「♪きっとこの世界の共通言語は 英語じゃなくて笑顔だと思う♪」
というフレーズをご存じでしょうか。

高橋優さんという方の「福笑い」という歌です。

誰かが笑っていると、あっという間にその笑顔は伝染し、
まるで魔法のように広がっていきます。

「笑う門には福来る」といいますが、まさにその通りなのです。

仏教には「和顔施(わげんせ)」という言葉があります。

「無罪の七施」という、
お金をかけなくてもできる七つの布施のひとつで
「やさしく微笑み、にこやかな笑顔で人に接すること」
という意味です。

他には

「慈しみの目で見ること」
「やさしい言葉を使うこと」
「人のいやがる仕事を喜んで行うこと」
「人と共に喜び、悲しむこと」
「自分の地位を悔いなく譲ること」
「思いやりの心をもつこと」

があります。

「布施」は、僧侶に渡す金品のことだと思ってしまいがちですが、
財産がなくてもできる布施があるのです。

現在、東京オリンピックが開催されていますが、
同時に、病の感染も広がりつつあります。

「平和の祭典」であるはずのオリンピックですが、
感染拡大の中で、またそもそも緊急事態宣言中である中で、開催の是非についても、
まだ議論が行われています。

他イベントや、学校行事の中止なども相次いでおり、
この議論はきっと、大会が終わっても続くのでしょう。

亡くなってしまった人もいる中で、無責任なことは言えません。

病気や後遺症、医療崩壊の可能性のことまで考えると、
全員がバカみたいに明るく過ごす訳にはいかないでしょう。

もちろん、オリンピックに興味のない人は見る必要はありませんし、
開催自体に反対だった人もいるでしょう。

だから、無理に笑顔をつくれ、とはいいません。
でも、少なくとも、自分やまわりに被害がなく、
今のところ無事で過ごせている人は、
その状況を「有難い」と思いながら、
なるべく笑顔を忘れずに過ごして欲しいな、と思うのです。

できる範囲で行うことが「布施」ですし、
それはいつか、自分に返ってきます。

今まで開催されたオリンピックで、
アスリートたちが見せてきた、とびっきりの笑顔を思い出して欲しいのです。

2004年の流行語大賞にも選ばれた、
アテネでの北島康介選手の「チョー気持ちいい!」

「すごく楽しい42キロでした!」と、
レースを振り返った、Qちゃんこと高橋尚子選手。

「初めて自分で自分をほめたいと思います」と、
泣き笑いで言った有森裕子選手。

同じ小出監督に師事した選手同士ですが、
Qちゃんとのスタイルの違いが表れています。

シドニーで惜しくも銀メダルだった際のインタビューで、
「金がいいですぅ~」と悔し笑いした、水泳の田島寧子選手。

北京の女子ソフトボールの面々。

リオで久々のメダルに輝いた女子バレーボール。

「先輩を手ぶらで帰らせる訳にはいかない」という、
水泳界の名言を丸パクリして、
まわりをほんわかさせた、卓球の伊藤美誠選手。

「今まで生きてきた中で、いちばん幸せです」という、
岩崎恭子選手の心の言葉。

「こけちゃいました」と、照れ笑いで言った、マラソンの谷口浩美選手。

今大会もすでに、数々の笑顔が咲いています。
オリンピックの歴史は、笑顔の歴史です。

みんなでこの笑顔たちを思い出すことで、
少しでも暗い気持ちが晴れることと、
東京オリンピックが無事に終了すること。

そして何より、新型コロナウイルス感染症の、一刻も早い終息を願っております。

〈写真協力〉
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