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春は、色とりどりの新鮮で豊かな食材が溢れる季節。
桜や菜の花など、春の訪れを告げる美しい花々が咲き誇り、食卓にも春らしい彩りを添えてくれます。
そんな彩り豊かな春の食材を、工程を「よく見て」料理してみませんか?
私たちが視覚から得られる情報は、脳の8 割以上を占めているといわれています。この膨大な情報を、私たちは果たして、ていねいに処理しているのでしょうか。そのことを頭のすみにおいて、料理をはじめていきましょう。
「よく見て」つくる、春の旬の食材を使った、美味しくて健康的な「お寺のごはん」を紹介します。
このレシピは、「おうちでできる お寺のごはん」(書籍)にて詳しく紹介しています。
1. 出汁とは家族『椎茸出汁』
椎茸の出汁は、一滴の無駄も出さないようにすることが大事。
この気持ちが、お寺のごはんを作るときに大切なことです。
例えばお米の一粒一粒を家族だと思うこと。
これは、仏教の三心のひとつ、「老心」といいます。
椎茸出汁も家族だと思えば、一滴も無駄にせず、おいしくいただけるはず。
そういう気持ちを持つことが大切なのです。
材料(1リットル分)
・干し椎茸 10 枚程度
・水 1 リットル
道具
・ボウル
・ざる
・キッチンペーパー
作り方
- 干し椎茸をボウルいっぱいの水(分量外)に浸し、10分おく。
- かさの裏側のひだの部分がやわらかくなってきたら、優しく手で汚れを取り除く。
- ボウルに水1リットルと2の椎茸を入れ、そのまま最低半日、可能であれば1日おく。
- 3 をキッチンペーパーで濾して完成。
ワンポイント
干し椎茸は虫が湧きやすいので使用前に注意してよく見てください。
2. コツは丸く生きること『基本の煮物』
おいしい煮物を作るコツは野菜のとがったところをなくしていくことです。
そうすることで煮崩れを防ぎます。
人間関係も一緒。とがっていると、触るものを傷つけてしまいます。
でも、年をとって丸くなっていくと、たとえぶつかっても傷つけないし、自分も傷つかない。
丸くなることで、人間も野菜も傷つきにくくなるのです。
その気持ちが煮物をおいしくします。
丸くするために落とした部分もどこかで使えないかと考えましょう。
材料(2人分)
・高野豆腐 1枚
・かぼちゃ 100g
・にんじん 50g
・戻し椎茸 2枚
・さやえんどう 3枚
・椎茸出汁 1 カップ
・砂糖 大さじ1
・薄口しょうゆ 大さじ1
・みりん 大さじ1
道具
・包丁
・まな板
・鍋
・ボウル
・バット
・キッチンペーパー
作り方
- 高野豆腐に50℃くらいのぬるま湯をにかけ、蓋をして10 分ほど浸したらしっかりと水気をきる。さらに冷たい水に通し、すぐに水気をきる。
- 戻した高野豆腐は食べやすい大きさに切る。かぼちゃはわたをとり食べやすい大きさに切る。にんじんは乱切りにする。椎茸は石づきを落とし食べやすい大きさに切る。切ったかぼちゃ、にんじんは面取りし、さやえんどうはすじをとる。残ったわたや、すじ、切れ端などは、別のボウルなどにとっておく。
- さやえんどうは、沸騰したお湯にさっとくぐらせ、冷たい出汁(分量外)に塩を加えたものの中に入れ、下味をつけ、水気をきっておく。
- 鍋ににんじんと、椎茸出汁を入れ、落とし蓋をし中火にかける。沸騰直前になったら弱火にし、2 〜3分煮る。
- かぼちゃ、砂糖を加え、さらに10分ほど煮る。
- にんじんに火が通ったら、椎茸、高野豆腐、しょうゆを加え、さらに5 分ほど煮る。
- みりんを加え、さらに1 分ほど煮る。
- 器に盛り、さやえんどうを飾る。
ワンポイント
煮ているときに水気がなくなると焦げてしまうので注意深く見てください。
まとめ
「よく見て」お料理できましたか?
料理でも「よく見る」ことが大事です。
鍋で野菜を煮ながら包丁で野菜を切っているとき、つい意識が他にいくことがあります。
「これを片付けなくちゃいけない」「洗いものをしなきゃいけない」「冷蔵庫にあれがあったかな」など、余計な考えが次々に浮かんできます。
そうこうしているうちに、気にかけていたはずの鍋を焦がしてしまう。これも、「よく見ていなかった」から。
余計なことを考えず、料理を通じて、一つ一つに丁寧に「よく見る」時間を味わってみてください。
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立正大学仏教学部卒業。東京仏教学院卒業。浄土真宗本願寺派僧侶。
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