


一見、普通のベッドに見えますが……


これが出棺時の様子です。




葬儀社がお手伝いをしますが、
ご家族の方が組立てられることで、
記憶に残るお見送りの形になったと
お話される方も多いです





2026年度グッドデザイン賞を受賞
三和物産株式会社が開発した「ラストベッド」が、 2026年度グッドデザイン賞を受賞しました。
従来の棺の形を見直し、 故人とご家族が同じ目線で最後の時間を過ごせる、 新たなお別れの形を提案した点が評価されました。 また、側面の開閉における操作性と安全性を 両立した構造も高く評価されています。
審査会場に置かれた棺を前に、どのような評価軸で臨むべきか思考を巡らせたが、実際に触れその構造を理解したところ、そこに全く新しい価値を見出した。側板と足元が開き、あたかも日常のベッドのような佇まいへと姿を変える。これまで上から見下ろすばかりでどこか窮屈そうに映っていた故人の姿が、まるで穏やかに眠っているかのような「同じ目線での最後の別れ」へと昇華されるはずだ。様式化されアップデートの余地がないと思われていた領域に果敢に挑み、新たな見送りの姿を提示した企業姿勢を高く評価した
受賞のお知らせ
三和物産株式会社は、側面が180度外側に開く 「ラストベッド」の2026年度グッドデザイン賞受賞を発表しました。 プレスリリースでは、開発の背景や、 側面の操作性と搬送時の安全性を両立させるための工夫、 審査で評価されたポイントなどが紹介されています。


デザイナーがこだわった上品なデザインのベッドスローが標準装備されていることで、より普通のベッドらしい仕上がりになったのが、オリジナルのラストベッドです。





桜の花があしらわれ、薄桜色の上品さが際立つのが、「桜風」のラストベッドです。ベッド時の掛布団も日常使いを彷彿とさせるため、より自然なお見送りになります。



ここまでご覧いただいた、これまでにない発想のラストベッド。葬儀の概念を変える、斬新な棺がなぜ生まれたのか。販売元の三和物産株式会社の取締役会長・浜永良成さんに開発秘話などを聞いてみましょう!

ラストベッド誕生のきっかけ
――なぜ開発しようと考えたんですか?
「きっかけは2018年頃ですね。デザインの勉強会で交流していたデザイナーから、亡くなったお父さまの葬儀の話を聞いたことです」
――どんなお話だったんでしょう?
「棺の中に入った姿を寂しく感じた、棺に深さがあることで、遠くに感じたと話していました」
――なるほど。棺の“深さ”が、気持ちの上でも距離になっていたんですね。
「その後、納棺師から湯灌を棺で行いたいという相談もあったんですよ」
――もしかして、それが“側面が開く形”につながったとかですか!?
「そうです。側面を外側へ倒せばベッドのようになる。そうすれば故人と同じ高さで顔を見ることもできますからね」
――“棺をベッドにした”というより、故人との距離を近くするために生まれたんですね! でも、箱の物を開閉させるのって簡単にはできなそうな印象です。
それが難しかったんです。側面をしっかり固定すれば安全性は高まる。一方で、頑丈にしすぎれば簡単には開けない。逆に開きやすくすれば、運搬中に外れてしまいますから。
――固定したい。でも簡単に開きたい。真逆ですね。
そこで社内の職人と、四方を固定する専用部品の治具をつくりました。削り方や角度を何度も調整しました。
――しかも、ラストベッドはご家族でも組み立てられるんですよね?
「はい。大切なのは組み立て作業に時間を取られることではなく、ご家族が故人と過ごす時間です。初めての方でも扱えるようにしました」
――ここまで聞くと、発売当初から注目されたのではないですか?
「それが、そうでもなかったんです」
――えっ? こんなに素敵なのに?
「従来の棺とあまりに違いましたからね。葬送業界の展示会では来場者から棺とは認識されず、素通りされることもありました。そもそも、私自身、広く求められる商品になるとは考えていなかったんです」
――転機になったことはあったんですか?
「あるお客様から『もっと下まで開いたほうがいい』、とアドバイスを受けたんですよ。そこから改良を加えて、現在の形になりました」
――“棺らしくない”ことが弱点だったのに、それが今のラストベッドの特徴にもなっているわけですね!
――葬儀で使われた方で、特に印象に残っていることはありますか?
「あります。ラストベッドで旦那さまを見送った奥さまの姿ですね。側面の開いたベッドへ身体を寄せ、頭を内側まで入れるようにして夫を抱きしめられた奥さまは、10分以上その姿勢のままだったそうです」
――家族が故人を囲み、いつもと近い目線で過ごせるなんて! 普通の棺だったら……。
「難しかったでしょうね。壁がありませんから、できたことだと思います」
――家族が故人を囲み、いつもと近い目線で過ごせるなんて! ラストベッドで変わることは、棺の形だけじゃなくて、別れの時間そのものなのがよく分かりました。
――もうひとつ、ラストベッドだから考えられることがあるそうですね
「かつては「寝ずの番」と呼ばれ、家族が故人のそばで一夜を過ごす習慣がありましたよね。しかし、現在はそうした機会は少なくなっています。ですが、故人をひとり寂しくさせていいのか、という思いがあります」
――ラストベッドなら、棺に納められて姿が見えなくなるわけではないですものね。
「ベッドに寝ているような姿であれば、そばで一夜を過ごすこともできます。話しかけてもいいし、思い出話をしてもいい。ただ一緒にいてもいいと考えやすいと思います。最近は葬儀施設の改装で、洋室化も進んでいるのでラストベッドであれば、残りの時間を過ごしやすいとも考えています」
――最後に、三和物産さんはラストベッドを、これからどんな商品に育てていきたいと考えていますか?
「葬儀の固定観念を崩して、新しいカテゴリーをつくっていきたいと思っています」
――ラストベッドを「棺の新商品」ではなく、ひとつの新しい選択肢として広げていきたい、ということですね。
「現在は、家族葬や無宗教葬が広がっているので、別れ方にもさまざまな選択肢が生まれています」
――つまり、“棺にするか”だけを選ぶ時代ではない?
「故人との最後の時間を、どう過ごしたいのか。それを考えた時、ラストベッドがその選択肢のひとつになればと思っています」
棺ではなく、“最後の時間”を選ぶ。 それがラストベッドです。






