侶。
その正体は闇に包まれているが、以前は目黒で活動していたS山T郎ではないかとも言われている。
《著書》
三笠書房・知的生きかた文庫より『流されない練習』発売中
《関連情報》
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西念寺ホームページ:http://sainenji.tokyo/