お坊さん、故郷へ帰る
すっかり秋らしくなった10月のある日、私は上野駅にいました。
東京国立博物館にて開催中の「最澄と天台宗のすべて」を見るという建前で、「世界最大級の寺社フェス」といわれる「向源」の代表、友光雅臣さんに会いに来たのです。
(「最澄と天台宗のすべて」の展示内容については改めて「ここより編集部員が行く」で詳しくお伝えする予定です)
上野は私の故郷である鶯谷の隣。
国立博物館は、むしろ鶯谷からの方が近いのですが、あえて上野駅の公園口で降りて、上野の地を少し歩いてみました。
左手に文化会館、右手には工事中の美術館。
緊急事態宣言も明けて久しく、公園口の改札前では、修学旅行生が点呼を行っていました。
どこへ行くのでしょうか。
ぜひ上野を堪能してもらいたいものです。
10年ぶりの上野の博物館
正岡子規ゆかりの草野球場や、言わずと知れた上野動物園もありますが、今回はスルー。
まずは上野公園内にあるスターバックスで、友光さんへの差し入れとしてアップルパイを購入しました。
科学博物館を挟むSLと巨鯨を横目に、懐かしい噴水広場を通り抜けると、そこはもう国立博物館。
もう10年以上前の「手塚治虫ブッダ展」以来の来場。
予約チケットを手に、堂々と入場を果たします。
「最澄と天台宗のすべて」の大きな看板もありましたが、目を引いたのは「春夏秋冬 乃木坂46」の方でした。
もちろん目的は最澄と、そして友光さんに会うことですし、そもそも予約していないので、乃木坂の展示は見られません。
ここも華麗にスルーします。
元々開催していることも知らなかったし、そこに後悔はありません。
まあ。たぶん。ほとんど。
「最澄と天台宗のすべて」は、「平成館」という建物で行われていました。
展示の前に、友光さんへご挨拶。若いお坊さんとふたりで、ご朱印を書く役割を負っていました。
いつも超宗派で動いている友光さんが、天台宗僧侶として活動しているところは珍しく、普段の友光さんとは、また違った雰囲気に見えました。
ここ2年はオンラインでの開催になっている「向源」が今後どうなっていくのかなど、友光さんにはまた、改めて話を伺いたいと思っています。
たまたま来ていた、ここよりファミリーの青江さんとも合流し、スリーショットの撮影に成功しました。
やはり大乗第7世代同士は引かれあうのです。
〈大乗第7世代同士は引かれあう」-向井真人はゲームで伝えたい-〉
展示内容は圧巻のひと言で、大乗仏教の基礎たる天台宗の奥深さにふれることができました。
最澄と空海を「大乗第1世代」と掲げて活動している者として、身の引き締まる思いがしました。
展覧会情報
伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」
開催日程
東京国立博物館
2021年10月12日(火)~11月21日(日)
九州国立博物館
2022年2月8日(火)〜3月21日(月・祝)
京都会場
2022年4月12日(火)〜5月22日(日)
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/saicho2021-2022/
上野の博物館から浅草へ
友光さんから、差し入れのお礼にハロウィンのお菓子をいただき、ホクホクで博物館を出ました。上野駅近辺で昼食をとり、イラストレーターの田中ひろみ先生が浅草で開いている個展に足を延ばします。
数々の仏さまのイラストに目を奪われている中、一度別れた青江さんとまたお会いし、「いちばん仏像に近い芸人」みほとけちゃんと合流でき、さらに、みほとけちゃんのファンで、時宗の僧侶を目指している女性と縁が繋がるなど、盛りだくさんの1日となりました。
田中ひろみ先生との縁にも感謝です。
上野・浅草でのふしぎな縁
上野・浅草という土地は、私にとって、10代までを過ごした思い出の地。
つまり自分の源です。
様々な方との縁により、「自分の源に向かう」という「向源」のコンセプトを身に刻み込むことができ、心が癒されていく感覚を味わいました。
自分の心のケアも、お坊さんの大事な仕事なのです。
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浄土宗僧侶。ここより編集長。大正大学卒業後、サラリーマン生活を経て、目黒の五百羅漢寺へ転職。2014年より第40世住職を務めていたが現在は退任。ジブリ原作者の父の影響で、サブカルと仏教を融合させた法話を執筆中。