Twitterなどで活躍している異色の僧侶「ギャル尼ならんちゃ」さんをご存知でしょうか。
いわゆる「ギャル」の姿で奔放な投稿をしながらも、時折みせる仏教性あふれる言葉で、多くの人々の心を掴んでいる尼僧さんです。
一体なぜ、ギャルの姿で布教しているのでしょうか。
ここより編集長が、お話を伺ってきました。
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「消えたかった」学生時代
お寺に生まれた「ギャル尼ならんちゃ」さん(以下「ならんちゃ」さんとします)は、学生の頃からのギャル気質で、どうしても「目立って」しまうため、目上の人から注意を受けることが多かったそうです。
自分のやりたいことと、お寺を継ぐということが結びつきづらく、「居場所がない」と感じているうちに、不登校になってしまいます。
14歳のときには「婿をとれ」と言われ、なんと20歳も年上の人とお見合いさせられます。
「彼氏がいたときもお見合いの話がきて、『そんな奴じゃなく、オレと結婚しろよ』って言われたくて相談したら、『そうか…、お寺の方が大事だもんな…』って言われちゃって(笑)」
と、割と壮絶な過去を、明るく話してくださいました。
転校してから、「バイブス」が合う人が増え、無事に大学に合格。大学の教授に悩みを相談したところ、今まででは考えられなかったことを言われます。
「お前はどう思うんだ?」
「お前のやりたいことはなんだ?」
今まで「こうしなさい」と言われ続け、まわりがどうであれ「自分を律する」という教えに縛られてきたならんちゃさんは、大学で初めて「自分のやりたいこと」ができることを知ったのです。
「私は自由なんだ」
「私は、私の道を行っていいんだ」
このときの教授との「コミュニケーション」は、現在のならんちゃさんの活動に、大きな影響を与えました。
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「ギャル」が自分の居場所だった
「私はギャルだけど、仏教のことは好きだから、自分の言葉で仏教を伝えたい、と思ったんだよね」
と語るならんちゃさん。「私は私でいいんだ」という思いから「ギャル尼」という存在になりました。
「自分でありながら『仏教』を表現したいな、と思って、そしたら『ギャル尼』でよくね?って(笑)」
「なんか、ちょうどいいやり方を見つけた感じ」
「ギャルでお坊さんってすごいことじゃん。それで、私がきっかけで仏縁がなさそうな人が、仏さまを有難がってくれるのがうれしくて」
「ボーイミーツガールじゃなくて、仏教ミーツギャルだよね」
「基本、どんな人にも仏教ははたらいてるんだよね」
「自分の居場所を作りながら、そこに来てくれる人とコミュニケーションをとることで、生きることがツラいな、と思ってる人に届くといいなって」
「ネットって、自分と環境が全然違う人ともしゃべれるし、普段絡まない人も来るから」
表面的な「作法」よりも「コミュニケーション」がならんちゃさんの流儀なのです。
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善導の教えから「自分」の道ができた
「デザイナーになりたかったけど、『お寺を継ぐ』以外の夢なんて聞いてももらえなかった」というならんちゃさんですが、ある言葉との出会いによって、人生が大きく動き出します。
「善導大師が『自の業識(じのごっしき)』と仰ってて。簡単に言うと、自分が生まれてきたのって、親の都合だけじゃなくて、自分が『生まれたい』って思ったからなんだって」
「だから、親とかまわりの大人の都合で、私の生き方を決められる筋合いがないんだよね」
「デザイナーになりたいっていう夢も、遠回りだったけど、今なんとなく似たようなこともやってるし、楽しいよ」
こうして、ならんちゃさんは自分の道を見つけ、「ギャル尼」となったのです。
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多くの人に「仏縁」を届けたい
「配信とかしてると、いろんな人と会えるし、『もっとたくさんの出会いがあるんだ』と思ったら、仏教の勉強が楽しいんだよね」
「リスナーから共感してもらえると、『お坊さんやっててよかったな』って」
「養護教師の資格もとったし、もっと勉強して教誨師になりたくて」
「終身刑の人とか、刑務所にいる人に手紙送ったりするボランティアも昔からやりたかったんだよね。そういう『犯さざるをえなかった人』と縁ができたらなって」
今後の目標について、あくまでもギャルとして語ってくれたならんちゃさん。
「ギャルであることで、仏縁がなさそうな人と縁ができてくの、ヤバイよね」
最終的には「〇〇パブ(自主規制)」を開きたい、という夢も語ってくれました。
「ギャル尼ならんちゃ」のこれからが楽しみです。
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立正大学仏教学部卒業。東京仏教学院卒業。浄土真宗本願寺派僧侶。
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