昨年の事件以来、注目されている「カルト宗教」という概念。
以前、キリスト新聞編集長の松谷さんに、ここより編集長の佐山がインタビューした記事を再掲載します。
「宗教2世」や「離檀料」、「宗教リテラシー」という言葉も出てくる、注目の記事です!



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そもそも「仏教」と「キリスト教」もだいぶ違う

佐山

今日はありがとうございます。

松谷

いえいえ。

佐山

松谷さんは、以前、キリスト新聞で宗教2世の取材をされたことがあるんですよね。

松谷

そうですね。

佐山

『2世』と簡単に言ってしまいますが、世襲制が大半である日本のお寺では、血のつながった信心は当たり前なんですよね。

松谷

そうでしょうね。逆に、牧師は世襲の場合は少ないので、あまり『後継ぎ』という考え方をしていないと思います。

佐山

えっ、そうなんですか。

松谷

教派によりますが、数年ごとに異動するケースが少なくありません。

佐山

なんと。知りませんでした。

松谷

あくまで神を中心にするという考え方なので、牧師(カトリックの場合は神父)の人柄などによって人が集まることをあまりよしとしないのです。牧師や神父に権威が集中しないようにするための工夫でもあります。

佐山

お寺とは真逆の考え方ですね。お寺は世襲であることが多いので、住職の権威が地域に根差しやすい。『自灯明・法灯明』なので、教えよりも先に『自分』が問われる点も逆です。

松谷

キリスト教界隈にスターが生まれにくい背景でもありますね。

佐山

なるほど。

「伝統宗教」と「カルト宗教」の違い

佐山

仏教やキリスト教のような『伝統宗教』と、『カルト宗教』の違いはどこにあるのかな、と考えたのですが、突き詰めていくと難しくなりますね。

松谷

そうですよね。信仰心自体に善悪がある訳ではないですからね。

佐山

ポイントをまとめると、『強制的な献金』『強引な勧誘』『一度入ったら脱会しづらい』というところになるかな、と思っています。

松谷

そうですね。あとは、キリスト教系カルトの場合、先ほどの話のような『自分の意志より神の意志が大事』という考えを都合よく利用し、弱っている人や孤独な人につけこんで、マインドコントロールしてしまうという部分もあります。

佐山

なんとおそろしい。

松谷

もちろん、伝統宗教の中にも共通した危うさはありますけどね。

佐山

その通りすぎて、ぐうの音も出ません。墓じまいをしたい檀家さんに対し、平気で、法外な『離檀料』を請求するお寺もありますしね。

なぜ「カルト宗教」に入ってしまうのか

佐山

『マジメな人』や『高学歴の人』たちが、よりカルト宗教にハマってしまう、と言われてますよね。

松谷

日本の場合、学校や家庭で『宗教』に触れる時間が圧倒的に足りないので、免疫としての『宗教リテラシー』が養われないんですよね。

佐山

なるほど。

松谷

宗教がどんなものか知識がないから、自分自身が弱っているときに目新しい価値観や教義に触れると、簡単に騙されてしまう。

佐山

宗教の構造に対する知識がないから、『タテマエ』みたいな教義を見極められないのか。

松谷

そうですね。あとは、マジメで、親や先生の言う通りにしろ、と教わってきたから、自分の頭で考えることよりも、『怒られないこと』や『みんなと一緒であること』を優先するんでしょう。

佐山

マジメであるがゆえに、道を外して考えられないのか。なんという皮肉。



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カルト宗教に引っ掛からないために

佐山

カルト宗教に引っ掛からないようにするには、どうしたらよいでしょうか?

松谷

学校教育の中で、最低限の知識に触れる時間を増やしてほしいですね。

佐山

松谷さんは、教員をされていたこともあるんですよね。

松谷

はい。キリスト教系の学校だったので公立とはまた違う環境だと思いますが、例えば、マンガなどを教材に『自分の頭で考えることの大事さ』などについて話し合うなど、できることもあると思います。

佐山

なるほど。

松谷

みんなで『唯一絶対の正解がない事柄』について討論していくことで、先生や親の言うことをただ鵜呑みにするだけじゃなく、『自分の意志』を育てていける。

佐山

それは非常に大事ですね。『バレなきゃあ、イカサマじゃあねえんだぜ』ですね。

松谷

それと、伝統宗教の側がカルトとの違いについて意識しつつ、いつでも説明できるように整えておくことですかね。

佐山

耳が痛いです。でもその通りですね。こういう事態になったのも、われわれ宗教者の怠慢だと言われても仕方がないんですよね。本日は忙しい中、ありがとうございました。

松谷

いえ、こちらこそありがとうございました。



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