以前、ここよりでも告知記事を掲載した、
仏教伝道協会によるシンポジウム「どうなる仏教」に参加してきました。

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仏教伝道協会から、シンポジウム開催のお知らせ

「お寺の現在と未来」「これからのお寺の役割」について、
浄土宗僧侶でジャーナリストの鵜飼秀徳氏と、
株式会社寺院デザインの薄井秀夫氏が語ってくださるという、素晴らしい企画。

ここよりのチーフ・エディターでありながら、
いずれは小さな寺院を継ぐ身として、
ぜひ聞いておかなければならないと思い、
取材させていただきました。

薄井氏とは面識がありましたが、鵜飼氏とは初対面でしたので、
あの『寺院消滅』や『無葬社会』の著者とお会いできるというミーハーな気持ちもあり、
ウキウキしながら席につきました。

鵜飼氏の話からシンポジウムは始まりました。

浄土宗寺院に生まれながら、
新聞記者や雑誌編集者を経て独立し、
僧侶兼ジャーナリストとして活躍している鵜飼氏に自分の経歴を重ね、
勝手にシンパシーを感じながら話を聞きました。

お寺の後継者問題の話から、
コロナ禍による収入状況の変化、
そしてアフターコロナとなった時、
お寺に何が起こるのか。

数字の裏付けがきちんとされた、
ジャーナリストならではの視点で語られたお寺の未来は、
危機感こそ植え付けられたものの、今後僧侶が向き合うべきことも語られ、
希望をもらうこともできました。

「しばらくは多死社会が続くため、本来お寺は成長産業だったはず」という話から、
「しかしコロナ禍により、コロナ以外での死者が減った」という事実に驚き、
僧侶としての意識を高めなければ、と感じさせられました。

次に登壇された薄井氏も、
アンケート調査による数字から、
これからお寺がすべきことを読み解いてくださいました。

コロナで亡くなられた、女優の岡江久美子さんの遺骨について、
受け渡しの際の悲しさから、
「人は供養の気持ちをなくした訳ではない」と分析され、
お寺や葬儀業界の未来への希望を示唆されました。

印象深かったのは、お二人とも、
「現在、お寺や僧侶に必要なのは『儀式』をおろそかにしない事」だとおっしゃっていたこと。

目先の来訪者を伸ばすため、
ついつい、イベントなどの派手な動きを考えてしまいがちですが、
それよりも、目の前の遺族に対し、誠実に儀式を行うことが大事なのです。

儀式の内容を伝えたり、仏具の説明をしたり、
今までわかりづらかった「葬儀」や「法事」について、
檀信徒の方々に少しでもわかりやすく届けることで、
もともと檀信徒が持っている「供養したい気持ち」に応える。

それが、「これからのお寺」に最も必要なことだと、お二人の意見は一致していました。

目の前の檀信徒や、近隣の人たちの要望に、
少しずつ応えていくことが、これからのお寺の生きる道。

規模を大きくしていく必要はなく、
どうしたら小さな規模のままやっていくことができるかを探り、
徐々に世代交代していきながら、「儀式」を伝えていく。

遠回りのようですが、それが今、お寺に一番必要なことなのです。

最後に、
「儀式以外で、僧侶が今すべきことは何ですか?」と質問させていただいたのですが、
鵜飼氏がすかさず「奥さまと会話することです」と答えられました。

「世間知らず」と言われてしまいがちな僧侶にとって、
一番近い「世間」が家族だという話を思い出し、
耳が痛いと思いながら、とぼとぼと帰途につきました。

明日、妻とどんな話をしようかな。

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