お坊さんに聞いてみた
人生の悩み、幸せ、仕事のこと

ゲスト講師として、帝京大学に

2年前から、帝京大学経済学部の「キャリア入門」という講義で、ゲスト講師をする機会をいただき、何度か学生の前でお話をしてきています。

寺院の長男でありながら、一般企業に就職したものの、疲れてしまい僧侶の世界へ戻り、住職となり、退任し、いつの間にか、学生の頃から夢だった編集やライター業に就いているという、ちゃっかりした人生の話をして欲しい、と依頼を受け、お言葉に甘えてエラそうに話したところ、お坊さんの話が珍しかったのか、多くの質問をいただいてしまいました。

その際の問答集を「ここより」に載せてもいいでしょうか、と教授に確認し、快諾をいただいたので、厳選してお届けします。

現代の大学生の、等身大の悩みにふれてみてください。

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人生の悩み

Q

私は自分の過去がとても嫌いで、自分という価値を安くとらえてしまう時があったりで、あまりポジティブに生きることができず、今でも時々、過去の自分に悩みます。そんな時、どう自分を好きになりますか。

佐山さん
A

仏教では、「過去も未来も、頭の中にしかない」という考え方をします。過去はもう動かせないし、未来はまだ来ていないからです。

自分の力で変えることのできる「今」を「自分なりに」精一杯生きていれば、いつの間にかイヤだった過去の意味が「あの時の自分にとって必要だったのだ」と思えるようになるかもしれませんよ。

Q

やりたいことを見つけるには?

佐山さん
A

「見つける」と気負わず、自然体で過ごしていれば、いずれ「やりたい」に繋がる「やってみようかな」くらいの事は見つかると思います。焦らない方がよいです。

Q

自分の尺度で生きていても、他人が羨ましくなった時はどうすればいいですか?

佐山さん
A

誰にでもある事なので、スポーツで発散したり、酒を飲んだり、お笑いを観たりして忘れてください。そのうち「自分もがんばろう」って思えてくると思います。

Q

自分の家もお寺なのですが、父の後継ぎがいません。
私たち姉妹には「好きな事をしていいよ」と言ってくれていますが、本心はどうなのかな、と思うことがあります。後継ぎ問題について、どう思いますか。

佐山さん
A

お寺の後継ぎは「世襲」による事が多かったのは事実ですが、近年の「宗教2世」問題や、「2世議員」への偏見などから、あえて世襲ではなく、血縁のない弟子に継いで欲しいと思う僧侶も増えています。

お父さんは、ひょっとすると「継いで欲しい」と思っているかもしれませんが、それ以上に、娘たちに「きちんと道を選んで欲しい」と思う気持ちの方が強いのだと思います。

親孝行してあげてください。

Q

思い描いている夢があるのですが、不安もあり、日々増大しています。不安を解消するにはどうしたらよいでしょうか。

佐山さん
A

不安の正体は「準備不足」であることがほとんどです。「やるべき事はやった」と思えるまで、今できる事を積み重ねてください。

Q

後悔しない生き方をするには?

佐山さん
A

「誰かに言われたから」「みんなやっているから」ではなく、「自分で道を選択する」ことです。

全く後悔しない事はありませんが、減りはします。人のせいにできないからです。

Q

努力していても、なかなか縁や運に繋がっている実感が持てない時は、どうやって心を保ったり、前に進んでいけばいいのでしょうか。

佐山さん
A

あまり根を詰めすぎず、気分転換してください。散歩したり、映画を観たり、他のことをしてから戻ると、なんか他の方法や、打開策が浮かんだりしますよ。

お坊さんに聞きたい!

Q

お坊さんをやる上で、一番大変だったことはなんですか?

佐山さん
A

会社員時代の方が大変だったので、あまり思い浮かびませんが、しいて言えば、人の生き死にと隣り合わせなので、感情が揺さぶられる場面が多い事です。

泣かないように気をつけています。男の子なので。

Q

佐山さんにとって「幸せ」とはなんですか?自分らしく生きるとはなんですか。

佐山さん
A

「幸せ」は、「自分で物事を選ぶことができる状態」があること。

「自分らしく生きる」とは、「自分できちんと選んだ人生である」ことかな、と思います。

Q

天国とか、死の世界を見たり、感じたりしたことはありますか。

佐山さん
A

無責任なようですが、死んだあとの事を見たことのある人はいません。

ただ、生きている人の心の中に「亡くなっていった人の面影」「後悔」「会いたい気持ち」などは残るので、そういった事が様々な現象を生んでいるのではないかと思います。

Q

お坊さんが家族をもつことはできますか。家族がいた場合は、一般的な食や家で過ごすのですか。

佐山さん
A

明治以降、僧侶の妻帯が認められ、お坊さんも家族をもつことができるようになりました。

普段は、お寺の「庫裏(くり)」と呼ばれるところで、皆さんと変わらない生活をしています。

お肉や魚もいただくし、お酒も飲みます。クリスマスを祝うお寺もあります。他の宗教儀式を大事にすることで、仏教への理解も深まるのです。

Q

お寺の仕事はやりがいがありますか?

佐山さん
A

とてもありますよ!

いま、「仏教離れ」「お寺離れ」と言われているのですが、そこをどうやって覆してやろうかと奮闘中です。

Q

修行中、いちばんツラかった事はなんですか?

佐山さん
A

冬の京都だったので、寒かった事と、お腹がすいてしまった事です。牛丼の夢を見て、泣きながら目覚めた事があります。

Q

いちばん厳しそうだな、と思った宗派はなんですか。

佐山さん
A

天台宗の修行を見学に行った時は、「俺、浄土宗で良かったな…」と思いました。

Q

有給の供養のような、概念であり、形のない物の供養はどうやってやるのですか。

佐山さん
A

供養の対象への感謝の気持ちを届けるようなイメージです。

日本人は、昔から「概念」や「モノ」といった、命のない物への供養も大事にしてきました。

Q

なぜ、布教するのですか?

佐山さん
A

それが宗教者の使命だからです。それぞれのアプローチが違うだけで、僧侶の行動はすべて布教に向かっていると思います。

Q

性善説ですか?性悪説ですか?

佐山さん
A

性善説です。悪い事をしてしまう人には、何らかの外的影響があったものだと思っています。

サブカル好きに聞きたい!

Q

ライフスタイルを改めようと思えるきっかけになるようなアニメとかありますか?

佐山さん
A

最近では「チ。」が良かったです。宗教者として、姿勢を正さないと、と感じました。

Q

一番好きなアニメ、マンガのセリフはなんですか?

佐山さん
A

たくさんありますが、パッと思いつくのは『SLAM DUNK』の陵南高校監督の「あいつも3年間頑張ってきた男なんだ。侮ってはいけなかった」です。

マークを薄くしてしまった伏兵にシュートを決められた、敵校監督の後悔の言葉。部活動の素晴らしさが伝わる言葉です。

大学生として

Q

大学生生活で、身に付けた方がよい能力を教えてください

佐山さん
A

同じ学問を4年間学ぶ仲間が近くにいるので、「能力」というよりは「仲間」を増やしてください。

きっと大人になってから、「あの時の仲間」が必要になる時が来ると思います。

Q

おすすめの本はなんですか?

佐山さん
A

学生の頃に読んで、良かったな、と思っているのは

『何者でもない(原田宗典)』、星新一のショートショート、筒井康隆のSF、漫画ですが手塚治虫の『ブッダ』と『火の鳥』です。

転職について

Q

まったく異なる職種に就く時に、心配や不安などはありませんでしたか?

佐山さん
A

会社員時代がツラすぎたので、不安よりも逃げ込みたい気持ちの方が大きかったです。

また、だいぶ修羅場を踏んできた自負はあったので、たいていの事は大丈夫だろうと思っていた部分もあります。

いかがでしたでしょうか。
中高生時代を、コロナ禍の中で過ごしてきた今の大学生たちから、思ってもいなかったような質問をたくさん受け、刺激をもらいながら回答しました。
紹介しきれなかった質問もたくさんありますので、また別の機会に紹介いたします!

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